女限エリアからこんにちは

何回だって声を枯らして――TEAM SHACHI声出し解禁レポート


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コロナ禍になって、アイドルは厳しい規制のもと、長いトンネルを小さな灯りで照らしながら進むように、歩んできた。

ライブすらしてはいけなかった頃もあった。そこから徐々に、お客さんを入れてライブをしてもよくなり、パーテーションを置いたりマスクを着用することで対面の特典会が許されたり、オールスタンディングでのライブをしても良くなったり。

概ね一年前くらいから、ライブシーンはかつての姿を取り戻しつつあるように思う。それでも足りなかったのが「声」だった。

時は流れ2023年。世間では、マスクの着用を任意とする議論が始まるなか、エンタメ業界に於いては長らく封じられてきた「声出し」が、大きなライブでもできるようになった。

これに伴い、2023年3月1日にZepp横浜で行われた「dot yell fes 2周年SP DAY2」に於いて、TEAM SHACHIは3年の沈黙を破ることになった。

これはタフ民――TEAM SHACHIのファンとして、3年の沈黙を破ることになったわたしに何が起きたかを綴る記録である。

 

15時ちょうど。開演時間にはすでにTEAM SHACHIのグッズに身を包んだタフ民がチラホラと見える。同じ事務所の、ukkaのファンもいた。

久しぶりの声出しにいささかの不安と緊張をいだきながら、16時きっかりにフェスは始まった。

TEAM SHACHIの出番前にはコロナ禍でデビューしたアイドルたちも何組かいた。声出し可といえど、オケの音が強かったこともあり、まだ産声を上げ始めたばかり、という印象が強い。ちらほら歓声が聞こえるものの、大きな名前コールはまだ起きていなかった。

その静けさを破ったのはTEAM SHACHIの出番2つ前のukkaだった。

リンドバーグ」の名前コール、特にパート割変更により巻き起こった葵るり、結城りなへのコールで一気に会場が色めき立つ。スイッチが入った、と思った。そこかしこから、名前を教えるかのようなコールが飛んでいる。音が、声が世界に溢れた、そんな感覚に陥る。

その後の≒JOYの勢いも素晴らしかった。声援を聞くのが初めて、というメンバーの言葉に面食らったほどに、熱狂が生まれていた。

そんな温まりきったフロアに、TEAM SHACHIのステージは用意された。

overture〜orca〜が流れ、歓声が聞こえた。誰かがメンバーの名前を呼ぶと、また他の誰かが名前を呼ぶ。3年分の想いが、タフ民の体から喉を伝って流れ、フロアに充満していく。フロアの温度も、少しずつ上がっていったように思う。

メンバーが入ってくる。歓声が止まない。メンバーは、これ以上ないくらい嬉しそうな顔。

そして、間。

それを破ったのは「start」のイントロだった。その瞬間、この3年間たまりにたまった歓声が、私の喉をぶち壊す勢いで流れ出たのを覚えている。意識したのではない、感情が声になって溢れた。この3年間、ペンライトを振る力に置き換えてなんとか流してきたこの激情が、ただひたすらに喉を震わせている。

涙が出そうだった、でも、必死で叫んでいたら涙なんて出なかった。頭の中を、楽しいと嬉しいが洪水のように駆け巡る。血が踊る。アドレナリンが噴出する。

周りからも声が聞こえる。咲良菜緒は、「声出せェーーーーーーー!」と叫んだ。ライブもできるようになって、あとは声だけだね、と折に触れて語ってきた彼女の中で、何かが弾けた音を聞いたような、そんな気分になる。

フロアもそれに呼応した。信じられないくらいの熱がZepp横浜に充満する。声出しはstartがいいな、なんて声が多かったことを、思い出した。

メンバーは嬉しそうに、時折イヤモニを外してタフ民の声を聞いていた。熱気渦巻く声を聞いて、更に強く強く感情を叩きつけるように彼女たちは歌った。

声を封じられてこの数年。声なんて出さなくてもライブは楽しい、と思っていた。それは間違いなく、コロナ禍でしか見えなかったもの、得られなかったものがメンバーにもオタクにしてもあるだろう。

しかし、このstartで、ようやく「僕とキミの明日が始まる」のだと、そう確信した。声を出して、タフ民とメンバーが一つになるこの感覚。酸欠で頭がくらくらして、わけがわからなくなった瞬間にすべての感情が削ぎ落とされて見える絶頂にも似た「楽しい」。これをなくして、私はどう生きていたのだろう。

魂が震えるようなパフォーマンスが終わった。歓声をききながら、肩で息をする。一息ついて、推しの名前を叫ぶ。まだ、一曲めだ。

間髪入れず披露された「東海コンプライアンス」ではダンスで身体を酷使し、また、肩で息をする。

MCでは、ひとりひとりメンバーが自己紹介をした。コロナ禍では、たとえば咲良菜緒であれば、「心の中とクラップで、なおちゃーんって呼んでください。」と観客には語りかけていたが、やっとこの名前を呼べる。

なおちゃーん!ほのかー!ハルー!ゆずきー!この声をイヤモニを外して聞いたメンバーは、これ以上ないくらいに笑っていた。

そしてライブはまだ続く。コロナ禍でリリースされ、初めての声出しを経験する「舞頂破」。「なんまいだー!」と念仏を叫ぶ。「長きにわたり待ち望んだ時が来た、皆騒げ!宴の始まりじゃ!」と、今まさにこの場のためにあるようなセリフが放たれる。まだまだ、宴は終わらない。

TEAM SHACHIが大切にしてきたライブアンセムである「抱きしめてアンセム」。また踊り狂って体力が削られる。それと反比例して、アドレナリンのがどぱどぱと流れていくのを感じた。気力と熱狂だけで声を上げ、腕を振り、踊っているそんな感覚が体に満ちていく。坂本遥奈のラップパートのコールアンドレスポンスのボルテージは最高潮に達したように思えた。

「やまない声があるからいつまでも踊ってたい」大黒柚姫が叫んだ。おあつらえ向きの歌詞だ。いつまでも踊ってくれるなら、声が枯れても叫び続けるのに。

更に息が上がって、ほとんど口をつけていなかったペットボトルの中身が空になった。体温は、1度くらい違う気がする。額から汗が伝って流れた。

会場に雷鳴のごとく響くギターの音色。考えるより先に声が出ていた。「雨天決行」。ああ、この子達は、私達にとどめを刺しに来ている。声を枯らせと、騒げと、音楽を通して訴えかけている。

その後の記憶は、ほぼない。「エルオーブイイーラブリーなおちゃん」と、曲調に似つかわしくないコールを叫んだことはおぼろげに覚えている。気づいたら音が消えていて、歓声をただただあげていた。

時間にして25分。ジェットコースターのように目まぐるしく、しかし濃密で、そして現実離れするくらいに充実した時間だった。間違いなく、歴史的瞬間だったろう。

 

素晴らしいライブだった。観客とステージが渾然一体となり、濁流にも思えるほどの激しく混沌としたうねりを作る。TEAM SHACHIの目指さんとする「はちゃめちゃ」の波に飲み込まれ、従うしかなかった。それが、今なお漣のように体に押し寄せてくる。

しかし、これは始まりに過ぎない。

本格的なワンマンライブでの声出し解禁は、7月22日、名古屋城だ。この日の何倍もの尺で、声援が響くのだ。

始まりの地で、また新たなスタートを切るTEAM SHACHIのライブは、きっと伝説に残るだろう。

 

1月の現場覚書

1月は試験勉強に追われながらもガッツを出して、結構前の方にいられた気がする。

ガッツリちゃんと書こうとすればするほどかけないので、覚書みたいなものを、じぶんのためだけに残していこうと今年も○月のまとめ的な記事を始めよう。さて、どこまで続くかなあ。

1/4 憧憬@池袋リヴォイス:開歌

現場初めは開歌から。カバーありの変則的なイベントで、初めての参加。

カバーどの曲も楽しかった!

衣装は巫女。南雲咲楽だけ危険なくらいミニの巫女さんだったけど、めちゃめちゃ似合っていた。

 

1/7 甘橙@下北沢ADRIFTf:id:mn37s:20230108073109j:image

開歌が所属するオレンジターキーの事務所イベ。月イチくらいでやっていて、これがなかなか楽しい。

私は小林瑞希・甘酢朱里の二人組セカイシティに徐々に心を奪われつつある。この二人、軽妙なトークとデュオならではの個と個のぶつかり合いがいい。

この日は甘酢朱里が出演できなくなり、なんと小林瑞希一人でのパフォーマンスに。ひとりでもやるんだ、という驚きと小林瑞希の胆力よ。

イートインのメンバーに力を借りながらも、一人で頑張る小林瑞希のためにチェキに並んだ。

私のTwitterやインスタを知っていてくれてすでに認知があるバグが起きてた。甘橙、3回目なのに…!

私以外にも、頑張ったコバヤシティにねぎらいの言葉をかけに行くオタクが大量発生していた。それくらい人を引き付ける力がある子だと思う。

一人のステージでも、ニコニコ楽しそうにパフォーマンスして、観客のこともしっかり見て、ほんとうにしっかりしている。

↑甘酢朱里を連れてくる小林瑞希

おしなべてジズーの子はみんな偉くて可愛い。だから甘橙に来てしまうわけだが。

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ツイッターにあげそびれたおみくじ。初めて大吉引いた!と喜んでくれて、感想になっちゃった〜と笑う咲楽ちゃん。好き。

 

1/7 インテンシティ×ソノウチ@下北沢ADRIFT

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女性1000円だし、午前からは甘橙にいるし、と軽率にチケットを取った。女限があって大優勝した。

正直あまりよく知らないグループがほとんどだったが、歌がうまくないとこのイベント出られないのか?というくらいみんな歌がうまい。とくにばっぷるの歌のうまさが異次元だった。

この日良かったと思ったグループはI to U $CREAMing!!(アユスク)とさとりモンスター。

アユスクもこれまたデュオで、ゴシックな世界観もあり、楽し楽曲もあり楽しめた。特にゴシックな曲調が今まで見た中であまりないテイストで新鮮に楽しい。この世界観とデュオというのが閉じた退廃的な雰囲気を醸し出していて、非常に良かった。ので新規無料チェキを撮った。

さとりモンスターは寿司握る曲が楽しかった。自然と体が動いてしまう感じ。

お目当ての開歌は、好きな曲ばかりで楽しかった。「サン・マナ・パーニャ!」は対バンでわかりやすく盛り上がれるのでいい。最前ゼロズレ楽しすぎる。

そして、対外試合での「青い花の名」の凄み。これは最前で見られてよかったと思う。

青い花の名」は、限りなく芝居に近い。表情、歌、動作全てで世界観を表現している。メンバー全員が倒れ込んで、順繰りにゆっくりと起き上がってくるときの凄絶さ。見入ってしまった。

 

1/8 NEW ERA@代官山UNIT

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対バンイベント3連チャンって結構つらい。脚が主に痛い。人生の諸先輩方、それも一回り、それ以上の先輩方がけっこうみんな平気でそんなことしているから驚く。DDするのに一番必要なもの、どう考えても体力だと思う。

fishbowlはもうほぼ一年ぶり。曲は好きだけど歌がもっとうまくなったらもっと好きなのに、と思っていた印象が抜けなくて、あおちゃんぷくちゃんがいなくなってしまってすっかり見ていなかった。が、歌がうまくなっていて驚いた。特に熱波、ライブのほうが何段も良い。ラップに迸るライブ感が楽しい。

新間いずみ、あの声はぜひ歌で活かしてほしいと思っていたがどんどん上手くなっている気がする。TikTokで色々歌ってるし、その影響なのだろうか。

お目当ては開歌。この日もセトリが良かった、青い花の名は何度でも対外試合でやってほしい。また最前で浴びてしまった、幸福感がある。あのフロアがしんと静まり返る感じ、結構好きだ。

tiptoe.と制作陣が一緒だとかなんとか、ということでなのかはわからないが、春は絆創膏。キラキラしたポップチューンな音が可愛いし、振り付けもキャッチーで可愛い開歌がたくさん見えたのではないだろうか。

SANDALTELEPHONE、うわーみんなスタイルいいし可愛いしパフォすごい!と思ってみていたら全員からレスをもらって、あー完璧だ〜と拍手してしまった。あの白い衣装、すごくかっこよくて好きだ。

特典会から戻ってきて、美味しい曖昧は途中から。うずめさんの「お上手〜」がやはり好き。

tip toe.は、tip推しの仲間から前へ、と誘われて前で見させていただいた。(ちゃんと大切なところでは前を譲ったけれども。)ほとばしる青春感。素朴な子が多くて、それがまた「学校」感を醸し出していた。存在し得ない理想の青春だった。

Ringwanderungはさすがもうフロアぶち上がり。私もたくさん踊って楽しかった。辺見花琳さんはおだんごでめちゃかわいかったし、やっぱあの声でのパルスの歌いだしがものすごくすきだ。翌日にワンマンを控えているのに、パワーあふれるパフォーマンス、素晴らしかった。

その後は流石にヘロヘロなので、後ろでお酒を飲みながらダラダラ見る。situasion、対バンでこれをやるかという演劇めいたパフォーマンス。懐中電灯を使ってパフォーマンスしているのがよかった。コンテンポラリーアートな世界観。全体が見渡せたので後ろで良かったかもしれない。

最終的に腰痛が出てきてしまったので終演後物販にサクッ行ってとっとと帰宅。楽しかった。

 

1/14 スタプラアイドルフェスティバル@横浜アリーナ

なんだかんだ言って、わたしのアイドル原体験はスターダストプロモーションにある。年一回のスターダストプラネット合同イベント、これを行かねば私はアイドルを語れない。

毎年恒例のスタプラアイドルメドレー、各グループのライブパフォーマンスはもちろん、今年は「シンデレラグループ」を決める9種目競技が開催された。

結果はいぎなり東北産の勝利。いつもあの子達はチャンスとあれば全力で獲りにくる。各競技に対しても、作戦を練り全力で勝ちに来た。その気合とガッツが掴んだシンデレラだろう。

スタプラ全アイドルのパフォーマンスが年一度見られるというのも楽しみな要素だ。

TEAM SHACHIは毎度のことながら商魂たくましく、一番ライブの演出に力を注いでいたのではないかと思う。

ukkaの結城りなが無双していた、とか、AMEFURASSHIの「いつもドームでやってますが何か?」くらいの大箱の似合いっぷりと愛来の圧倒的オーラとか、B.O.L.Tの土下座で膝を擦りむいた、とか色々ありすぎるのだが、Twitterで語ったので割愛。

ここで記すべきことは、播磨かなのことだ。私がシンデレラを決めるなら、唯一ソロアイドルとしてスタプラに所属し続ける播磨かなにすると思う。

古く言えば3B juniorの解体、はちみつロケットの解散、Awww!の解散とたくさんの別れを経験してきた彼女は、それでもスタプラの中でアイドルで居続けることを選んだ。

スタプラフェスでは全ての競技を一人で戦い、ライブパフォーマンスでは一人で横浜アリーナの真ん中に立った。

ガチ抽選で決められた出演順、彼女はトリ。ひとりで、トリとして横浜アリーナに立つ。彼女が選んだのは、3B juniorの「勇気のシルエット」だった。

涙を流しながら歌う彼女を、横浜アリーナにいた全員が応援したことだろう。その涙には、きっと色々な感情があるのだろう。スタプラフェスだからこそ味わえる光景だった。

「全力ダッシュ」種目の際に、播磨が履いていたスニーカーがスタート早々に右も左も脱げた。それでも播磨は裸足で全力で走った。

そんな播磨かなに令和のシンデレラの姿を見た。

それにしても、そろそろ社歌に「走れ!」が採用されてもいいと思う。現場を離れた今も、ラスサビで照明が全て落ちた瞬間にグッときてしまう。なんだかんだ、ずっと私の根っこにあり続けるのはももクロだし、こうなったのもももクロのせいなのだろう。久しぶりに、初めてももクロでペンライトを振れた。まだ、誰を推すかなんてわからないが、この日は赤。進歩。よい年始めだ。

 

1/16 開歌「日々」リリースイベント@タワーレコード錦糸町パルコ店

15時すぎ、オフィスで仕事の進捗を見ながらガンダすれば残業してもギリ間に合うな〜どうしようかな〜と思いながら、いやここはあと数日に迫った試験勉強をしながらリリイベ待つのが正解だろう、と定時で仕事を放り投げて錦糸町へ。

夕飯どうしようお腹すいたな、と思ってパルコの中にある鎌倉パスタで和風カルボナーラをサラダとドリンクをセットにして食べた。サラダが結構粗末で、鎌倉パスタってこんなだっけ、ダイエットとか考えずにパンにすればよかったな、と残念な気持ちに。試験勉強は3問くらいしか進まなかった。今日中にあと50問解くって言ってたはずだが。

そんなことをしていたら時間になったのでタワレコのイベントスペースへ。番号がいいんだか悪いんだかわからない番号だったが、何とか下手の最前へ。

大好きなシリウスにマフラーから始まり、サン・マナ・パーニャ!、99色のブーケ、MCを挟んでビューティフルデイズと好きな曲しかなくて嬉しい。最近他メンからも顔を覚えてもらったのか、バンバン目線が来る。が、サンマナパーニャのクラップが難しすぎて相変わらずうまく叩けない。リズムが分からなくてメンバーの手の動きを見ながら叩いてるので、メンバーのこと睨んでいたらどうしようと割と不安だ。

とはいえ、最近はめちゃめちゃに近くで見れているのが嬉しい。いい感じに頑張れていると思う。なんてたってあまり時間は残されてないのだ。

きっと最後は99色のブーケで泣いちゃうんだろうな、なんてぼんやり思った。

特典会では、咲楽ちゃんとイロチで服持ってるかも、って話とか、私の眼鏡の話とか、なんか普通に女子っぽい話をした。またあしたね、って言えるの、なんかいい。

明日も仕事頑張ろう。その前に試験勉強だ、咲楽ちゃんに会いに行ってたら落ちたなんて言えない。

 

1/17 開歌「日々」リリースイベント@下北沢ERA

仕事を終え、代々木上原小田急に乗り換えて下北沢へと向かう。18時すぎにも関わらず、小田急はすし詰めでどうなってるんだこれは、と非常に困惑したし、乗り切れなくて電車を一本見送った。どうなってるんだこれは。

リリース当日のイベントはライブハウスだということもあって、心が踊る。下北沢ERAはアルコールも出してくれるので、ハートランドを飲みながら開演を待った。仕事終わりのビールはうまい。

TimeTimeで始まり、シリウスにマフラー、春は絆創膏、99色のブーケを披露。特別感があるとしたら、アルバム曲からのチョイスだったことだろうか。

このアルバムがリリースされてから、「青い花の名」の音源の良さに取り憑かれている。この解像度を持って生パフォーマンスを浴びたいと念じていたがこの日は披露がなく少し寂しい。

とはいえ、咲楽ちゃん卒業前最後のリリース当日はどうしても行きたかったので行けて嬉しかった。

記念日のみの特別レギュレーションのワイドチェキ、これはとても良いものだ。

余談だが、みなみちゃんが最近たくさんライブ来てくださってますよね、と言ってくれたのが嬉しかった。みなみちゃんだけでなく、全員客席のことをよく見ている。素晴らしいなあ。

試験勉強のことは考えないことにして、帰ってご飯食べて寝た。

メンバー全員爆盛れだし私が楽しそうでいい。

うさぎは私の概念として描いてくれてるのだけど、服イロチ!て話で服についてるリボンを描いてくれた。黒いいなあ〜と言ってくれたが、私が黒選んだ理由が黒のほうが落ち着いてるから、という理由。咲楽ちゃんの持ってる白はかわいらしくて、まだまだ若い咲楽ちゃんはガンガン白着てほしい。

 

1/22 ごにょ口@Rock cafe Loft

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資格の試験を終え、池袋で所用を済ませて新宿へ。イベントは18時からだから、少し時間がある。友人と乾杯の練習。0次会って乾杯の練習ていうよね、と言ったら言わないらしい。

友人に自己採点を見守ってもらい、まあなんとか合格ラインには届いてるようで安堵する。

ロックカフェロフトは新宿歌舞伎町、新しくできるバカ高いビルの麓にある。あのビル、だいぶ前からトンカンやっていたが、もうほぼほぼ完成している。いかほど高いのか、と見上げたら摩天楼だった。

歌舞伎町なんてあんまり近寄りたくないのに、新宿BLAZEがあったり、TMCがあったり、これからZepp新宿ができたりでどうしても避けられない地らしい。

ロックカフェロフト、はじめてきたがこぢんまりしていて良い。カレーの日らしく、メニューには3種類のカレーがあった。せっかくだからサバのカレーをオーダー。めちゃめちゃ美味しい!

瀬戸口俊介の話をつまみに、飲んだり食べたり笑ったり、オープンチャットで文句言ったり言わなかったり。だいぶ顔見知りも増えて、一つのコミュニティが出来上がっている感じなかなか楽しい。

瀬戸口俊介がロフト大賞を受賞したお祝いやら、やんややんやとしているうちに夜はどんどん更けていく。いつもより早い時間帯だったので終わりも早く、飲み直しに行ったらかなりの大所帯になっていた。またやんややんや、とチキン南蛮をつつき倒して、アルコールで意識を曖昧にしながら、最終的には月曜日に向かってそれぞれ電車に乗り込んだ。まあ、月曜日なんて出社して座ってたら百点だから。

 

1/24 セミバー

瀬戸口俊介が店主のオンラインバー。

記憶はない。そういうシステム。何故か表情筋が痛かった。

 

1/28 開歌-かいか-定期公演「四季彩」@恵比寿CreAto

ひとまず勉強で埋め尽くされた日々は終わりだ!!!と晴れやかな気持ちでライブへ。

青い花の名」から始まり、ものすごいガッツポーズをした。強めの世界観の曲で最初から拉致してくる姿勢、好きすぎる。

ライブは3つのブロックに分かれて、きちんとそれぞれコンセプトが練られていて非常に良かった。かっこいい開歌、かわいい開歌、そして最後は超高密度の開歌。

途中で渡邉陽の弾き語りでの「はるかぜ」も披露され、ここ最近で一番のボリューム感と満足感。VJも冴えていて、やっぱり定期は外せない。

最後のブロックは「これが開歌だ」という印象が強く残る。「燦然」だけでも泣いてしまいそうなのに、「歌の咲く島」はだめだ。

わたしは開歌の持つ背景やストーリーを一切知らないのだけど、「歌の咲く島」がすごく大切に歌われていることを感じている。向かい合って確かめ合うように、美しいハーモニーを響かせる姿こそが、わたしが開歌に感じている芯の部分を具現化した姿だと思う。

「99色のブーケ」で締めたところもよかった。ミニアルバム「日々」の中でいちばんストレートな開歌らしさを感じる曲が最後に大切に置かれていたことに、現体制への愛おしさが募る。

現体制でいられる開歌は残り少ないのに、冬に入り始めたくらいから、パフォーマンスが洗練されていっているように思う。楽曲の幅が広がったから、今まで見ることのなかった側面を見られるようになった、というのも強いのだろうけど、青木眞歩の力強くテクニカルな歌、渡邉陽のやわらかく包み込むような歌、南雲咲楽のキュートな歌、山村怜奈のハスキーな歌、すべてが調和し美しいハーモニーを奏でている。

終わってほしくないな、というのがやっぱり本音だ。自己弁護するのなら、そう思ってしまうほどに今の開歌の完成度が高い。

あと少ししか見られない現体制、どこまで上り詰めて、どう終わるのだろう。そんな変化をポジティブに楽しみながら、3月まで過ごしていこう、と思った。

 

1/28 TEAM SHACHI「トーカイ王国祭@Zepp Nagoya

新幹線の車窓から見えたZepp名古屋はおそらく絶賛第一部の公演中だった。いつもの金色のトラックを見つけて、ライブへのワクワクした気持ちへのギアがひとつ上がる。

名古屋の街を歩くのも随分慣れたな、と新幹線を降りて地下に潜り、笹島方面を目指しながら思う。寒波の影響で寒かったから、地下をなんとなく歩いて笹島交差点に出られたのは僥倖だと思う。

会場に到着、第一部を見終えたタフ民を眺めて、程なくして第2部の入場待機。やはり寒波の影響で寒い。入場が20分押して、ようやっと入場。

上手に設置された女性限定エリアに滑り込み、2列目へ。本当にありがたい。

ステージには大きなモニターがあり、後ろでも「何をやっているのか一切分からなかった」ということはなさそうな親切設計。ありがたい。

ライブは「楽しい」だけにコミットしたのか?というくらい何も考えずに馬鹿になれるセトリ。古参らしく「そこそこプレミアム」でガンガン沸いたし土下座もした。沸きすぎて、ペンラの振り方で身バレしたらしい。ウケる。

久々に披露された「シャッチーチャンス」では、名古屋グランパスのマスコットキャラクターグランパスくん名古屋おもてなし武将隊の面々が登壇して撮影可能タイム。終演後は名だたるカメコたちが自慢の写真をSNSに大量アップしており、幸福な余韻が長く続いた。私も比較的うまく撮れており、カメラ上手になった?と自惚れた。

今回初披露となったシャチフレ「I's PRIDE」・「超・ワルプルギス」も披露。いつもは着ない真っ白な衣装が新鮮。白とロング丈、長袖と統一しつつも、カミフレメンバー・TEAM SHACHIメンバーでベースのデザインが違うのも好き。楽曲も両方とも好きだ。

「I's PRIDE」はタイトルの通りアイドルでいることの矜持を歌う歌で、壮大さが良い。「超・ワルプルギス」も、魔女たちのお茶会といったたころか、メルヘンゴシックな曲調。これからもシャチフレの活動は続くようで楽しみだ。

アンコールでは、東京で仕事だったらしいBOYS AND MENの田村侑久がサプライズ登壇。曰く、「新幹線で衣装に着替えて、隣のおじさんに不審がられながらメイクをして、走ってきた」そう。コートを羽織ってリュックも背負ったまま、突然の登壇に驚くメンバーに「俺らナゴトモだろ!?」と笑うたむたむ。次は呼んでよね!と念を押しながら帰っていった。特に何を告知するでもなく、「トーカイ王国祭」というタイトルのライブにまさに「駆けつけ」、祝ってくれた名古屋のお兄ちゃんに、名古屋の絆を感じずにはいられなかった。

帰りには寿がきや食品味噌煮込みうどんを手渡され、ああ私の魂の帰る場所だ、とほっとしながら名駅までの道のりを歩いた。ナナちゃんは、カニになっていた。

2022も一年ありがとう――シャチの大感謝祭

良いクリスマスをお過ごしください――12月24日、那覇空港を出発して羽田に到着したANAの機内アナウンスを聴きながら、早く私をここから出してくれ、そう思っていた。

クリスマスイブは最悪な滑り出しだ。出張先で上司と飲み、沖縄のバカ強い酒でグロッキーになりながらフラフラと那覇空港に向かい、ほうのうの体で搭乗口にたどり着いたら機材トラブルでフライトが30分ディレイした。

オタクのクリスマスは忙しい。今日はライブが3本もある。こんなばかみたいなスケジュールを組んだのは自分だ、とまだドアが開かない機内で自分を落ち着かせる。

そんな紆余曲折を経て品川ステラボールに私はいた。TEAM SHACHIのラストワンマン。

私のクリスマスがどうなったのか、レポートをしながら振り返りたいと思う。

概要

2022.12.24 @品川ステラボール

一年の感謝を伝えるイベントとして、昨年から続けているライブ。アコースティックパートあり、カバー曲あり、歌って踊るいつものライブありてんこ盛り。

今年はブラス民に加え、お馴染みとなったバンド民(Gt. masasucks / Dr. Tatsuya / Ba. MIYA)さらにTEAM SHACHI・チームしゃちほこ名義の珠玉の楽曲を数多く手掛けた浅野民こと浅野尚志も参加した生バンド編成と豪華、たっぷり2時間の大ボリューム。

アコースティックパートではメンバーの歌を存分に堪能、後半のブロックではバンドのサウンドに乗って大暴れ、クリスマスイブの夜にふさわしいフルコースを味わえるライブだった。

 

トピックス

アコースティック・カバーパート

ライブ前半はアコースティックパートからスタートした。客入れBGMが消え、バンド民がスタンバイをすると、overtureである「ORCA」が流れるかと思いきや鳴り響く鈴の音。アコースティックギター、ベース、ドラムの3ピースで奏でられる音に乗せて、「サンタが町にやってくる」が歌われた。

メンバーは普段の「アイドル衣装」ではなく、美しくスタイリングされてドレスアップした姿。クリスマスムードが一気に上がった。

そんな特別感を纏わせ、アコースティックパートは進んだ。

アコースティックバージョンでは初披露となる「シャンプーハット」をはじめ持ち歌を披露した。また、浅野くんを迎えて「DREAMER」「解凍ガール」をピアノ一本でパフォーマンス。カバーはDISH//「猫」、槇原敬之「チキンライス」、Official髭男dism「115万キロのフィルム」、BoA「メリクリ」が披露された。

音数が少ないアコースティックで、歌だけに集中する環境で、メンバー4人の歌声の個性を改めて実感した。

パワフルで、高いキーも低いキーもしっかり決める咲良菜緒。ハイトーンが美しく決まり、繊細さを纏う大黒柚姫。唯一無二のファニーボイスでピッチがブレない秋本帆華。抜群のリズム感が支えとなり、ハイトーンではファルセットを使わない歌い方が「エモ」さを生み出す坂本遥奈

丁寧に奏でられるサウンドと歌がマリアージュして、非常に贅沢な時間だったと思う。

 

ガッツリライブ

後半ブロックは、メンバーが一旦はけてバンド民のセッションから幕を開けた。ギター民のmasasucksが上手下手に設置されたお立ち台を使いながら、即興でプレイするかっこよさに観客は湧いた。次第に、ちらほらと立ち上がる観客が増える。そして、「ORCA」のギターソロに至る。

普段の「ORCA」よりより長く、アレンジの効いたそれは、やはり実力は折り紙付きのバンド民。かっこよくてこれだけで身体が縦に揺れる。そしてブラス民が合流。凄まじい音の圧。これだよ!これ!と血が滾った。

とうとう、改名当初に着用していた真っ赤な衣装に身を包んだメンバーが登場。

ライブの後半は、バンド民の演奏でイメージがガラリと変わった「眠れないナイNIGHT!」からスタートした。前半のアコースティックパートで作ったゆったりした空気を、強制的に切り替えるパワー。

意外な選曲に思えた「んだって!!」や、できたてほやほやの「東海コンプライアンス」を経ながら、定番のキラーチューンをぶつけてピークを作る姿は流石だった。

その一方、本編の締めに「光」を据えてきたところが2022年っぽさがある。

 

江戸の女に生まれたかった女の魅力

また、特に記録するべきことといえば「江戸女」を軸とした大人の女性の魅力を引き出すパートだろう。

一部では「MAMA」→「江戸女」、二部では「HONEY」→「江戸女」だったこの小さなブロックが、セットリストの置きどころが難しい「江戸女」とバチッとハマった。

「MAMA」は庇護下から脱する自立の歌、「HONEY」は色気を感じさせる昔の恋愛を歌う歌だ。これに「ちょっとセクシー」な「江戸女」をぶつけて得た化学反応は「今まで見たことのないTEAM SHACHI」だった。

パワフルさが売りの彼女たちだが、特に改名直後は「強い大人の女性像」を描き出そうとして模索していた。これに対するひとまずの今の置き場所がこのブロックだったかな、とすら思えるほどの流れの気持ちよさと、目を奪われるようなパフォーマンスだった。

それにしても、大人の魅力を出そうとするとやはり大黒柚姫が魅惑的に光る。まだ学生だった頃にはなし得なかっただろうこのパフォーマンスを見て、やはり長く追うと良いことがあるな、と思うのであった。

 

総括

結局のところ、クリスマスイブは品川駅の駅ビルの中で、私はお酒なんて嫌いだから、とレモンスカッシュを飲みながら、楽しく仲間とライブの感想を語り合って終わった。

ああでもない、こうでもないと感想が尽きないライブは良いライブだ。

TEAM SHACHI納めとなったこの日、当日のライブや今年の様々なライブを思い返しながら、2日ぶりの我が家へと帰ったのであった。

 

セットリスト

1部

  1. サンタが街にやってくる
  2. よろしく人類 
  3. 猫(カバー/DISH//
  4. チキンライス(カバー/槇原敬之
  5. シャンプーハット 
  6. 解凍ガール W/浅野尚志(ピアノ)
  7. DREAMER W/浅野尚志(ピアノ)
  8. OVERTURE-ORCA-
  9. 眠れないナイNIGHT!
  10. んだって!!
  11. 東海コンプライアンス
  12. MAMA
  13. 江戸女
  14. 舞頂破
  15. 乙女受験戦争
  16. 番狂わせてGODDESS

<アンコール>

  1. もーちょっと走れ!!!
  2. マジ感謝

 

2部

  1. サンタが街にやってくる
  2. よろしく人類
  3. 115万キロのフィルム(カバー/Official髭男dism)
  4. メリクリ。(カバー/BoA
  5. シャンプーハット
  6. DREAMER W/浅野尚志(ピアノ)
  7. 解凍ガール W/浅野尚志(ピアノ)
  8. OVERTURE-ORCA-
  9. 眠れないナイNIGHT
  10. んだって!!
  11. 東海コンプライアンス
  12. HONEY
  13. 江戸女
  14. 舞頂破
  15. 抱きしめてアンセム
  16. START
  17.  光

<アンコール>

  1. 最上級の愛の言葉
  2. マジ感謝

アイドル楽曲大賞2022に投票してみた。


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師が走るほど忙しいから師走。

必要もないのに箔をつけるためだけに資格を取ることになり勉強していたり、なかなかに忙しい、なんて言っているうちに年が明けた。

2022年は突然地下に走ってみて、息切れをしながら現場を反復横とびしていたような気がする。

そんな1年だったので、去年は投票しそびれたアイドル楽曲大賞に投票をした。

せっかくなので、備忘録がてら何に投票したかを記録しようと思う。

 

 

メジャーアイドル楽曲部門

5位 ハッピーエンドとそれから / 私立恵比寿中学

メジャーが一番票を入れるのが大変だった。

1位から5位まで、別のアイドルに投票しなくてはならず、今年はインディーズアイドルを中心に追いかけていたからだ。

よく聴いていた曲を思い出そうとしたとき、パッと思い浮かんだのがこの曲だった。

昔を懐かしむちょっと切ないワンシーンを、いい意味で何の変哲もないサウンドで届けるこの曲はよく耳に馴染んで何度も聴いた。

 

4位 ウォータープルーフ・ナイト / フィロソフィーのダンス

十束おとはが卒業し、新メンバー2名が加入したフィロソフィーのダンス

楽曲のクオリティが高くてよく聴くアイドルの一つ。

「メッカでプリ帳」「前略プロフィール」「歌詞画」「walkman」「新着問い合わせ」などの単語が踊り、ゼロ年代の青春を駆け抜けた私に耳馴染みのいい歌詞とチルなサウンドが心地よかったため票を入れた。

この歌詞のとおり、私は厚底を履く女ではなくどちらかといえば紺ハイソ、ただプリクラのメッカでプリクラを撮っていたし、プリ帳も作っていた。

ところで、この歌詞を聞いたときに初めて「プリクラのメッカ」は渋谷にあって、地元のそれは渋谷からやってきたものだと初めて知った。

地元のメッカはもうなくなってしまったけれど、渋谷のメッカは現役バリバリだということも知った。加工アプリでいつでもどこでも、いくらでも可愛い顔にできる時代にあって、まだまだプリクラの勢いが衰えていないことも嬉しかった。

そんなノスタルジーを感じる曲だ。

 

3位 夜を抜け出して / B.O.L.T

イントロに力強いサビを置いた、B.O.L.Tらしい爽やかなパンクロック。

BPMが早く、シンプルなギターとドラムの音が一番際立つところが、私のイメージする青春パンクロックど真ん中だ。

サビで大暴れするシンバルが最強。

「飛ばされる」と揶揄されるギターソロもごくコンパクトながらキッチリ入っているのもポイントが高い。

個人的に、B.O.L.Tの魅力の一つにコーラスワークがあると思っている。「夜を抜け出して」においても、効果的にコーラスが入っていて、これが美しい。

歌詞も、思春期ど真ん中の「あやなの」コンビ・お姉さんである「るんちぃ」コンビどちらが歌ってもそれぞれの良さを感じられる青い小さな悩み・鬱屈を歌っていて、どんな人にも共感を呼び起こすものではないだろうか。

「自分ってなんなんだろう」と思い悩んでしまうような暗い夜、駆け出してみたら朝日が見えた、そんな情景が浮かぶ一曲だ。

 

2位 ラブパレード / ukka

ukkaのメジャデビューミニアルバム「青春小節」の一曲であり、ukkaの前身である桜エビ〜ずの名曲「リンドバーグ」を提供した浅見北斗の提供曲。 

80〜90年代ポップスを思わせる都会的なサウンド

生きることの尊さを「バチバチに弾け飛ぶ」「ギラギラに輝く流れ星」など擬音を使いながらの表現がユニークでありながらこれが不思議と良い。

どこか懐かしさを感じるサウンドに乗せてこの歌詞が放たれると、人生讃歌になるのだから驚きだ。

また、2サビで早々に転調する驚きも楽しい。しかも、最早落ちサビとして機能するオケの静かさと壮大さ。ラスサビはタイトルの「ラブパレード」をリフレインして終わる。

サブスク全盛時代、コンパクトな曲作りを求められるなか、3分36秒の中にドラマチックさが詰め込まれたジュエリーボックスのような曲だと思う。

ところで、80〜90年代チックなシティポップがレトロでかわいい、と表現されるとその世代ど真ん中の自分としては、あー大人になってしまったのだな、と感じる、というのは余談だがここに記しておく。

 

1位 光 / TEAM SHACHI

トリッキーな楽曲が多いTEAM SHACHIの中で異彩を放つ、限りなくストレートでわかりやすい「キラキラなアイドルソング」。

10年在籍したワーナーミュージック・アンボルデから離れ、自主レーベル「ワクワクレコーズ」立ち上げ一発目のEP「舞いの頂点を極めし時、私達は如何なる困難をも打ち破る」に収録。

賛美歌を思わせる壮大なコーラスから始まり、ギター、ピアノ、鐘の音とだんだん音が増えて、歌いだしにはストレートなアイドルポップスになっている。

展開もごくストレートで、特段のひねりがないが故に歌詞がすっと入ってくる。

ピアノの伴奏だけで作られる落ちサビに、大黒柚姫の繊細な歌唱が乗るとエモーショナルが溢れ出して止まらない。

「推しメンが作詞を担当した」というごく個人的な感情で一位にした感は否めないが、それでも、何度聞いても魂が揺さぶられる思いがする。不思議と少し前を向こう、と前向きになれるのだから、作詞を担当した秋本帆華の意図どおりで、それがこの楽曲の評価に繋がった。

 

インディーズ/地方アイドル楽曲部門

5位 熱波 / fishbowl

ねっ?ぱっぱらっぱっぱ……とイントロからキャッチーな、サウナをテーマにした楽曲。サウナブームも相まって2022年のトレンド感がバシバシにあふれている。

fishbowlにラップのイメージはなかったが、2022年度の前半で澤口あおい、福田安優子が卒業し高音域が得意なメンバーが不在となったタイミングでのリリースであり、新体制の良さを表した曲とも言える。

イントロの可愛さとラップのグルーヴ感が混ざり合う不思議な曲にして、ああこれは、と何度も聴いてしまいたくなる楽曲だった。

 

4位 幽体whisper / 美味しい曖昧

結構な変態曲だ、と思っているが、間奏前のけだるげな叫びと大暴れするピアノにしてやられた。コンテンポラリーな魅力に満ちていて、不思議と何度も聴き込んでいる。

美味しい曖昧といえば、心地の良いギターサウンドだと思っていたがいい意味で裏切られたのもポイントが高い。

 

3位 パルス / Ringwanderung

リンワンらしいピアノロック。往年のボカロ曲のような音数の多さとトリッキーな歌詞に、2010年代をニコニコ動画とともに過ごした私は案の定撃沈した。

古今東西の呪文を唱えるパートが小気味よく癖になるし、跳ねるようなピアノのリズムもワクワクする。

この曲、楽曲がいいのもさることながらパート割が秀逸で、リンワン随一のアニメ声の辺見花琳、多彩な声色を見せる増田陽凪の使い所が素晴らしい。

ちなみに、調べていたら初音ミクバージョンが存在した。良い。

 

2位 灯り / 開歌-かいか-

6月をもって開歌を卒業した佐々木亜実プロデュース曲。

想い重ねて、と力強い歌声に開歌らしいコーラスが合流し、ストリングス・ピアノ・ドラム・ギターがドラマチックな勢いを作っていく出だしからエモな一曲。

佐々木が変拍子を含め好きな要素を詰めた、と語るように、アイドルが好きな彼女らしく、アイドルオタクに刺さる一曲。

特にコーラスを多用し、開歌らしさ全開ながらも力強さを表現していてるところから、佐々木亜実の開歌への熱い愛情を感じ取ることができる。

楽曲もさることながら、開歌はこの曲を歌いこなせる実力がある。ぜひ、魂が震えるような歌声を聴いてほしい。

 

1位 さがしもの / ばってん少女隊

アイリッシュパンク!と思ってびっくりしていると、和楽器の音がしたり、サビは完全にクラブミュージックだったりとめちゃめちゃに凝っている。

それでいて、耳に馴染みのいいまとまりがあって何度も聞きたくなり、何度聞いたかわからない。

7月の山中湖SPARKで初披露されたが、誰ひとりこの楽曲を知らない現場であるにも関わらず凄まじい盛り上がりを見せるほど、楽曲のパワーがあった。

それでいて音作りに非常に凝っていて、何度聞いても発見があるのが面白い。

何度もいうが、アイリッシュパンク×和楽器×クラブミュージックなんて聞いたことのない取り合わせを、こんなにストレートに楽しめる楽曲に落とし込んだというのがえげつないことだと思っている。

 

アルバム部門

3位 『synchrotron』 / Ringwanderung

インディーズ部門で投票した「パルス」が収録されている2番目のアルバム。

ピアノロックを突き詰めた前アルバムとは変わって、「waving」を始めとしたポップスめいた楽曲も増えていて新しいRingwanderungの魅力を味わえる。

特に「waving」は夏フェスの開放感の中で聴くととても良かった思い出がある。

かと思えば「undead」のようなV系バンドが歌っていそうな楽曲もあり、Ringwanderungらしく楽曲のクオリティを保ちながらバラエティに富む良作だと思っている。

 

2位 『折々』 / 開歌-かいか-

佐々木亜実の卒業証書、とどこかで評されていて納得したアルバム。

これまでの開歌のイメージを覆す「燦然」、「灯り」を収録しながらも、リード曲「だれかに会えるなら」は牧歌的でコーラスが美しい開歌らしい楽曲であったりと、開歌の魅力が花開いた一枚だと思っている。

自己紹介曲「secret summer」や、メンバー4名のプロデュース曲を収録するなど、当時の開歌の名刺となるような一枚。

このアルバムについては、開歌に多く楽曲提供をしているタカハシヒョウリの解説ブログ、佐々木亜実のライナーノーツが存在するのでそちらも合わせて参照されたい。

実は、私はこのアルバムのリリイベから開歌に少しずつ通うようになった。一昨年の@JAMで開歌を見ているはずだがその時点では歌がうまいなあ、と思ったくらいで特段の思い入れはなかったのだ。このアルバムにはフックになる部分が多かったように思う。清純、そのイメージだけでなく、表現力の高さを見せつけられる、良い楽曲たちに恵まれた。

 

1位 『九祭』 / ばってん少女隊

和×クラブミュージックを軸にしたまとまりの良いアルバム。とはいえ似通った曲ばかりでもなく、統一感がありつつもそれぞれ尖った点がある良作。作家陣にも恵まれ、2022年の一位はと聞かれこのアルバムしか思い浮かばなかった。

和×クラブミュージックを軸にして、九州全7県をフィーチャーした楽曲を入れ込むなど、コンセプトがよく練られている。

本作に収録されている「Oisa」「わたし、恋はじめたってよ!」「YOIMIYA」「虹ノ湊」は、それぞれエムカードでのリリースも含めてシングルカットされてるものだが、これらを含めての統一感なのだから恐れ入る。また、シングルカットされた楽曲群はそれぞれに繋がりが見える部分もあり、非常に楽しい。

久しぶりに、一枚のアルバムとしてよく完成された作品を見たなあ、という気持ちでいっぱいだ。

余談だが、全形態に複数絵柄からランダムで1枚、トレーディングカードが封入されており、積むときにも楽しさがあった。少しでも楽しさを、という運営の配慮だと勝手に受け取った。

 

推し箱部門

TEAM SHACHI

今年の4月7日に、晴れて推し始めて10年になる。さすがにこれはTEAM SHACHIに投票しする以外の選択肢がなかった。

2022年は、アルバム「TEAM」に3年越しに収録される楽曲があったりなど、なんとなくタイムリーさがないというか、なんとなくそういう感じはあったが、粒で見るとどの楽曲も素晴らしい。

「HORIZON」はタイアップアニメ「ドールズフロントライン」の世界観に沿った楽曲となり、メンバー個々の魅力が光った。

プライベートレーベル「ワクワクレコーズ」に変わって初めてのEP「舞いの頂点を極めし時、私達は如何なる困難をも打ち破る」はこれでもかととっちらかった楽曲たちを無理くり一枚にまとめた、TEAM SHACHIらしい一枚だった。

私は、TEAM SHACHIの楽曲群は彼女らの「ライブ」という作品の劇伴である、と評価している。彼女たちは楽曲一曲一曲の「点」はなく「ライブ」という「面」で表現をする表現者だ。

だから、点での良さが光る、良い意味で統一感のない楽曲を持っているのだ。

所謂「楽曲派」のグループではない。でも、それぞれ違った光り方をする一曲一曲たちが、ライブという形になったときに放つ異様な輝きを知っているから、私は楽曲大賞の「推し箱部門」としてTEAM SHACHIを推すのだ。

 

君しか描けない未来予想図を見失うな。――TEAM SHACHI SHACHI SUMMER 〜破茶滅茶!夏のサバイバル!〜ライブレポ


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2022年10月10日 19時40分。熱くなった頬を冷たい10月の風に晒しながら、会場に流れる森山直太朗「夏の終わり」を聴いて、ああ、ようやく夏が終わった、と思った。長く待ち望んだ、TEAM SHACHIの夏が終わった。
中止や延期の憂き目に遭いながら満を持して開催された、4年ぶりの「シャチサマ」を通して感じたこと、考えたことを記録したい。

 

目次

 

戻ってきた「夏のライブ」

誰もが見たかったライブがそこにあった。今回の感想は、これに尽きる。

コロナ禍を経て、できなかったことを取り戻すような演出がいくつも組み込まれていたほか、大箱ならではの華を添える演出があった。これが、あまりにも強い「お祭り感」と「夏だ!」という実感をもたらしていた。

難しいことを考える隙すらなく、ただただ楽しい!を繰り出し続ける、これがTEAM SHACHIが10年続けてきたことだ、これを強く実感した。

 

火花や炎が上がるステージ

炎を使った派手な演出は、いつぶりだろう。火花がステージに散る様、火柱があがる様を目撃してタフ民が沸いた。

1曲め目「雨天決行!」のシャウトとともにステージに豪雨のごとく降り注ぐ火花。「番狂わせてGODDESS」のイントロでボッ、ボッ、と上がる炎。「ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL」で会場後方まで熱気が伝わるほど吹き出した炎。改名してから炎を使うのは初めてなのに、これがTEAM SHACHIのライブだ、思った。

それほどに、彼女たちには炎が似合っていた。「燃え尽きるまでこのままで」と自身が歌うように、その身を焦がすようなパフォーマンスを、ステージから吹き上がる炎が象徴しているようだ。そのパフォーマンスを見て、タフ民の血がわっと沸き立つことすら象徴しているように思える。

それほどに今の彼女に炎が似合っていた。それだけでなく、炎を出せるような、演出にある程度の金額をかけたステージができていることが嬉しく、誇らしかった。

彼女たちは、なんの演出もないステージでも十分に満足できるパフォーマンスをしてくれる。しかし、そこに特殊効果が加わると突然大物感が出る。いつも大きく見える彼女たちがさらに大きく見え、それが板についている。

10年選手の風格が垣間見えた瞬間だった。

 

メンバーがそこかしこに現れる、会場全体を使ったパフォーマンス

今回のステージ組は、メインステージから花道を伸ばし、その先端・客席中央に中央にセンターステージを設置、客席最後方の上手と下手に一つずつお立ち台を設置したものだった。

キャパシティが広がるたび、会場後方とメインステージの距離は遠くなる。それに比例するように、心理的な距離が遠くなるタフ民がいても不思議ではない。それを避けるため、どこから見てもメンバーを近くに感じる工夫が凝らされていた。

また、ステージとステージの移動は花道のほか客席を使うなど、「かなたツアー」ぶりに所謂「客降り」が復活した。

いずれもコロナ禍でできなかったことであり、今回復活できた演出だった。

お立ち台を使用した際は、メンバー4人が四方に散らばる形となり、久しぶりの「うわあどこ見よう!」という感覚だった。

特に、4人で歌い継ぐパートは、回転しながら順繰りに歌っているメンバーを指差すことになり、新たな楽しさを見つけてしまった気持ちでいる。

また、アンコールでのメンバーが通路を練り歩くシーンでは、各所各所でドラマが生まれていた。
こんなに人って笑顔になれるんだと思った、とメンバーがコメントしていたが、ライブ中に目が合うというのはどんな接触にも替えられない尊さがある。
また、それが嬉しいと感じたところに、やっぱりシャチは「ライブ」が真骨頂だとも感じた。

とにもかくにも、メンバーがあちらこちらに出現してその姿を探す瞬間や、センターステージでタフ民に囲まれながらパフォーマンスしている姿にも「お祭り感」を感じて、これだ、夏のライブはこれだ!という感情に包まれた。

 

タオル曲の解禁

夏といえばタオルを振り回す、そんなイメージがあるから、今回はタオル曲が解禁され、「JOINT」が選ばれたのだと思っている。

コロナ禍において、感染拡大防止の観点から「タオル回し」は長らく封印されいた。

それが今回、「タオル回し」が解禁となった。

JOINTがかかった瞬間の驚きとともに、「タオル回してー!」と言われたときに慌ててマフラータオルを引っ張り出したことなどを思い出すと、やっと少しずつかつてのライブが帰ってきたと感じる。

タオルを回すだけでなく、RIP SLIMEのカバーであるゴキゲンなナンバーが、少し冷えた10月の空気を一気に夏に引き戻した感覚がした。

 

ステージングの巧みさ

前項でも触れたように、今回のステージ組はメンバーがより近くに感じる工夫がこらさらていた。

「歌と踊りとお客さん」、と前チーフマネージャーが言ったように、TEAM SHACHIのライブは改名してからも、観客と一体になることを一つの柱としている。無観客で開催となった「シャチZERO」にあっても観客の存在を思わせる演出を組み入れるほど大切にされてきたものだ。

これを踏まえ、シャチサマにおけるメンバーとの距離の近さを思い返してみると、「誰ひとりおいていかない」という意思の表れであったように思う。
やはり、ステージが大きくなればなるほど、エンドステージ一つでは「席が遠かった」という気持ちが出やすいというのは想像に難くないだろう。とくに後方には、最後の一押しで公演直前にチケットを買ったタフ民もいたという。

そんな人たちすらも巻き込んで、会場と一体となったステージを作りたい、そんな思いがあのステージ組にも表れていたのではないだろうか。

そうして思いを巡らせてみると、TEAM SHACHIの「届ける」は双方向のものだということを実感する。
あくまでも、タフ民と渾然一体となってライブを作り上げる。メンバーが届けて、タフ民が受け取って、ひとつになって初めてステージが完成するのだ、と実感した。

コロナ禍となってから、客席に近づくことはタブーとされてきて、メンバーと物理的に近いが故の一体感を半ば忘れかけていたように思う。制限がある中でも、会場との一体感を作り続けてきたが、これが今になって爆発した、そう感じた。

さらに語りたいのは、メンバーが各所に散らばってなお損なわれないパフォーマンスの纏まりだ。

サブステージや通路に出ると、どうしてもダンスが見たかったな、と感じるシーンは多くなる。今回のライブでは、そう感じることが少なかった。

おそらく、大切なパーでトや曲(特にsurvivor survivor・HORIZONの並び)はメインステージでしっかりとメインステージフォーメーションを組んでパフォーマンスしていたからだろう。

大箱でありがちな「ダレ」を極力排除して、楽しさとパフォーマンスを魅せることを両立したバランス感覚の良さは、大箱の経験と小箱での洗練されたパフォーマンスを研ぎ澄ませてきた経験双方を持つTEAM SHACHIだからできたことだろう。

 

気持ちが前に出た「DREAMER」

本編ラストの「DREAMER」では、メンバーすら予想ができなかった展開が待ち受けていた。
ラストサビに向けて「僕らは今~」と歌い継ぐシーン。

秋本帆華がサブステージにつながる花道に足をかけて、大見得を切って歌った。

僕らは皆ひとりじゃない
これだけ知ってれば it's alright

次いで、咲良菜緒が花道へ一歩前へ飛び出る。

僕らは皆強くなれる
無機質な現実 break it down

さらに、坂本遥奈は花道の真ん中まで進む。

僕らは皆探している
果てしなく続くよ winding road

そして、大黒柚姫がとうとうサブステージへと飛び出した。

止まらないで忘れないで
孤独は闇に紛れキミに出会えた
In this world

前へ、前へと気持ちがどんどん前のめっていった、と「柚姫の部屋」で大黒柚姫は語った。

とうとう、全員がセンターステージに立った。これがすべて、予定にない動きだったのだという。
あたかも演出であるかのように、自然に4人がタフ民たちに囲まれたセンターステージにいた。スポットライトと4色のペンライトに照らされて、異様な輝きを放っていた。
そして歌われた歌詞が、どうしようもなくその時の「今」を表していたように感じた。

そして、歌詞はこう続く。

なぜに人はねぇ
目に見えないものにこそ強く惹かれる?
震えるくらいに

今初めて出逢う景色の中
眩しい奇跡感じたなら 何度でも (何度でも) 夢を見よう (夢を見よう)
どんな時もこの瞬間は二度とない

ろくでなしなんかじゃないよ
伊達に今日まで生きてないよ
みんなそうっしょ? 僕ら強いっしょ? 選ばれし者でいいでしょ?

威勢よく声出していこうよ
ココロの全部叶えようよ

もっともっと輝こうっと
燃え上がれ タフなソウルで

Dreamer! Dreamer!

4人はこれを、しっかりと前を見据えて歌った。
勢いで飛び出してきて、何も決まっていなかったのに、自然に全員がそう思っていたのだと、柚姫は語った。

この一連の動きが、どんな逆境でも、チーム一丸となって突き進んできた彼女たちのこれまでを象徴しているかのように感じた。
自分たちの気持ちに正直に、時には予定になかったことも勝手に決めて、とにかく突き進んできた。そして、たどり着いた先では大勢のタフ民に囲まれて、前を向いている。

まるで、今のTEAM SHACHIだ。

動員で苦しむことが多かった大阪の地で、ほとんどが埋まった客席を見た時の感動を思い出した。実力と動員が伴っていない、と感じた場面も多かったが、少しずつ、実力と動員の差が埋まりつつある。

「何度でも夢を見よう」は、声出しができる場面であれば、タフ民のリフレインがあった。
そんなパートを、タフ民に囲まれて、4色のペンライトに照らされて歌う光景は、美しい以外に何と形容すればよいのだろうか。

予定調和で終わらないのがTEAM SHACHIの良さだと思うし、これが「ライブ」の醍醐味だ、とあらためて納得させられた。

なんの打ち合わせもないのに、ピッタリ全員の気持ちがシンクロして心のままにパフォーマンスする、これがどんなに尊いことだろう。それがあれほど美しく終わる、10年伊達に生きてない、「選ばれしもの」の風格を存分に味わった。

 

TEAM SHACHIの自己実現

ライブの最後のMCでは、メンバー一人ひとりが丁寧にシャチサマにかけてきた思いや来てくれたタフ民への思いを語った。

その中で「やりたいことができた」と自信を持って語ったのが印象的だった。

TEAM SHACHIは、改名以降たくさんの苦難を乗り越えてここまできた。シャチサマひとつとっても、1度の中止・1度の延期を経ての2022年10月10日だった。

本来の公演時期から振替公演の間では、ワーナーミュージック・ジャパン内アンボルデから独立、自主レーベル「ワクワクレコーズ」を立ち上げ、また新たなスタートを切った形だ。

改名以降、ヒリヒリすることが何度もあった。節目節目のライブでは、今置かれている逆境をどのように乗り越えるかという覚悟と気合を見せるようなライブが多かったように感じる。

そして今、本当の意味で独り立ちした彼女たちが、取り戻したかった「ライブの形」、を演出面だけでなく、動員も伴う形で成し遂げて見せたことに、彼女たちのありたい姿と、それを成し遂げる力があるということを改めて感じた。

だからこそ、こんなにも楽しくて、とにかく頭を空っぽにして楽しめるライブができたのではないか、と思う。自信を持って彼女たちが届けたライブは、見ていて安心感がある。体を委ねて、難しいことを忘れて、ただただ楽しい、に没頭できた。

ライブが終わってすぐさま思ったことは、セットリストや曲に込められた意味の解釈でも、その意味をいろんな人に知ってほしい、でもなんでもなく、とにかく「楽しかった、次のワンマンも早く行きたい」その気持ちだけだった。

このライブを通じて、彼女たちからみなぎる自信を感じたし、まだまだ先にもっと先へ行ける、もっともっと彼女たち自身が思い描くよりもっとさきの「なりたい自分」になれる、お先明るい、と根拠もなく感じた。
「なりたい自分になれない人はいない」と彼女たちが歌うように、もう、夜明けがすぐそこまで来ているのかもしれない。

 

おわりに

あんなに開放的で、コロナ禍のあらゆる制限を忘れるほどに「かつてのライブ」の姿だったにも関わらず、レギュレーションを守り、心の中の全力コールを貫いたタフ民に拍手を送りたい。

シャチの現場では「当たり前」の光景だが、これは「当たり前」ではない、と様々な現場に行くようになってから改めて思う。

楽しいことが大好きだけど、楽しむためにレギュレーションを守るタフ民のその姿が、きっとTEAM SHACHIのメンバーの「なりたい姿」になるための一助になっているのだと思う。
これからも、メンバーが「なりたい姿」により近づくため、シャチメン自慢のタフ民であり続けたい、心からそう思った。

 

EXTRA:全曲レビュー

感情が渋滞しすぎてどうにもまとまらないので、今回は1曲ずつレビューをすることにした。
長い、まとまりない、でも全曲大好きで楽しすぎた!

  1. 雨天決行
    開演までの間、断続的に雨は降り続けていた。だからこそ、このシャウトを聞いた瞬間ヤッター!!!!!と叫びたくなった。
    そしてステージに降り注ぐ火花!会場がこの火花にどよめいていた。のっけからド派手な演出をかまし、「このライブはすごいものになる」という期待をもたらしてくれた。

  2. ROSE FIGHTERS
    「雨天決行」に続いて、攻撃力高の曲でぶん殴ってくるスタイル、控えめに言って最高だった。イントロのブラスの音色が空間を刺すようだ。
    TEAM SHACHI黎明期の曲にして、ひとつの軸になっている大切な楽曲だと思っているから、大切なライブに組み込まれていると嬉しい。
    今回もラストの「始まる」のコーラスが美しかった。最近、とみにこのコーラスが美しい。不安定だと感じることも多かったのに、たったの数年で大きな変化を遂げ洗練されている。

  3. 番狂わせてGODDESS
    ダメ押し、と言わんばかりにまだまだ攻撃力の高い曲を放り込んできた、と思って変な笑いが漏れた。まだ序盤なのに、出し過ぎだ!と思うほど。
    王者の風格があるイントロとともに噴き出す炎、信じられないほどかっこよかった。「さあ吠えろ Let's burn it up」で本当に炎が吹き出したからわあ!燃えた!と思った。激しく燃えるような曲調にマッチしていて、シャチは炎が似合うな、と心から思った。

  4. J.A.N.A.I.C.A.
    ここでガラッと空気を変えて、楽しい楽曲。
    今宵 無礼講 歌え 踊れ 騒げ(カーニバル) お祭りだ!
    この歌詞のとおり、どんちゃん騒ぎへと照準を定めていく。もう難しいことなんて、どうでもええじゃないかー!と言わんばかりのハッピー感。
    「秋だけどシャチサマ楽しんじゃっても、ええじゃないかー!」に大いに沸いた。
    もう、「大人たちが私たちをどうしたいかわからないけど、ええじゃないか」ではないんだな、と振り返ってみて思う。

  5. サマラバ
    夏の大本命。以前に実施した「夏曲総選挙」でも、4位に輝いた楽曲。その当時の記事では、以下の通り予想を立てていた。

    なお、柚姫の部屋や推しマシで突然話題に上ったり、かかったり、もしかしたらもしかするのか…?もしかするならゲストボーカルは誰…?など妄想が膨らみます。

    夏だ!シャチサマだ!そうだ、夏曲総選挙しよう――勝手に夏曲総選挙開票 - 女限エリアからこんにちは

    ゲストボーカルはいなかったが、ダンサーを加えコミカルに仕上げながらも、シャチメンの成長を感じられた一曲だった。
    セットリストに組み込むのがなかなか難しそうな楽曲だが、「J.A.N.A.I.C.A.」に続くことで適度なバカさ加減と夏のエッセンスが混じり、セットリストにも馴染んでいたと感じる。

  6. JOINT
    夏曲・お祭りブロックの締めに位置づけられるだろう位置に、パーリーピーポーなこのナンバーを持ってくることのセンスの良さ。また、タオル回しの復活。ライブの一つのピークがここだったように思う。
    お立ち台を使い、メンバーが近くにきたり、みんなでタオルを振り回して、楽しさをどんどん高めていく感じがたまらなかった。
    会場中がタオルを振り回す姿はまさに圧巻。素晴らしい夏の景色だった。

  7. Rocket Queen feat.MCU
    イントロが流れた瞬間、TEAM SHACHIのライブだ、とスイッチが切り替わるような思いがする。主人公感のある楽曲だと思う。
    ここでがらりとブロックが変わったのだという実感があった。一気にお祭りモードから、パフォーマンスを見せる態勢に代わっていく。
    セットリストのどこに入っていてもはっとする、そんな特徴をうまく使った組み込み方だったと思う。

  8. 江戸女
    何の前触れもなく披露された新曲。提供は川谷絵音
    ミュージカル調でセリフも多く、異彩を放つ楽曲だった。かなり飛び道具感が強く、所見では「驚いた」という感情が強い。
    早く音源を聴きたい、そう思った。

  9. かなた
    久しぶりだ、そう思った。ダンスはなく、歌唱に力を入れたパフォーマンス。「江戸女」から、歌を聞かせるブロックに突入したのだと気づいた。柚姫のハモリがキラキラ光る、良いパフォーマンスだった。

  10. Rainbow
    え?ライブ終わる?というくらいのクライマックス感。
    「かなた」に続き、キラキラしたイメージがアイドルらしさを引き出した。いつ聴いてもいい曲だ。

  11. SURVIVOR SURVIVOR
    キラキラとしたアイドルらしい楽曲群から一変、サイレンの音とともに赤色灯を思わせる照明が光り、大量のスモークでメンバーが隠された。
    その怪しさたるや、「シャチZERO」を思わせるワクワクを感じた。
    深海を思わせる歌詞に、メンバーを隠すスモークが非常に似合っている。またひとつ、ギアが変わったと感じさせる演出だった。

  12. HORIZON
    「SURVIVOR SURVIVOR」に続いてシリアスな空気を纏い、攻撃力をさらに高める「HORIZON」。この流れがカッコいいに極振りをしていてしびれた。
    笑顔を消し、世界観に入り込むこの楽曲をどう「楽しい」ライブの中に埋め込むか、いつも注目しているがこのつなぎはさすがだ、と思った。

  13. AWAKE
    怒涛のアゲブロックへの前奏曲という位置づけで使わることが多いように感じる。
    かっこよさを持ちつつも、POPにもつなげられるこの曲。単純にメンバーそれぞれの見せ場が多く、楽しい曲だから優秀だ。
    ラストサビの疾走感が、アゲブロックへの良い助走となった。

  14. ULTRA MIRACLE SUPER VERY POWER BALL
    火柱が熱かったことが一番記憶に残っている。ばんくる同様に、炎ががよく似合う。なんでTEAM SHACHIこんなに火柱が似合うんだろうか。
    炎に浮かされてか、メンバーからも、タフ民からも気合がみなぎっているのを感じた。ここでやらず一体いつやるっていうの、この歌詞が似合う。

  15. 抱きしめてアンセム
    どんどん上がる会場のボルテージに対して、まだやれるだろ、と語りかけんかのような選曲。
    ここまで煽られたら、よっしゃやったろうじゃん!という感情しかない。メンバーとの「どっちが馬鹿になれるか」のガチンコ勝負だと私は思っている。
    ここまでくると、アドレナリンがドパドパ出ていてほぼほぼ記憶がない。だが、アンセムの真髄は頭のネジを外すこと。最高だった。

  16. 舞頂破
    AWAKEからの流れで「まだ来るか!」とにやにやした。コミカルさが際立つ楽曲にして、今回のパフォーマンスは「エモさ」が際立っていたように思う。
    夢を見るな、とかさ
    煩い雑音が飛び交って
    つまらない世界なんていらない。

    君しか描けない未来予想図を見失うな。
    必ずできるから。
    このパートが、ものすごいきらめきを放っていた。全員が感情を吐露するように歌っていたのが印象深い。
    今までは、絶対できるよ、と応援するような気持ちが自分にあった。それが今は、そうだね、絶対できる、という「納得」に変わっていた。この圧巻のライブが、その納得感をもたらしていたのだと思う。

  17. DREAMER
    舞頂破からの流れが、あまりに美しすぎた。今の自分を誇り、夢をみることを歌うこの歌が、どんどん納得感を帯びていく。
    空を見上げたら、空を覆っていた雲が晴れて、満月がのぞいていた。「決戦の日は満月 思いつきひらめきは抜群」、まさに今日この日を歌っているようだ。
    DREAMERは、いつもその瞬間瞬間に寄り添っている。

 

<アンコール>


  1. 秋本帆華作詞、待望の一曲。
    誰かの背中を押すような曲にしたい、と語られた。
    事前に公開されたティザーを見た段階では、「Today」や「なくしもの」のようなフォーク色の強い楽曲とイメージしていたが、王道のアイドルポップスで驚いた。歌詞も自然とメロディに溶け込む素晴らしいものだった。
    「悔いなきストーリー 栞は挟まない」という歌詞を聴いて、思ったことがある。
    かつて、野外で行われた2014年のシャチサマでの安藤ゆずのMCだ。
    「チームしゃちほこという本があったとして、本のいまどのくらいの位置なんだろう」と、彼女は語った。
    それを意識してこの歌詞が作られたとは思わない。ただ、2度めの野外のシャチサマで初披露となり、まだまだ夢を見続けることを誓った場面で、この曲が歌われたことが嬉しかった。

  2. ノッてけめんそーれ
    アンコールの大事な場面でこれがかかるとは、思っても見なかった。
    しかし、一番楽しい曲だったのではないだろうか。
    沖縄ルーツのサウンドが持つお祭り感と適度に力が抜けた楽しさががバチッと「シャチサマ」にハマった。
    間奏では、メンバーがくまなく客席を練り歩いた。
    友人と私を見つけた推しメンから、信じられない爆レスを受け、友人が腰を抜かしたのもお祭り感だ。
    やっぱり、何度接触していても、ライブ中に受けるレスは特別なのだ。
    きっと、同じようなドラマが会場のあらゆる場所で発生していたことだろう。
    まさにサビの歌詞の通りのお祭り感あふれるパフォーマンスだった。

  3. Today
    大箱ラストの定番となったToday。これがかかると、ライブも終わるな、という気持ちになる。
    タフ民と気持ちを一つにして、ライブは大団円で幕を閉じた。

 

柚姫の部屋まで行っちゃおうよ!――柚姫の部屋フェス2022レポ


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「柚姫の部屋」は毎週月曜夜9時から、TEAM SHACHIのYouTubeチャンネルで配信されている「ハチャメチャ情報教育バラエティ」。

TEAM SHACHIの大黒柚姫、SCRAPの瀬戸口俊介をMCとし、スターダストプラネット所属のアイドルを中心に、様々なゲストを呼ぶこの番組が2021年ぶりにいつものスタジオを飛び出してフェスを開催!

スターダストプラネットの架け橋になりたい」そんな柚姫の夢が形になってから一年、今度はスターダストプラネットのアイドルにに留まらず、バンドも参戦、両部SOLD OUTという盛り上がりを見せました。

更に大きな架け橋になりつつある部屋の主・大黒柚姫と管理人・瀬戸口俊介の馬車馬の如き働きぶりと、それぞれのアイドルたちのきらめきを外部記憶としてここに記していきたいと思います。

もくじ

 

第一部

素人のカラオケ大会

前回同様、恒例となった会場中の瀬戸口俊介のカラオケ大会。前説を挟みながら、3曲も披露されました。

  • Hello Song(星野源
    柚姫の部屋への歓迎の気持ちを込めて選曲された一曲。本当にこの時間嫌だったけど歌ってみると気持ちいいものですね、とコメントのとおり、楽しそうに歌われていました。
    間奏では、昨年出演のアメフラッシといぎなり東北産へ、去年はありがとうまた出てくれよなー!とメッセージと、藤谷美海ーー!!のシャウト、そして次はとき宣さんも出たらいいじゃんーーー!とこのフェスの次への展望を覗かせる場面も。
    もうこの時点で、やったー!部屋フェス最高ー!の気持ちです。

 

  • 君という花(ASIAN KUNG-FU GENERATION
    途中途中で注意事項をはさみながら次の曲へ。メガネロック舐めんなよ!とこの曲のイントロがかかった瞬間の高揚感といったらもう。
    ASIAN KUNG-FU GENERATION、特に「君という花」が収録されている「君繋ファイブエム」はそれこそ擦り切れるまで聞いた思い出がある、青春の音楽なのです。
    密かに期待していただけあって、たまりません。
    間奏で観客にレスを送る瀬戸口俊介も面白く、またアウトロの「オゥイェー」に混じってまたもや「藤谷美海」を混ぜてきていて、もうラッキー藤谷に頼り過ぎでは?早く部屋に呼んでくださいよ、ね、Tさん(※SCRAP営業部所属、柚姫の部屋のディレクター)。

 

  • エンジョイ人生(チームしゃちほこカバー、演・瀬戸口発組合)
    まだまだ素人のカラオケ大会は続く、と思いきや、ステージに上がってきたのは大黒柚姫。え!二人で!?と思いきや、さらにSCRAP所属の小川晶弘が登場。
    この三人で「瀬戸口発組合」(※ももいろクローバーZの佐々木彩夏、B.O.L.Tの高井千帆内藤るな、AMEFURASSHI全メンバー、播磨かなから成る「浪江女子発組合」のパクリ)として登場。
    あっくんが来るならうちわ作ったのに!!!!!!!!!!
    この三人で披露したのは「エンジョイ人生」。これは、ukkaの茜空ちゃんが柚姫の部屋にゲストとして来た際のリクエスト。
    歌唱はほぼ柚姫が担当し、瀬戸口さんと小川さんはダンスに専念しました。
    この小川さんのダンスに真面目な彼の性格がよく出ていて、しっかり振りを落として完璧に踊っていてびっくり。
    瀬戸口さんはといえば、小川さんほどのキレはないもののきっちり振りが入っていたようです。そしてまさかの落ちサビを担当。

    そうずっと
    延長戦は続くよ
    冒険してたいエヴィデイ
    道無き道へと進みましょ
    さあ 遊ぼう! 遊ぼう!遊ぼうぜ!

    この歌詞、いつ聞いても好きです。例えおじさんが苦しそうに歌っていたとしても。
    完全なる悪ふざけのはずなのに、尊いものに見えてしまうのはなぜなんでしょうね。
    この3曲で前座は終了。自分がとんでもない満足感に包まれていることに気づきはて?と思いながら、本編に向かう気持ちを整えるのでした。

 

ばってん少女隊

柚姫から、「トップバッターは私も大好きなばってん少女隊ちゃんです!」と呼び込まれたばってん少女隊

一発目は「Oisa」からのスタートでした。独特な世界観と癖になるメロディでバズったこの曲、柚姫の部屋フェスに来る客層にはだいぶ浸透しているかな?という実感があり、仲間内で「Oisaは来るか来ないか」議論をも交わしました。
この「Oisa」を自信を持って一発目にもってくる姿勢に拍手を贈りたいです。やっぱり、「誰でも知ってる」代表曲があるのは強い。

そして「Oisa」曲中の瀬田さくらの世界観の表現力はずば抜けている。曲の無機質さにあわせて表情を消した姿は、まるでアンドロイド。素晴らしい。

2曲目は打って変わって、楽しく踊れる「ジャン!ジャン!ジャン!」。これは、柚姫が好きだと言い続けたからセットリストに入れてくれたのでしょう。そんな柚姫はステージ袖で踊りまくってめちゃめちゃ汗だくになったそうで……

このあとたくさん出番があるのに、何やってるのあなたは…そんなところが好きなのだけど。

柚姫の話はともかくとして、一気に会場はハッピーな空気に。MCを挟んで披露された「虹ノ湊」でもその空気は続きます。

ライブハウスの音響で「虹ノ湊」を聴くと、爽やかなサウンドの中にズン、と響く重低音を感じられていいなあと思います。

その後、新曲の「和・華・蘭」、「Freeな波に乗って」、「さがしもの」とパフォーマンスされました。

「和・華・蘭」は春乃きいなの担当県であり出身地の長崎をテーマに、daokoが制作に関わっているのですが、これがまたいい。

クールな空気をまとう「笑わない曲」に分類され、「登り坂下り坂」から始まり、「ランタンフェス」「ハウステンボス」とことん長崎要素を詰め込んでもなお、世界観を崩さないところが素晴らしい。

「大好きなこの街を守りたい守りたい」と春乃きいながしっとりと歌うところも、長崎という土地の歴史を感じます。吐息交じりの歌い方もセクシーで、今のばってん少女隊だからこそ出せる魅力なのではないかと思います。

近年、種々のローカルアイドルが洗練された楽曲で勝負を仕掛けてくることが増えているアイドルシーンで、「和・華・蘭」のような楽曲があることは強みになるのだろうな、と感じています。

最後に披露された「さがしもの」も、佐賀県をテーマにした楽曲で、わかりやすくノリやすい一方、目新しいアイリッシュパンクな曲調と和楽器サウンドが融合するなど、楽曲面でもかなり注目しています。

「さがしもの」はみんなで振り付けを真似して楽しめるだけでなく、高速のステップも見どころ。イントロで弦楽器が高速で刻むメロディに合わせて踏む高速ステップ、理解はできるけど一生真似ができる気がしません。

驚くのがあんなに高速のステップを踏んでいるのに、上半身の縦揺れが極端に少なく見える点。今回もお見事でした。

「虹ノ湊」にも通ずる楽しさ・楽曲の捻り・ハイクオリティなダンス、この三拍子が「新しいばってん少女隊」を形作っているように思えました。和×クラブミュージックの基礎となった「Oisa」から、大盛りあがりを見せた最新曲「さがしもの」まで、過去を含めた「地続き」っぷりが見事で、お腹いっぱいなパフォーマンスでした。

大満足のステージを終えて、主と管理人とのトークをほくほくと眺めていましたが、上田理子から悲しいお知らせが。

ばってん少女隊から、新メンバーの俊介が卒業するとこのこと。

一度もステージでパフォーマンスを見られないまま、俊介は卒業してしまいました。でも、彼の「喋りは白帯、眼鏡は黒縁」が最後に聞けてよかったと思います。

柚姫から大丈夫だよ6人のほうが絶対売れるよ!と太鼓判を押され、番中野サンプラザ公演に向けて気持ちを新たにしたのでした。

がんばれ、ばってん少女隊!負けるな、ばってん少女隊

…おい、SCRAP悪ノリがすぎるぞ!

 

THE STARBEMS

TEAM SHACHIの「Rock away」がヒダカトオル提供という縁で出演となった唯一の「スタプラ外・非アイドル」のアーティスト。

とはいえ、ヒダカトオル本人は「これが令和のアイドルだ!」と大見得をきっていました。

アイドルオタク、それもスタプラのオタクが集結する中で、大ベテランは堂々たるパフォーマンスでした。かっこよかったです。

一応予習はしてきたものの、分かった曲は1曲のみでしたがとても楽しめました。

会場である川崎クラブチッタには巨大なミラーボールが設置されています。唯一そのミラーボールを使ったのはTHE STARBEMSでした。私、ミラーボールが回れば何でも良くなっちゃうパーリーピーポーなのですが、この演出がやっぱり非常によくて。
一貫したパンクサウンドの中でも少しクラブミュージックに寄せた楽曲でミラーボールを回されたら、好き以外になにもない。

そして、待望していたのがTEAM SHACHIとのコラボパフォーマンスの「Rock away」。

ヒダカトオルとのパフォーマンスは2020年の「シャチZERO」以来、「Rock away」を一緒に披露するのは2019年の夏ぶりです。

TEAM SHACHIメンバーはRock awayで着用した衣装で登場。バンドセットとブラス民、シャチメンでステージはギュウギュウ。

THE STARBEMSとブラス民の演奏の音圧に圧倒されるも、シャチメンのボーカルも負けない強さがあるのに「これだよ!これ!」とうなずいてしまう。

ほんとに、生音が似合うグループです。2019年の夏、数々のロックフェスを回っただけあってお客さんを巻き込む力もピカ一でした。

THE STARBEMSを見て思ったのは、やっぱり私はバンドサウンドが好きだし、音楽に身を委ねて体を揺らすのは楽しいということ。ベースの方が楽しそうに演奏されているのが印象的でした。

 

マイグロ

たこやきレインボー春名真依とTEAM SHACHIの大黒柚姫の限定ユニット。

春名真依ことまいまいは、柚姫の部屋新春超特大ロング生配信に出演するなど、柚姫の部屋との縁も深い人。たこやきレインボーが解散してからは、歌唱やダンスなどのパフォーマンスの機会はなかったようで、まいまい推しも集結していたようでした。

パフォーマンスはまいまいのソロ曲「まいっちんぐ☆まいまいマジック」からスタート。柚姫とふたりのパフォーマンス、こんな機会次にいつあるかわかりません。

全体通して思ったことですが、わたしの中のまいまいは、舌っ足らずで愛嬌が超一級というイメージがあったのですが、顔は小さいし、手足は長いし、ダンスも歌も昔見たときとはレベルが違って驚きました。

マイグロの目玉パフォーマンスはモーニング娘。の「気まぐれプリンセス」のカバー。一部のハロヲタタフ民からカバーを待望されていたこの曲が、スペシャルなユニットで実現されましました。

気まぐれプリンセス」はモーニング娘。の楽曲だけあって、ダンス・歌唱ともにかなりの実力を要するもの。マイグロの二人はこれを完璧にこなして見せました。柚姫の「セクシー」は見慣れてきましたが、まいまいのセクシーに触れてまた違った魅力を見つけ気持ちでいます。

照明演出もかなりよくて、お顔や姿を見せるというよりは雰囲気を重視したもので世界観がばっちり表現されていました。

最後はチームしゃちほこの「ザ・スターダストボウリング」。かつてまいまいが初めてたこやきレインボーとしてステージに立った時の思い出の曲ということでリクエストされたものだということ。

かつて、チームしゃちほこのイベントのお手伝いにたこやきレインボーが来てくれる、というのはよくあったことで、私も初現場である一周年記念イベントを思い出しました。そのころのたこ虹ちゃんはまだすごく小さかったのに、こんなにきれいなお姉さんになって…と感慨深くなるのでした。

そんな感慨も、「スタボ」の前には空の彼方へ。「私、絶対レーンの前では泣きません!」とまいまいのキュートな声で言われて盛り上がって、サイコー!となるのでした。

最高のパフォーマンスを終えた「マイグロ」、柚姫とまいまい二人のセルフプロデュースで、衣装や歌割りも二人だけで決めたそう。本人たちも言うように、この一度きりで終わるのはあまりに惜しい。

また見たい二人ユニットでした。

 

TEAM SHACHI

トリは部屋の主属するTEAM SHACHI。今回もブラス民を引き連れて、「ガチ」のパフォーマンスを見せてくれました。

やっぱり、私達の大切な大切な仲間の「ブラス民」を沢山の人に見てもらえる機会があることはこの上ない喜びだな、と思います。

わかっている私でも、「番狂わせてGODDESS」のイントロのファンファーレは圧倒されます。比較的新しい曲ながら、「TEAM SHACHIのライブが始まるぞ!」とボルテージと期待が膨らんで弾けるのがわかる。圧倒的ドホームでも、「刮目せよこれがTEAM SHACHIのライブだ!」と言うかのような気合の入り方。

畳み掛けるような「そこそこプレミアム」「AWAKE」の流れもお見事。ラウドポップを定義した「AWAKE」が、こんなに盛り上がる曲として定着しているのが嬉しいですね。

「JIBUNGOTO」でブラスの音色を堪能しつつ、最後に披露されたのは最新曲「舞頂破」。

これだけ盛り上がる曲を連発した後(特に柚姫は3度の早替え、MCで出ずっぱり、マイグロパフォ後)にも関わらず、このハイカロリーな楽曲をもってくる姿勢。好きです。

秋本帆華の妖しさ、叩きつけるような柚姫の妖歌い方、サビのなおちゃんのハイトーン、スーパー坂本遥奈タイム、どれも絶品でお腹いっぱい。

「楽しく踊れる」なTEAM SHACHIを見せてくれるパフォーマンスでした。

 

第二部

素人のカラオケ大会

二部もしっかりありました、素人のカラオケ大会。一部より更にパワーアップした

  • 新宝島サカナクション
    番号が遅かったため、ゆっくりみれずに無念。セトグラーたちが楽しそうに踊ったり、うちわを振ったりするあたたかなフロアで、気持ちよさそうに瀬戸口俊介が歌っていました。
  • YAH YAH YAH(CHAGE and ASKA
    瀬戸口俊介&小川晶弘の2名による「おがわ&あきひろ」でのパフォーマンス。
    スターピース過ぎて、会場は大盛りあがり。何色振ったらいいかわからん人たちが白く燈したペンライトを振っている姿に、瀬戸口俊介は「立ったらいいじゃん!」と会場を煽りました。そして総立ちになる会場。
    もう、何を見せられてるんだよ!とおもいながらも全力で悪ふざけをやり切る大人たちはキラキラして見えて、え?まだ開場中だよね?というくらいのテンション。いい曲です。
  • エンジョイ人生(チームしゃちほこ)
    そしてまた、瀬戸口発組合によるエンジョイ人生が披露されます。2部は新メンバーにSCRAP営業部から水上さん、今るなさん(B.O.L.Tの内藤るな)を加えた豪華なパフォーマンスに。
    途中、震源地であるukkaの茜空ちゃんがカメラを手に横切ったり、悪ノリの女王・咲良菜緒が横切ったり、グランドフィナーレか?ほどの盛り上がり。
    落ちサビは変わらずしゅんちゃん。いい歌ですね。ほんとに。
    内藤るなさん、いつレッスンしたの?というほど振り付けが完璧でした。プロはさすが、と思うとともに、それと並んで遜色のない小川さん、ドルヲタとしてのプライドを感じました。
    そんなおなかいっぱい、さらにパワーアップしたオープニングアクトを経て、本編へと移り変わります。

B.O.L.T

大好きな「夕日の後の夜に」から始まり、「Please Together」や、「Hear you」など、好きな曲が詰まったセットリストで大満足でした。

「夕日の後の夜に」、空気がガラッとB.O.L.Tのライブだ!と変わるのがすごい。強く前に出るバンドサウンド、切なくなるくらいのエモーショナルさとそれでいて爽やかさを残すボーカルが、B.O.L.Tらしさだなと思います。

「Please Together」は、もう一つのB.O.L.Tらしさの「楽しさ」がギュッと詰まった楽曲。「オネガイシマス」とペコペコする振り付けが楽しいし、メンバーの笑顔も弾けていて最高。「四の五の言わずにはい土下座」で敬意を込めて土下座させていただきました。

一番驚いたのは「Hear You」。いわゆる聴かせる楽曲で、対外試合で聴けることが意外でした。ほんとにこの曲はコーラスが素晴らしくて、ただただ惹きつけられて魅入ってしまう。

メンバーの表情も素晴らしく、耳も目も幸せでした。そして間奏のギターがなんとも私の青春時代(バンドばかり聴いてきた暗い青春)を想起させて、たまりません。

全体的に、定番曲と最新曲を抑えながらもB.O.L.Tの様々な魅力が発見できるステージでした。

CROWN POP

ブルー×ピンクのフリルとレースがたっぷりついたかわいらしい衣装で登場。
私、この衣装が大好きなので拝めて幸せでした。クラポちゃんは比較的大人っぽい衣装で目にすることが多かったので、めいっぱいガーリーで甘い衣装は新鮮。
全員ビジュアルがパーフェクトなクラポちゃんだけあって、全メンバーよくお似合いでした。

パフォーマンス面では、とにかく洗練されているという印象を強く持ちました。歌はいぶいぶこと三田美吹が中心となり、全員の歌唱力がジャンプアップしている印象があります。
ダンスもとにかくきれいで、ダイナミック・天真爛漫なイメージが強いスタプラの中で、異色を放っているなといつも思います。

夏フェスで聞きそびれた「夏恋スコール」が聞けて、大満足でした。「嫌いで好き」と繰り返されるサビのなんといじらしいことか。MVもかわいらしくて大好きです。

 

ukka

りじゅちゃん俺だーーーーー!!!!(1年ぶり2回目)

メジャーデビューミニアルバム「青春小節」リリースイベント真っ最中のukkaは、ミニアルバム収録曲を中心にお手本のようなフェスセトリで挑みました。

何といっても、最新曲「空想トラベル」の歌い出し。推しの村星りじゅちゃんが歌っているという贔屓目を抜きにしても、あのハイトーンをきっちり1曲目で当ててくるのはいつ聞いてもすごいな、と思います。歌い出しのりじゅ&あやめコンビの歌唱力でぐっと心を掴んで、サビのフリコピは楽しく、フェスの1曲名にはぴったりだな、と感じました。ラスサビ前、推しの「遊ぶぞ!」がたまらないです。

「エビ・バディ・ワナビー」は「空想トラベル」、その次に披露された「AM0805の交差点」よりも更にギアを上げた楽しさがそこにありました。空ちゃんは「SCRAPってなんですのん?」とお得意のアドリブも混ぜて。

更に「キラキラ」を放り込んできたところが真っ向勝負のフェスセトリ、という感じ。

そしてメンバーが紫のリボンをつけていたことから期待をしていた「それは月曜日の9・時のように」。ukka・柚姫の部屋MCがお互いに「勝手に柚姫の部屋のテーマソングだと思っている」と語っているので、もう公式ソングなのではないでしょうか。

前回の柚姫の部屋フェスでは、残念ながら欠席となったもあちゃんの立ち位置に柚姫が入る形でしたが、今年はもあちゃんもいて、更に結城りな・葵るりの新メンバー「りなるり」コンビを含めた6名とのコラボパフォーマンスとなり、柚姫も満足げ。

前回はメンバーが大幅に減っていたタイミングで、さらにもあちゃんの欠席もあったこと、チケットが売り切れたタイミングで追加出演であったことから「試練」という空気が漂っていたことを覚えています。

それから一年、りなるりもukkaにとって欠かせないピースになり、今年はフルメンバーで、柚姫の部屋フェスのパフォーマンスとしても、ukkaとしても、「お先明るい」空気が漂っていて、ハッピーな空気の「それ9」がより愛に溢れたものに聞こえました。

「台場の方まで行っちゃおうよ」を「柚姫の部屋まで行っちゃおうよ」と歌詞を変えて歌う茜空さん、ウッキウキに見えました。そして、やっぱり柚姫の歌声はシティポップに合う!違和感がなさすぎて、ukkaメンか?と疑うくらいに馴染んでいました。これも、彼女の人柄故なのだろうな、と何度目かの納得。

そして「Viva La Vida」で大団円。人生万歳を歌うこの曲、このフェスで何度も披露された「エンジョイ人生」と通ずるテーマでもあり、なんだか繋がった感じがしました。最近のukkaのお先明るさともマッチして、大団円でukkaのパフォーマンスは終わったのでした。

 

TEAM SHACHI

この日のパフォーマンス、非常によかったのだけれど、どうしても語りたいのが「Rainbow」。「Rainbow」は、TEAM SHACHIの楽曲の中で大切な曲と位置づけられていて、ライブの大切なシーンで披露されることが多い楽曲です。

披露されるたび、メンバーからの愛を手渡されているように感じる「Rainbow」。主にワンマンで披露されるからこそ、タフ民とメンバーの親密さを感じる曲です。これを、柚姫の主催のフェスで披露した。一気にホームだ、という気持ちになるとともに、普段はタフ民ではないルームメイトも優しく「ホーム」に、いや「部屋」へ招き入れてくれ、柚姫が身体いっぱいに抱えている溢れんばかりの愛をルームメイトひとりひとりに手渡している、そう実感しました。

フェスでは、「柚姫の人柄」が語られることが多くありました。人懐っこくて、面倒見のいい柚姫ちゃん。重たいくらいにファンのことを好きな柚姫ちゃん。その彼女の愛が、会場に降り注いでいるように感じました。

このブログで何度も何度も書いていますが、自分は何もできない、と泣いていた女の子が、こんなに大きく成長した姿が見られること、彼女が放つハッピーなオーラを中心にフェスが回っていることに胸がいっぱいになりました。

「柚姫の部屋」というコンテンツ、ひいては大黒柚姫の魅力を改めて実感した素晴らしい選曲でした。

グランドフィナーレ:エンジョイ人生  

走馬灯かな?と思うほどにまぶしく、それくらい幸せが溢れていた最高のステージでした。

二部出演のメンバー+ヒダカトオル+スタッフが総出でステージに上がり、みんなで「遊ぼう!」と歌う曲を踊る姿はまさに「柚姫の部屋」。アイドルもスタッフも関係なく、ワチャワチャガヤガヤ楽しく笑っている姿がああ、柚姫の部屋だなあ、と思ったのです。

なにか物を持っていないとステージに上がれない、という謎のレギュレーションのもと、楽屋にあったであろう差し入れやケータリング、メイク用品、消毒液など、思い思いのアイテムを手にゲラゲラ笑う出演者+スタッフの面々。これがたのしくなくて、なんだっていうんだ。

急遽の出演だったそうで、ふわふわ踊るアイドルたち(ヒダカトオルは裏で動画を見て練習したそうですがふわふわでした)のなかで、きっちり完璧に踊り通す小川晶弘さん、ここでも真面目さがピカピカに光っていました。

歌唱はほぼ柚姫が担当、瀬戸口俊介もマイクを持っていたものの、落ちサビでは本家の咲良菜緒に手渡されました。

おじさんたちが複数いる舞台の上で、「遊ぼう!遊ぼう!遊ぼうぜ!」、まさに今じゃん、これしか感想がありません。

謎解きを通じて、楽しさ・悔しさ・信用のある不信感を届けてくれるSCRAP。柚姫の部屋でも、大人たちが全力で悪ふざけしながら、楽しいものを提供しようとしている姿が私は大好きです。

SCRAPと柚姫の部屋がずっと続いていてほしいし、何歳になってもずーっと一緒に悪ふざけしてほしい。そう願い続けています。

来年はもっとでっかい会場で、もっとでっかいでっかい悪ふざけをSCRAPさんがしてくれることを期待せずにはいられません。
来年はもっとでっかい会場で、柚姫の部屋フェス待ってます!

それは女神か仏か――ライブナタリー「起こせアクション!nobodyknows+さんとレペゼン052❤️」レポ


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ライブナタリーは、ナタリーが主催するライブイベントである。

TEAM SHACHIは、昨年5月にBOYS AND MENとの対バンイベントでタッグしてから2回目のコラボレーションである。今回は「起こせアクション!nobodyknows+さんとレペゼン052❤️」と題し、TEAM SHACHIと同じく名古屋にスタジオを構えるnobodyknows+をゲストに迎え、熱いライブを繰り広げた。

本稿では、TEAM SHACHI・nobodyknows+双方のライブの感想を簡単にまとめるとともに、初披露となったTEAM SHACHIの新曲「舞頂破」について自分なりの分析・これからの期待について書きたいと思う。

 

目次

 

side TEAM SHACHI

TEAM SHACHIは、4月のツアーファイナル以降主戦場をフェス・対バンイベントに移し活動してきた。

今回のライブは全編通しで2時間30分の大ボリューム。途中nobodyknows+のパフォーマンスがあるもののこのボリュームのライブは久しぶりとなる。加えて、フェスや対バンでは帯同しないブラス民が久々の参戦、新レーベル一発目の新曲の初披露もあった。

結論、久々の熱いライブで筋肉痛になるほど踊り狂ったし、Tシャツがびっちょり濡れるほどに汗をかいた。これこそ、TEAM SHACHIのライブだ。

ライブは「ROSE FIGHTERS」から始まり、「こだま」「BURNING FESTIVAL」と定番曲かつブラスの映える曲で「TEAM SHACHI」はどんなグループかを示した。

この一方で、「眠れないナイNIGHT!」や「でらディスコ」など、クラブサウンド寄りの楽曲を組み込むなど対バン相手を意識した選曲も見られた。「いけいけハリウッド」は、nobodyknows+のスタジオでレコーディングしたという縁もあり、セットリストに加えたのだという。
前半は比較的攻めの楽曲を選んでいたように思う。一方、後半は「よろしく人類」「You!」「Rainbow」等アイドルらしい楽曲も盛り込まれ、ぞんぶんにTEAM SHACHIらしさを見せられたのではないだろうか。

トリックスター的に「Kissy-麺」が改名後初披露されたことも、特筆すべき点だろう。私はこの楽曲の洒落が聞いた歌詞やすっとぼけたサウンドが大好きで今か今かと披露を待ちわびていた。まさか対バンで披露されるとは思わなかったが、久しぶりに回収ができて沸いたのは事実だ。(「いただきっニッポン!~おみそれしましたなごやめし~」といい、名古屋めし絡みのニッチな楽曲が対バンでぽつんと披露されるのは、永遠のミステリーだと思っているのは内緒にしたほうがよいだろうか)

全体を総括すれば、パフォーマンス量も含めてTEAM SHACHIのライブをしっかりと味わえるそんなライブに仕上がっていたと感じる。

また、nobodyknows+のパートを含め、今回は照明演出が印象的だった。演者の背後にあるLED照明がとにかく美しい。激しい楽曲では赤いフラッシュライトが激しく点滅したと思えば、「Rainbow」では虹色に輝いていた。
これがライブをより引き立てたのは言うまでもない。
特に印象深いのがTEAM SHACHIとnobodyknows+のコラボパフォーマンス「ココロオドル」の演出だ。TEAM SHACHIのパフォーマンスが全て終わり、最後にとnobodyknows+のメンバーを呼び込むと、それぞれのメンバーが所狭しとステージ上を走り回った。このライブの大団円だ。
最後の最後で「呼応する心響き続ける」と高らかに歌われた瞬間に会場すべての照明が明るくついた。このカタルシスといったらない。
同じ明るさで照らされたステージと客席を見た瞬間、ああ誰もかれもが一つになった時、ああココロがオドっていたのだ、と実感したのだ。これが良すぎて、その後の余韻がいつまでも続いた。

過去にも別のライブで似た演出を経験しているのだが、まるで夢から覚めてしまったような、そしてまだ夢心地のような不思議な気持ちになる。「終わってほしくないと願いながら大団円で終わること」がこんなにも美しく尊くいものなのだ、と改めて感じた。

退場の影アナが入ってなお鳴り止まない手拍子を鳴らしながら、客席みんなと同じ気持ちを味わった気がしている。

 

side nobodyknows+

さすがベテラン、圧巻のライブパフォーマンス。7曲のパフォーマンスだったにも関わらず、満足感が凄まじい。

ライブは「Hero's Come Back!!」のコラボパフォーマンスから始まり、9割がタフ民だったフロアをちんちこちんに盛り上げた。

どれほど盛り上がったかというと、タフ民は思い思いに腕を上げ、跳ね、踊り、nobodyknows+の単独ライブ?と疑いたくなるほど。

私を含め、nobodyknows+が世代というタフ民も多かったと思うが、もとより音楽に合わせて体を動かすのが(もっと言えば踊るのが)好きなタフ民とノリの良いヒップホップの相性はいいのかもしれない。

更に驚いたのは、ほとんど初めて聞く曲だったというタフ民が多くいたことだ。にも関わらず、あんなに盛り上がることができたのはnobodyknows+の実力以外の何物でもないだろう。踊り狂うタフ民を見て、ノリ・ダ・ファンキーシビレサスは「タフ民はみんな優しい」とコメントをしてくれた。実際、普段はコピー(ステージと向かって逆向きに振り付けを真似すること)のタフ民も、相手に合わせてミラー(ステージと向かって同じ方向に振りを真似すること)で振りの向きが揃っていったのも一体感があった。

タフ民からすれば、乗りやすい曲をかけてくれて、好きな乗り方でいいと煽ってくれて、また更に「君らの持ってるその光るやつ振ってくれ!」とアイドルオタクの応援スタイルにリスペクトを見せてくれるnobodyknows+が優しいんだよ、と思う。その双方向のリスペクトが、フロアの一体感を産んだのだろう。

コラボパフォーマンスであった「Hero's Come Back!!」の盛り上がりだけでなく、心のコール&レスポンスで盛り上がった「ワサワサ」や、前述のとおりミラーできれいに揃った振りコピでペンライトの海を見せた「愛のテーマ」など、盛り上がるポイントが多く用意され、楽しかった記憶しかない。

nobodyknows+のパートでは、最大のキラーチューン「ココロオドル」をRemixバージョンで披露したのもライブのうまさだ、と思う。
前述のとおり、ライブの最後に全員で「ココロオドル」をコラボパフォーマンスを行なっている。だからこそ、nobodyknows+単独のパフォーマンスとして見られて良かったと思う。ノリ方も予習になり、オーラスでの盛り上がりにも一役買っていた。
また、ここで「ココロオドル」を披露することで、予想している予定調和が揺らぎ、この先のライブの展開の予想が付きづらくなったとも感じている。だからこそ、ここで「ココロオドル」を披露した大きな意味があったように思う。

兎にも角にも、観客の乗せ方、ライブの組み立て方、パフォーマンスのクオリティ何をとっても素晴らしく、観客としても大きな学びとなったステージだった。

 

「舞頂破」の可能性

「舞頂破」は、ラウド・ポップ・ブラスの三本柱を今一度据え直す楽曲、そう解釈している。

「舞頂破」の考察に入る前に、これまでの楽曲を私なりに振り返ってみたい。TEAM SHACHI初期の楽曲は、どちらかといえば「ラウド」「ブラス」の2要素を押し出したものが多く、とくにシャチZERO以降暫くはその傾向が続いていたように思う。一方、「ポップ」は「ラウド」と混在することは少なく、楽曲群を俯瞰したとき点として存在することが多かったように感じる。雑駁に言えば、「ラウド・ブラス」あるいは「ポップ・ブラス」と二極化していたようなイメージがあるのだ。

わかりやすく1stミニアルバムを例に取ると、「DREAMER」「ROSE FIGHTERS」はわかりやすく「ラウド・ブラス」だが、「グラブジャムン」は「ポップ・ブラス」に寄ったもので、「ラウド・ポップ」が混ざり切る前の作品と言えるだろう。

要は、「ラウド・ポップ・ブラス」の三本柱が一つの楽曲に詰め込まれているものはまだまだ少ないのだ。「AWAKE」や「番狂わせてGODDEES」はこの三本柱がしっかり落とし込まれている楽曲だと思うが、まだまだその曲数は少ない。
「AWAKE」と「番狂わせてGODDEES」におけるラウド・ポップ・ブラスについては、坂本氏が詳細に論じているため、ここでは多くを語らずにおく。

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さて、ここに来て「舞頂破」は、キャッチーで激しい振り付け・「なんまいだーなんまいだー」という歌詞のエキセントリックさ・背後で轟音のように響くラウドなバンドサウンド・最後の最後で隠し玉のように出てくるブラス民と、とことん「ラウド・ポップ・ブラス」を研ぎ澄ました楽曲であるように感じた。

特に振り付けの激しさ・真似のしやすさは一級品。
サビでは「舞頂破!」と叫びながらヘッドバンキングがあるだけでなく、ヲタ芸のロマンス、歌舞伎の見得を切るポーズなど、思わず真似したくなるチームしゃちほこから続くTEAM SHACHIらしさが満載だ。それに加えて「なんまいだー」は、チームしゃちほこごく初期のトリッキーかつコミカルさを彷彿させる。

その一方で、サウンドはかなり重厚だ。メンバーが「咲良菜緒が好きそう」と語るように、メタルに片足突っ込んだか?と思うほど激しいバンドサウンドが背後で鳴る。坂本遥奈のラップパートはこの楽曲の大きな見せ所で、持ち前のスキルをさらに研ぎ澄ませている。

では、「ブラス」はどうだろうか。ブラス民はラストサビの一部の最後の最後、あたかも次の楽曲のためのファンファーレを吹き鳴らすかのように登場する。
そのため、「ラウド・ポップ」の二本が強調されるものとなっているように一見見える。しかし、私にはこれが「ラウド・ポップ・プラス」の三要素をより強固にするものに見えるのだ。

というのも、先に述べたようにTEAM SHACHIの楽曲群には、「ラウド」「ポップ」「ブラス」それぞれの要素が分離されて存在する楽曲もあれば、2つあるいは3つが混合した楽曲もある。その幅広さゆえに、ライブでの変幻自在さや楽曲の並べ方に意外性を持たせたり、驚きを与えたりすることができることは強みではある。

一方で、それらの要素を持つ楽曲群をテンポよくかつ流れを切らずにつなげるのは至難の業だ。特に、ごく初期の打ち込み音が目立つようなコミカルな楽曲と「ラウド・ブラス」の要素を持つ楽曲は相性が良いとは言いづらい。

そこで改めて「舞頂破」を見ると、振り付けやセリフ、「なんまいだー」等過去の楽曲の持つコミカルさを踏襲しつつも、楽曲はラウドに寄せていることを特徴として上げることができる。そしてその流れで最終的にホーンが吹き鳴らされるのだ。ここから、どんなしゃちほこ曲からでもTEAM SHACHI楽曲へときれいに繋がるでは、という期待が膨らんだ。

つまり、これからのライブで「ラウド・ポップ・ブラス」の要素を強め、「TEAM SHACHIとチームしゃちほこの融合」を深化させるために生まれた楽曲が「舞頂破」だと私は解釈した。

まだ話は終わらない。この楽曲に、「From Nagoya」の精神が隠れていることに、気づいているだろうか。
なぜ、「なんまいだー」なのか。なぜ、「合掌」や「座禅」のポーズが取り入れられているのか。なぜ、仏教なのか。

この答えは、愛知県はお寺の数が日本一多いからだ、と予想している。
味噌カツ手羽先、名古屋城テレビ塔など数ある名古屋要素を出し尽くしたその先が「なんまいだー」、ここに至ったか、と膝を打った。
ものすごく雑にまとめると、初のシングルであった「恋人はスナイパー」をTEAM SHACHIナイズすると、「舞頂破」が生まれるのだ、と思う。

だらだらと書いてしまったが、「舞頂破」は、「ラウド・ポップ・ブラスをフロム名古屋の精神で」がまた一つ形になった楽曲なのだ。これが自主レーベル一発目なのだから、これから先の楽曲群に期待が高まる。

ただし、たびたび登場する「虎ひしぎ」のポーズの謎は私の中で予想がついていない。古武術に存在するものらしく、このポーズをしたまま階段を上ると疲れない(秋本・談)、寝た状態で横キックができるようになる(坂本・談)など身体能力を向上させるものらしいが、これを語るとさらに長くなってしまうので、詳細は8/27に行われる新レーベルにかかわる発表の生配信を待ちたいと思う。

 

 

そのた、もろもろ

入りきらなかった色々をすくい上げるコーナー。読まなくて大丈夫。横道逸れまくり、真面目な考察はなし。

  • 最後につく客電の話は、実はこのブログに置いてあるレポに出てくる。もう7年も前だ。驚いた。
  • 何の曲か忘れたけど、ほのゆずきが下手でめっちゃいちゃいちゃしていて気が狂った。最初は柚姫がバックハグしつつほーちゃんの口元に自分のマイクを持っていくなどしていたのだが、最終的にほーちゃんが柚姫をおんぶしてた。やめろ。ころすきか。
  • 舞頂破で秋本帆華が「さあ、崇めよ」的なセリフを言っていたけど、乙女→女神→仏と転職激しくないか?とちょっと笑ってしまった。仏教要素なので、神ではないので…ほ、仏…次は天使かな、あ、もう天使か…
  • 「舞頂破」、「HORIZON」の要素も継承している気がする。おそらく、ハルちゃんのラップパートと秋本帆華のセリフが目立っているからそう感じるのだと思う。「AWAKE」感もあって、TEAM SHACHI2.0感がある。
  • ゴヤと寺について語ったが、これがまたタイムリーというか、自分のジャンルを超えたSS(すきなひとしかすきじゃない。決して誰でも大好きではない)ぶりを発揮したせいだ。
    この日は、nobodyknows+との対バン、「起こせレペゼン052」(※052は名古屋の市外局番)ということでnobodyknows+さんが楽曲提供していること、名古屋つながりでヒプノシスマイク*1のナゴヤディビジョン*2 Bad Ass TempleのTシャツを着ていった。
    Bad Ass Templeはその名のとおり僧侶をリーダーとするチームで、ナゴヤっぽいガラと治安の悪さを持つ一方絆の強いグループだ。なぜリーダーが僧侶かといえば、愛知県は日本一お寺が多いから、という知識があっただけに、「なんまいだー」と歌いだしたときはハ?と思った。紫*3だしナゴヤだし、まだ一回も着たことない*4し、ノーバディーさんが提供してるしよーしちんちこちんに沸かしたるがん!*5と洒落のつもりで着ていったら洒落にならなかった。笑った。

*1:音楽創作キャラクターラッププロジェクト。平たくいえばキャラクターのビジュアルに、声優さんが声をあててラップする。木村昴のめちゃうまいラップを聴けるコンテンツ。アニメもあるよ。

*2:各地にチームがある設定。最初は池袋、渋谷、新宿、横浜だけだったが、新グループとして名古屋と大阪が追加された。

*3:Bad Ass Templeのチームカラーは紫

*4:行くはずだったライブは中止になってグッズだけが家に届いた

*5:Bad Ass Templeの楽曲、「Bad Ass Temple Funky Sounds」にそういう歌詞がある。一番好き