女限エリアからこんにちは

笑う門には何が来る?ーーTEAM SHACHIフルアルバム「笑う門には服着る」全曲レビュー

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「笑う門には服着る」は、TEAM SHACHIがプライベートレーベルとなり完全なセルフプロデュースで歩みだした記念すべき一作目のアルバムである。

この作品は「愛」と「未来」 を軸にTEAM SHACHIらしく様々な一面が垣間見えるものとなった。

アルバムが発売となった記念に、一曲ずつレビューをしていこうと思う。

 

 

voyage

ワクワクレコーズ初のフルアルバムにふさわしい、未来への明るい期待とワクワクがサウンドにも歌詞にも詰まった一曲。ツアーにおいても1曲目に配置され、新たなスタートラインから未来を望む視線の作品だ。

ストリングスや鐘の音が「明るい未来」を予感させ、これにとびきり瑞々しいメンバーのボーカルが、美しくコーラスワークと共に乗ってキラキラ眩しく光っているようにすら感じる。

「あなたと見た未来」と、語りかけるような歌詞を聞けば、彼女たちと一緒に一歩踏み出したくなる、そんな曲だ。

 

おとなりさん

世界一かわいい楽曲をつくる人ことヤマモトショウとの初タッグ。ヤマモトショウは静岡県出身で、愛知県の「おとなりさん」に当たるという遊び心も。

初めて聞いた時、バリバリのヤマモトショウだ!と思った。流れるようなピアノが美しく、可愛さとは正反対のイメージのギターを抱えてなお「全力のかわいい」なのが恐れ入る。

FRUITS ZIPPER「わたしのいちばんかわいいところ」にイメージが近いと評される事が多いが、むしろヤマモトショウがプロデューサーを務める静岡のアイドルfishbowlの楽曲に登場する要素が強い、と私は感じているのは私がfishbowlを聴きまくっているからだろうか。

そんな背景も含み、「東海地区」という大きなくくりとして中のローカル感を強く感じる一作。「なんだかぜんぶがほんとになっていいじゃんね」の「じゃんね」も、このタッグでなかったら出てこなかった歌詞なのではないだろうか。

 

愛のニルバーナ

所謂「沸き曲」ど直球、2010年代ライブアイドルど真ん中みたいな打ち込みバリバリ、BPMは鬼の速さのド直球浅野曲だ。

ファーストインプレッションは「2010年代ライブアイドル」だった。早いBPMに置いてきぼりになりそうなくらいの激しい展開と当時から「お約束」として鎮座した「コールを入れる余白」があり、一発でライブで盛り上がるだろうな、と想像ができる。

「ピーニャカピーニャ」と蛇使いの笛をイメージするような擬音が歌詞に起こされていたり「ハッピーラッキー愛のニルバーナ」「見通しなんて甘々」と若干頭が悪そう(褒めている)なくらいわかりやすく明るく、音も楽しい単語たちで埋め尽くされている。2023年のシャチサマで大黒柚姫の口から飛び出した「一福去ってまた一福」が歌詞にしっかり入っているところも、浅野尚志からの愛を感じるポイントだ。

ただし、この曲は単に「あの頃」として10年前のアイドルシーンを懐古させるものでなたい。その証左が「行き先なんてノープラン ティーンの魂100まで続け」いう歌詞だろう。

これは懐古に見えてカウンターなのではないかとすら思う。これを今年13年目のアイドルが歌うことの勇気とここまで続けてきたからこその説得力、覚悟を感じてほしい。10年前のアイドルバブルといえばチームしゃちほこが乗りに乗っていた頃で、その頃彼女らは10代だった。

そんな彼女たちが最後には「次の未来へ お先ィ!!!!」とあっけらかんと歌うのだ。くるりと舞うポニーテールが見え、彼女たちが走っていくその先、明るい未来を想像せずにはいられない。

 

沸き曲

「愛のニルバーナ」を2010年代のライブアイドルにおける「沸き曲」と評した。

カンカンカンカン!!みんな起きてーーー!!これが令和の「沸き曲」だーーー!!!!と言わんばかりの名は体を表した楽曲。

約3分間を凄まじい速度で駆け抜ける。傑作だと思う。

とにかくこの楽曲が作る高揚感がすごい。音で人間は高揚感を得られるのだ。

イントロから歌い出しの「セイ!」までのぐっと駆け上る感覚と、初手サビの令和スタンダードなキャッチーさに加えて擬音を多用した歌詞に否応なしに体が反応する。そのサビも同じメロディの2回繰り返しに続き、耳馴染みのいいPPPHのリズムで同じメロディを2度繰り返し→締めと所見にもわかりやすく耳に残る。短くシンプルなメロディの組み合わせの中にラップパートやクイズまで入りとにかくギュウギュウ詰めであっという間に曲が終わっている。

たったの3分だが、さまざまな盛り上がりどころとことんつめたことが功を奏し、瞬間湯沸かし器のようにフロアが沸くTEAM SHACHIの新たなライブアンセムとなった。

 

FANTASTIC MIRAI

ベースのイントロから始まる重低音を効かせたバンドサウンドで、このアルバムの中で一番「ラウド」に寄った楽曲だろう。

サウンドも歌詞も少年漫画のような熱さを感じ、「高まり」にコミットしているとすら思わせるほどの激しい展開は王道アニソンを想起させる。分かる人にだけわかってほしいが、最終話の最終戦闘でかかってほしい1期のOP感がある。特にラスサビに向けて半音下がりからの上がっていく展開には脳が溶ける。こうして高揚感は作られるのだ、と納得した。

「愛のニルバーナ」で軽妙に歌われた彼女たちの「未来」が、ここでは重厚に響いている。「人生全てを捧げる覚悟」「創造なさい

FANTASTIC MIRAI」等、泥臭い言葉を轟音に乗せられたら彼女たちから目が離せなくなるだろう。

軽妙に歌われる「未来」も、覚悟を持って歌われる「未来」も、どちらもTEAM SHACHIの楽曲としての納得性があるのは彼女たちがファンに見せ続けてきた様々な顔があるからだろう。ときにあっけらかんと、時に泥臭くやってきたことを知っているから、この重厚なサウンドと歌詞がハマるのだ。

 

舞頂破

FANTASTIC MIRAIの重低音を引き継ぐ配置にこの楽曲を置いたことが素晴らしい。

愛のニルバーナから舞頂破までの流れがそのままライブのセットリストにできそうだ。

「FANTASTIC MIRAI」からバトンを引き継いで「最後の瞬間まで燃え尽きる覚悟」を歌うことで彼女たちの覚悟がより強固になるように感じられる。

「私達はいつも変わらないでここにいる」というメッセージも、彼女たちが折に触れて伝えてきた「誰もおいていかない」という哲学に通ずるものがある。未来を語る楽曲群の流れの中に、舞頂破が置かれた意味は大きいだろう。

 

勲章

飾らないシンプルな言葉選びと、熱情を絞り出すかのように歌うボーカルが心を打つ名曲だ。サビで鳴らされるスネアに感情を掻き立てられる。

「勲章」のよさは何と言っても飾らない、感情をそのままぶつけるような剥き出しの歌唱だろう。

「だから何度失敗を繰り返しても」と歌詞にあるように、決して綺麗ではなかった彼女たちが歩んできた道を、敢えて感情を優先させた歌唱で表現したことで、より心にダイレクトに響き、感情の昂りを呼ぶ。

秋本帆華の落ちサビはこれまでにないほど粗削りで強く、まるで彼女の感情が裸のまま放り出されているようにすら感じられる。綺麗に整えることを優先される「音源」という形でありながらTEAM SHACHIのグループとしての肌触りのようなものがしっかりと手にとってわかる、そんな作品だと思う。

 

NEO首都移転計画

「首都移転計画」から10年、同じくSEAMO提供で新たに首都移転を企てる曲。

ライブハウスの大音響で重低音低めで聴きたい、いわゆる沸きとは違った高揚感があり、ライブハウスで聞くたびにもっとだ、もっと音の治安を悪くしてくれ!と願ってしまう。

しかし、メンバーの様座に変わる声色やコミカルな歌詞がなかなかにTEAM SHACHIナイズと呼べばよいのか、ちょうどよく決めすぎない抜け感がある。それゆえ、親しみやすい楽曲にもなっているとも言えるかもしれない。

 

江戸女

かなりトリッキーなこの曲が突然ポン、とアルバムの中に放り込まれて異彩を放っている。曲順からみると「首都を移転する」と豪語したわりに「江戸の女に生まれたかった」となかなか高低差もパンチもある並びだ。

楽曲面でもブラストバンドサウンドがかなり表に出てきていて、そういった意味でもアルバムの中で強い存在感のある楽曲だ。

ブラスの音色を借りながらかなり艶っぽさを放っているこの曲、TEAM SHACHIの中では新境地なのではないだろうか。セリフの多用、クラッシックめいたピアノのメロディ、ライブの中でもバチッとハマる位置に置けばシーンを変える良いスイッチとしてとしても働いてくれる。TEAM SHACHIの飛び道具的な武器のひとつだ。

 

縁爛

縁爛のブラスの音色を聞けば、江戸女の位置に納得がいく。和楽器とブラスで艶やかなイメージが強く、どこか妖艶な祭の空気を感じることができる。

TEAM SHACHIと祭、というキーワードを並べた時に想像するのは賑やかに騒ぐ祭だが、ここで表現されたのは「穢れを祓うための儀式としての祭」だ。コロナ禍を暗喩する歌詞のなかで「穢も憂いもどうぞどうぞ通りゃんせ」と軽やかに歌い踊ることでその穢れを祓う、そんなイメージが沸いてくる。

プライベートレコードが発足後も、こうしてブラス民の演奏をメインにした楽曲が存在することがなにより嬉しい楽曲でもある。

 

だれかのために生きる今日を

バンドセットで奏でられるごくシンプルな音作り、シンプルなメロディとやや緩やかなテンポにメンバーのボーカルが映え、歌詞がするりと入ってくる楽曲だ。

この曲は日常に寄り添うイメージが強い。「暮らしの中」という歌詞があるのもそうだが、耳に優しく馴染むサウンドがそう感じさせるのかもしれない。

TEAM SHACHIの楽曲はどちらかといえば音数が多かったり、転調が何度もあったりライブに映えるような「ハレ」のイメージのものが多いが、「だれかのために生きる今日を」は、シンプルな音とメロディ、展開でありテンポもやや緩く、日々の暮らしの中で聴きやすい。

そんな暮らしに寄り添うサウンドで、「愛はここに」と歌われる喜びはこの上ない。

そしてどうしても、「誰かのために生きる」の意味を「一人の人間がアイドルとして生きること」と解釈して聴いてしまう。そのうえで「私のために生きる今日だった」を噛みしめると、私がアイドルを追う上で一番見ていきたい「アイドルを演じる中で自己実現していく姿」なのではないかと思ってしまうのだ。

だれかのために頑張ることが自分のモチベーションになる、と言ってしまえばそこまで特別ではないのかもしれないが、誰かを思って自分を鼓舞することが「暮らしの中にある、捨てられない愛」と地続きであって、私が愛した人がこれを歌っていることを思うと、心がじんわりと暖かくなる。そんな温かさを求めてつい再生ボタンを押してしまう、大好きな曲になった。

このライブを引っ提げたツアーで、夢を叶えるその時まで、この会場にいるみんなにはそばにいてほしい、と言われたことを思い出す。再生ボタンを押すたび、そんな彼女たちがそばにいてくれて、私もそばにいられるようなそんな感覚になる。あなたと私の間に、たくさんの愛を積み重ねていきたい。これからもずっと。

愛すべきじゃじゃ馬たちへ

どうやら私は、 やっぱり伝説的なライブを目の前にするとどうしても言語化せずに はいられないらしい。2024年2月12日に行われた「ダイナーシャチ」 がぶっ壊れのライブだった。

このライブがことさら語るべきものになったそもそもの原因はメンバーの体調不良によるステージプランの変更にあるが、私はことさらこれを美化したいというわけではないということを冒頭に記しておきたい。
ただ、「転んでもただでは起きない連中だ」ということを改めて実感したのだ。

背景から整理しよう。
このとき、TEAM SHACHIはツアー中である。 15箇所30公演にものぼるツアーを毎週末、 土日二箇所各2部構成で進めている。移動も多く最も稼働がかかるタイミングで、入れ代わりで体調不良者が出ていたのだ。
イナーシャチの数日前には喉のトラブルで秋本帆華が歌唱を休ん だり、坂本遥奈はレギュラーのラジオを欠席したりしていた。
そしてダイナーシャチの当日、咲良菜緒が体調不良により欠席となり、ライブの取り扱いは以下の通りとなった。

加えて、このライブはチケットをもぎらず入場の有無にかかわらず返金の対象となるという。ドリンク代も不要という異例のレギュレーションだ。

いやもう休めと。30分で終わらせて解散しようと。 わたしは開演前に繰り返し発言していた。
それくらい心配だったのだ。

そしてふたをあけたらどうだ。


何だこの壊れたセットリストは。
アコースティックはまだわかる。
なんだ沸き曲short✕7て。
なんで身体がバキバキなんだ。 なんで背中に激痛が走っているんだ。なんで喉がカスカスなんだ。 30分ライブじゃなかったのか。なんだったんだこれは。

解説をしよう。
病み上がりの坂本遥奈秋本帆華を抱える中の3人体制にあって、 身体に負担がかからないであろうアコースティックを中心として楽 曲が披露された。
それだけで終わらないのがあのじゃじゃ馬たちことTEAM SHACHIだ。
坂本遥奈を祝うべく、「舞頂破」の替え歌である「ハピ破」 を披露、すかさず最後の曲としてキラーチューンとなった「 沸き曲」をねじり込みフロアを大いに沸かせる。
これが伝説の始まりだった。

今日のお立ち台なんか変だね、と、いつもは上手と下手に設置されているお立ち台がセンターに幅広に置いてある。えい、と乗ると「沸き曲」のイントロが流れそのままサビへ!柚姫の「これが沸き曲だーーー!!」のシャウトから「わわわい」の流れのショートバージョンがながれ、「お立ち台に乗ると沸き曲が流れる」 というレギュレーションが明らかになった。

するとどうだ、まだいけるよね!?とか、 もう無理、とか、いやまだいけるって言ってる、などの小芝居を挟んで何度も何度もお立ち台に乗ること。 そのたびにあのイントロが流れ、 サビのワンコーラスと全力声出し必須の「わわわいわわわい!」 と「これが沸き曲だーーーー!!!」 のコンボが決まり続けること。
こうなればタフ民も悪乗りをはじめ、そこかしこから「まだいけます!」と声が。そのたびに誰かがお立ち台に乗る、 みんなで踊って声を出す。
挙句の果てにはメンバー以外なら乗っても大丈夫なのでは!?などと言いながらマネージャーをステージにあげお立ち台に立たせ、沸き曲をセンターで踊らせる始末。
もうイントロがかかるたびにおかしくて、笑いながら沸き曲を踊る。 もうこの空間が最高におかしくて、最高で、あーーーもうこういう奴らだったな、 とお手上げ状態になってしまうのだ。

やると決めたら突っ走る、とことんやる、後のことなど考えない。
この無鉄砲が大好きで、 ずっとずっと彼女たちを追いかけていたのだ。
休めとか、はやくおわろうとか言っていた自分を恥じた。

あのじゃじゃ馬たちは、ステージプランの変更なんて屁でもない。
楽しいと思ったらとことん走る。
細かいことは良いんだ。忘れて踊って馬鹿になる。そんなTEAM SHACHIのライブが大好きだということを、オタク10年選手にしてまた実感してしまった。

沸き曲を繰り返すうち、締め方わかんなくなっちゃった! と笑うメンバーが眩しく見えた。
ライブは、予定を大幅に超え、小一時間で終了した。

開演前に早めた新幹線の予約を後ろに倒しながら、 全くしょうがないじゃじゃ馬たちだよ、と思いつつ、 どうしようもなく頬が緩むのだった。

最高に楽しいライブをありがとう、ゆっくり休んで英気を養ってください。

アイドル楽曲大賞に投票してみた2023


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年末です。いかがお過ごしでしょうか。帰省する新幹線の中でこれをかいています。年末進行。まじで。

さて、今年もアイドル楽曲大賞2024に投票しましたので、備忘録を残しておきたいと思います。

(三島で書き終わったよ!やったねみなせちゃん!)

メジャーアイドル部門

5位 シュークリーム・ファンク/フィロソフィーのダンス

@jamで始めて(!)新体制のフィロソフィーのダンスを見て、新メンバー含むクオリティの高さに驚いた。その中で特に気に入った曲。ファンクでキュートなフィロのスっぽさがよかった。

 

4位 ベイビーブルー/CYNHN

めちゃくちゃ悩んだけど、結果これにした。青春時代は邦ロックばかり聴いていた耳に飛び込んできたこの曲は、私の青すぎた青春を思い出させ、思わず震えた。

 

3位 Summer Glitter/私立恵比寿中学

様々な音楽を届けるエビ中の新たなる一面を感じた曲。夏曲といえばさわやかなギターサウンドやお祭り系のわちゃわちゃ賑やかな曲が多い中、ビーチでチル、みたいな情景が思い浮かぶこの曲は意外性があってかなり好き。

 

2位 Accent/B.O.L.T

4月に惜しまれながら解散したB.O.L.Tの最後の表題曲。「誰もいなくなっても色褪せないミュージック」、まさにB.O.L.Tの楽曲群がそれだ。聴いたら淋しくなってしまうけど、そんな寂しさにそっと寄り添ってくれるような、そんな素敵な音楽だと思う。

 

1位 コズミック・フロート/ukka

宇宙を思わせるサウンドと、音が気持ち良すぎる歌詞に乗せられて宇宙まで飛んでいけそうな気すらする楽曲。宇宙の煌めきと、アイドルが放つ煌めきがオーバーラップしているような、2023年で一番キラキラした楽曲だと思っている。

 

インディーズ/地方アイドル部門

5位 夏へのとびら/クマリデパート

夏の間ずっと聴いていた気がする。サクライケンタ節バリバリで、少し切ないエッセンスが入っているのがたまらない。明るく元気なだけではないクマリデパートの一面が見える一曲。

 

4位 GAY STAR/二丁目の魁カミングアウト

ミキティー本物が作る歌詞が好きだ。ままならない何かを抱えて生きてきた人に、優しくそっと手を差し伸べ、満点でなくてもいいからとそっと前に向かう力をくれる、彼の優しさが満ち溢れている気がする。

私にも人生がままならず苦しいときがあり、そんな自分を肯定できるような歌で、お守りみたいに聴いている。

 

3位 勲章/TEAM SHACHI

松隈ケンタとの初タッグで生まれた楽曲で、10年間何事にも真正面からぶつかって転びながら走ってきた彼女たちを象徴するような楽曲となった。

あまりに何もかもストレートな楽曲だが、むき出しの秋本帆華の落ちサビを始め、TEAM SHACHIの生き様を表したものになっていると思う。

 

2位 乙女の祈りが届くまで/セカイシティ

セカイシティといえば「元気で楽しい」だろうが、この曲は普段は見せない二人の切ない表情や丁寧な歌唱が光る。

楽しい楽曲も勿論好きだが、こういう方向性の楽曲もどんどん加えてほしいところ。

 

1位 シリウスにマフラー

2023年はじめからこれは楽曲大賞だろうなあ、と思っていた。歌詞の切なさに反して、過剰なまでにポップなメロディがより寂しさを強調させ、当時、すぐ先に迫っていた南雲咲楽との別れを意識せずに聴けたことがない。あんなに楽しい曲なのに。

冬の曲にして雪が出てこず、私が育った街のやたらと強くて冷たい風や寒々しい夜空を思い起こすところも好きだ。

冬になって夜空を見上げるたび、この曲を再生してしまう。今年も、来年もきっとそうだ。そんな大切な曲になった。 

 

推し箱部門

開歌

2023年は推しである南雲咲楽が卒業、3人体制となり、岩永紗菜子・髙橋里穂の2名を迎え5人体制となり、短い期間で複数の開歌の姿を見た。

南雲咲楽は美しく4人体制の幕を引き、渡邉・青木・山村3人でパフォーマンスを深化させ、新メンバーの加入でさらなるパワーアップを見せた。

4人、3人、5人どの体制でも、進化を止めなかった彼女たちに拍手を贈りたい。推しが卒業してなお、足繁く通いたくなるのはまさに「推し箱」だからだろう。月に1度の定期公演をみるたび成長がすぐさまわかるところも推していて楽しかったポイントだ。

これからの彼女たちの躍進に期待したい。

何度失敗を繰り返しても――SHACHI SUMMER2023 名古屋城~叫べ!夢と希望の銃弾を放つ夜~レポ


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2023年7月22日、TEAM SHACHIは夏の大型ライブ「SHACHI SUMMER2023 名古屋城~叫べ!夢と希望の銃弾を放つ夜~」を開催した。

コロナ禍を経て、大型ワンマンで初めてのマスクなし声出し可。会場は前身グループ「チームしゃちほこ」のデビューの地でもある名古屋城

歴史に残るライブになることは開催前からわかっていた。これは、そんなライブの記録。

 

 

皆騒ゲ宴ノ始マリジャ

18時少し前。名古屋城天守閣をバックにステージセットが組まれた名古屋城二の丸広場。開演を待つタフ民は、頬や鼻を少し赤くして期待に満ちた表情を浮かべていた。

会場前方に設置したビジョンには、メンバーによる物販紹介や寿がきや食品「小さなおうどん」の紹介などが流れる。これだよ、大箱は。

さわさわと期待に満ちたざわめきを聞きながら、時間がすぎるのを待つ。18時。静寂、のち、それを破ったのはBlur「song2」だった。

「woo-hoo!」と、タフ民の期待に満ちた声が溢れ出した。かつて、チームしゃちほこのライブの始まりだった音。これは、一発目は名古屋城を指差しながら「恋人はスナイパー」か!と期待した。確信に、口元がどんどんと緩んでいく。

song2が終わり、「OVERTURE~ORCA~ 」が流れる。TEAM SHACHIのライブの始まりを告げる曲。伸びやかなブラスの音色、ああ、これは生音だ、ブラス民がいる!とさらに高揚感が高まる。

「OVERTURE~ORCA~」が終わると、ビジョンにバンで移動するブラス民の映像が。目指すのは名古屋城。バンは名古屋城に到着、ブラス民は車を降りていく――仮面を外して。

シートに置かれた金と黒の画面が、大写しになる。そして即座に「ブラス民」「MOS」の文字に切り替わった。

SNSの総フォロワー数が100万人を超えるブラスとダンスの融合パフォーマンス「ブラダン」を世界に届け続けているMOS。これまで、ブラス民の「お友達」としてたびたび紹介されることがあった彼女たちが、ついにその仮面を脱いで正体を明らかにした。

衝撃、を受けている間もなく怪しげなサウンドと突き刺さるギターの轟音が会場を揺らした「舞頂破」から、ライブがスタートしたのだ。MOS=ブラス民の衝撃や、スナイパーじゃなかった!!という気持ちが頭を振ったら全てが吹っ飛んで、楽しい!だけに支配される。

咲良菜緒秋本帆華は叫んだ。

長キニ渡リ待チ望ンダ時ガ来タ

皆騒ゲ宴ノ始マリジャ

そうだ、声を出して思いっきりはしゃげるライブをずっとずっと待っていた。この上のない喜びが身体に満ちていく。

「舞頂破」のアウトロで、ブラス民ことMOSが華々しくパフォーマンスに合流した。

かつて、「舞頂破」における「ラウド・ポップ・ブラス」について考察したことがあるが、「舞頂破」の使い所はここか、と膝を打った。

TEAM SHACHIの4人のパフォーマンスに、ブラス民ことMOSの4人が華麗に合流する。今日この1曲目のためにあるような選曲だった。

 

叫べば僕らきっとちょっと強くなる

ライブ中盤、「Wow!Oh!Oh!」が披露された。イントロがかかった瞬間によくわからない声が出たのを覚えている。

というのも、私は声出し可の記念碑的なライブでこの曲を聴きたい、と思っていたからだ。

リリース当時、この曲が不可抗力によるメンバーの卒業を前にしたメンバーが奮起するような曲に聞こえていた。これが、人類を襲った世界規模の疫病の流行から立ち直る曲に聞こえる日がくるとは思っていなかった。

Wow Oh! Oh! (Oh!Oh!)

叫べば僕ら きっとちょっと強くなる

遠吠え? 気にするな 少しなら 泣いていい

Wow Oh! Oh! (Oh! Oh!)

叫んで僕らもっとずっと強くなる

君がいるからだから今しか歌えない歌 歌おう

「僕はここにいるよ。」

声出しが封じられてから、あとはタフ民の声だけ、と何度メンバーの口から聞いてきたことだろう。

TEAM SHACHIの魅力はメンバーの熱いパフォーマンスとタフ民が生み出す熱狂のシナジーだ。タフ民の声は、TEAM SHACHIのライブの熱狂をさらに強化する。

「Wow!Oh!Oh!」に「Oh!Oh!」とリフレインを返しながら、「僕ら」とはTEAM SHACHIとタフ民のことだ、と思った。

「僕はここにいるよ」、TEAM SHACHIはコロナ禍も耐えて生き抜いた。いまこのステージに立っていることはあたりまえではなく、奇跡だ。

 

見て!あれは、金ピカに光る――

ライブも後半。「夢と希望の銃弾を放つ夜」と銘打たれたライブで、「恋人はスナイパー」がどこで披露されるのか。熱狂に身を任せながらそのことが気にかかっていた。

センターステージで、ふと秋本帆華がメインステージ上手側奥、ライトアップされた名古屋城の方向に向き直る。

間があった。ざわざわ、とタフ民たちが色めき立つ。

そして秋本帆華は、すっ、と名古屋城天守閣の金の鯱を指差す。

デビュー以降、頭に載せてきたしゃちほこ。それは今も、「From NAGOYA」の精神として胸にある。

時は満ちた、そう確信するまでのたっぷりの長い間を持っていよいよ秋本帆華が口を開く。

「見てー!あれは金ピカに光る私達のシンボル、しゃちほこよー!!」

ブラスの華やかな音色に包まれて、より金ピカに輝く「恋人はスナイパー」。私が初めてチームしゃちほこを見たのは、10年前のここだった。そんなに時間が経っても今ここにいる奇跡。それを感じずにはいられない。

数多のライブで披露され、踊って声を出してきた「恋人はスナイパー」。前回の披露は1年ちょっと前、10周年ライブだっただろうか。あのときは声を出せなかった。秋本帆華の「見てー!」に沸きこそすれ、それが声になるのをぐっと飲み込んだ。

もうそれを、飲み込まなくて良い。それが幸福だった。これから、タフ民の声援を武器にさらに彩りあるライブが繰り広げられるのだろう。

始まりの地で、あたらめてスタートを切った、そんな意味があった「恋人はスナイパー」だと思った。

 

 

上出来じゃ物足りない、まだ足りない

アンコールラスト一曲の前、秋本帆華は改めて「もう一度ワンマンで武道館を満員にしたい」と語った。

この言葉を口にするということは、自分たちがかつての勢いをなくしていること、武道館の満員まではまだまだ手が届かないことを認めることだ。どんなに、勇気がいるだろうか。

届かない目標に手を伸ばし続ける人を笑う人が世の中にはいる。絶対無理だと諦めることのほうが簡単だ。

秋本帆華が一瞬の「ため」を持ってこの言葉をつむぐ姿は、覚悟のように私には見えた。

まだ、彼女たちは諦めてなんかいない。ここで絶対満足なんかしない。真っ直ぐな言葉と瞳が、とーん、と私の胸に突き刺さって、すっと落ちていく。

そうして歌われた「勲章」は、今この時の彼女たちのために存在していた曲のように思えた。

なにもわからないなか全速力で走って、何度も転んで傷だらけになりながらの11年。

積み上げたものはたくさんある。今すぐに武道館に立ったら、あの大きなステージをものにできるだけの実力があることを私は知っている。

かつて、武道館のステージに初めて立ったとき、秋本帆華はこう言った。

「ふにゃふにゃなセンターですけど、私についてきてください」

今はどうだ。「勲章」の大切なパートを歌い上げる彼女の歌声はまっすぐで強い。

あの時から彼女にずっとついてきたけれど、こんな姿が見られるとは思っていなかった。

いま、ステージの上に立つ彼女は、しっかりと両足でステージを踏み、まっすぐに客席を見ている。

君のこと、ずっと見ているから、いつかまた、私の姿なんて見えないくらい大きなステージであなたの姿を見たい。少し遠くに見える彼女を見つめながら、そう思った。

 

関連リンク

ナタリー

関連動画

夢と希望の銃弾を受ける覚悟はいいか。オレはできてる――シャチサマ直前!TEAM SHACHIライブ定番曲20+α選!

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シャチサマまであと3日!!

夏フェスに積極的に参加し、更に勢い付くTEAM SHACHI。ワンマンを控えた今、ライブではどんな曲をやるの?定番曲は何?と疑問に思う方も多いでしょう。

というわけで、調べてみました。

2023年ライブで披露した楽曲ランキングトップ20(+α)!

集計方法は簡単、私が把握している限りの2023年*1のライブセットリスト*2を取りまとめ、披露した回数をカウントしただけ!わお、簡単!

これを見て、予習の参考としてください。できる限りライブの参考になるように、YouTubeSpotifyリンクを貼りました。コールがわかるものを中心にしたつもりです。

読むのめんどくせーよー!!まどろっこしいよーな方は、ランキング上から順番に流すSpotifyプレイリストを作りましたのでそちらをどうぞ。ライブ音源があるものはライブ音源を優先にしています。

【追記】

AppleMusic版のプレイリストはこちら!Ryo Sakamotoさんが作成してくださいました。まこと感謝!!


!もくじ!

ランキング(1~10位)

2023年7月19日現在、披露された楽曲数は252曲。

まずは1位から10位までのランキングをまとめて!

順位 曲名 披露した回数
1 君にぴったりな歌 25
2 NEO首都移転計画 21
3 START 17
3 あなたのトリコ〜究極の愛〜 17
5 Rocket Queen feat.MCU 15
6 抱きしめてアンセム 14
7 東海コンプライアンス 10
7 番狂わせてGODDESS 10
7 舞頂破 10
10 DREAMER 9
10 乙女受験戦争 9

最新EP「AWAiTiNG BEAR」に収録の「君にぴったりな歌」「あなたのトリコ〜究極の愛〜」が上位に食い込んだほか、改名前に制作された「START」や「抱きしめてアンセム」もランクイン!

まさしく「これぞライブ定番アンセム!」と言える結果になりました。

 

楽曲解説(1~10位)

  • 1位 君にぴったりな歌

    open.spotify.com

    松隈ケンタ作詞作曲、激エモな楽曲!前奏の「オイ!オイ!」とサビのぐっと何かをつかむような振り付けをぜひ一緒に。

  • 2位 NEO首都移転計画

    youtu.be

    「挙手!」のコールやサビの簡単な振り付けが楽しい!「首都移転首計画」に次ぐ令和の首都移転計画、お楽しみあれ!

  • 3位 START

    open.spotify.com

    「オイ!オイ!」と名前コール、ヘドバン等ライブで大盛り上がりの一曲!へっとへとになるけど楽しい!とにかく声を出して盛り上がる曲です。

  • 3位 あなたのトリコ〜究極の愛〜

    youtu.be

    トリトリ♪プリプリ♪とキャッチ―な歌詞と振り付けを真似してみましょう!この曲がかかればあなたもすっかりトリコ!

  • 5位 Rocket Queen feat.MCU

    youtu.be

    最強主人公曲。どんな場面でもマルチに活躍しちゃう。サビはほのかちゃんが煽ってくれるのでほのかちゃんのマネをしてみてね。

  • 6位 抱きしめてアンセム

    www.youtube.com

    説明不要、歴史と伝統が誇るまさにライブアンセム。名前コールあり、全力で踊る踊る踊る!振り落とされんなよ!

  • 7位 東海コンプライアンス

    youtu.be

    「問題ないなー」に「ないなー!」で返してほしいそうです。ダンスプラクティス(?)もあるのでぜひこちらも。ないなー!コールの練習から始まるようにリンク埋めてます。

  • 7位 番狂わせてGODDESS

    youtu.be

    声援は公式動画を参照。コールと爆踊りで体をぶっ壊せ!

  • 7位 舞頂破

    www.youtube.com

    どんどん進化を遂げる化け物のような曲。「なんまいだー!」と「舞頂破!」コールで徳を積もう。

  • 10位 DREAMER

    www.youtube.com

    説明不要、イントロのうりゃおいで加速度をつけて燃え上るように盛り上がる!ラスサビ前の何度でも(何度でも)夢を見よう(夢を見よう)のリフレインは、この世で一番でっかく響かせたいですね。

  • 10位 乙女受験戦争

    open.spotify.com

    持ち曲5曲のフェスで5回披露するというバグにより躍り出た感が否めない曲。「サーイエッサー」「勝ちたい勝ちたい勝ちたい勝ちたい」などコール多め、そして爆踊り多数。勝ちに行け!

 

ランキング(12~20位)

お次は中堅どころと呼ぶにふさわしいこの曲たちがランクインしました。

順位 曲名 披露した回数
12 こだま 8
13 アサガオ 7
14 超・ワルプルギス 6
15 BURNING FESTIVAL 5
16 I's PRIDE 4
16 江戸女 4
18 JIBUNGOTO 3
18 ROSE FIGHTERS 3
18 エンジョイ人生 3

楽曲解説(12~20位)

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題:忘れちゃならないこの楽曲

さて、ここまで「2023年の披露回数が多かった楽曲」を多い順から紹介しました。
でも、今回のシャチサマでは忘れてはいけない、「おそらく、絶対に披露するだろう3曲」を忘れてはいけません。

  • 恋人はスナイパーyoutu.be「夢と希望の銃弾を君に向かって狙い撃つんだ」!
    歌詞とシャチサマのサブタイトル、よーく見比べてみてください。あれれー?

  • Todaywww.youtube.com
  • 私は、過去のブログにこう記している。
  • パシフィコ横浜の広い会場に響き渡るたくさんの「Hey,Hey,Say Yeah!」を聴いていると、このままTEAM SACHIと一緒にどこまでもいけるような気がした。今日この日を、こんなに広い会場で迎えられる幸福を噛みしめ、このシンガロンが終わらなければいいと願った。 このリベンジは終わりではなく、本当にリベンジが果たせるのは人類が新型コロナウィルスに打ち勝った時だ。その時は、この歌が本当に記念碑的な作品になるのだろう。そんな夜明けのような日を待っている。

    なりたい自分になれない人はいない――TEAM SHACHI「OVER THE HORIZON~はちゃめちゃ!パシフィコ~」ライブレポート - 女限エリアからこんにちは

    まさに今が、その時なんじゃないだろうか。

  • 勲章

    youtu.be

    この曲、もうリリースされてるのにまだライブで1回も披露したことならしいよ!
    へえ・・・そうなんだ・・・へえ・・・

 

ランキング(21位以降)

ランキングの最後のほうはこんな感じ!中には数年に一度…?と思うような楽曲も披露されています。

ここにランクインしなかった楽曲もきっと披露されることがあるでしょう、ご参考までに確認してみてください。

独断と偏見で「やりそう……」と思った曲は赤くマークしました。

順位 曲名 披露した回数
21 AWAKE 2
21 HORIZON 2
21 It's New 世界 2
21 OEOEO 2
21 Today 2
21 You! 2
21 かいじん 2
21 ザ・スターダストボウリング 2
21 そこそこプレミアム 2
21 トリプルセブン 2
21 パレードは夜空を翔ける 2
21 ピザです! 2
21 わたしフィーバー 2
21 雨天決行 2
21 2
36 BASYAUMA ROCK 1
36 Chérie! 1
36 Hello, TEAM SHACHI 1
36 POSITIVE BEAUTIFUL!〜後ろ向きま宣言~ 1
36 Rainbow 1
36 Shanga Lang 1
36 Twilight 1
36 ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL 1
36 いいくらし 1
36 いただきっニッポン!~おみそれしましたなごやめし~ 1
36 カントリーガール 1
36 グラブジャムン 1
36 シャッチーチャンス 1
36 シャンプーハット 1
36 ちぐはぐ・ランナーズ・ハイ 1
36 でらディスコ 1
36 レースのカーテンを揺らした 1
36 愛の地球祭 1
36 解凍ガール 1
36 完全満足 NGY 1
36 首都移転計画 1
36 尾張の華 1

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。シャチサマで披露しそうな曲がわかったのではないでしょうか!

本当は、なにをやるか、どう盛り上がるかなんてことよりも、楽しむ気持ちそれだけは忘れないでほしいです。

勝負の大一番、楽しんでいきましょう!

 

special thanks

データベースを取りまとめるにあたり、セトリ職人あっきいさんのセットリストを多分に参考にさせていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

*1:集計期間:2023/1/14~2023/07/17

*2:ワンマン、対バン、その他イベント等を含む。また、シャチフレとして披露したものも含む。カバーは除く。

3月の現場覚書


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3月は推しの卒業公演を控えていた。とにかく現場に通うことに必死だったためオンタイムでの記録が難しく、4/2の現在思い出しながら書いている有様。

だけど現場がいちばん大切だ。ということで、ひとことで現場を振り返ることにしたい。

 

 

3/1 dot yell fes 2周年SP DAY2@Zepp横浜

  • クマリデパート
    宇宙の果てで恋をしたが良かった。
  • ukka
    声出し強い。
  • TEAM SHACHI
    声出し解禁だったので、泣くと思ったら楽しすぎて涙は出なかった。 詳細は記事にしているので、よかったら読んでね。

3/5 開歌-かいか- 「日々」発売記念イベント@Space emo池袋

アルバム「日々」のなかで一番好きな「シリウスにマフラー」衣装での特典会。
異常者オタクなので、うっかり服を特定しておそろいで着たら喜んでくれた。

他現場の知り合いが来てくれて、すごく嬉しかった。

 

3/8 クマリデパート10th Single「夏へのとびら/ぶどう♡Grape♡For♡You♡」発売記念イベント@タワーレコード新宿店

武道館公演に向けて突き進むクマリデパート。熱心なオタクの誘いもあって、初めてリリイベへ。

撮影オッケーだったので、がんばって写真を。さすが、撮可がおおいだけあって撮られ慣れてるなあという印象。みんなめちゃめちゃかわいい。

写真を撮っていると、「観る」「撮る」のバランスが難しいなあ、と思う。さすがに、「恋のハッピーチョモランマ」は楽曲に誘われるように踊ってしまった。

踊れる現場の、体が音に誘われて動き出してしまう感覚がすごく好きだ。

 

3/9 ミュージカルSPY×FAMILY@帝国劇場

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おそらくここ一年で一番エレガントな現場。

鈴木拡樹のロイドフォージャーが見た過ぎたのと、帝国劇場は一生に一度は足を踏み入れたい、という気持ちでチケットを取った。

生演奏でのミュージカルはあまりに贅沢で、15000円のチケットが安く感じるほど。鈴木拡樹のロイドフォージャーはビジュアル仕上がりすぎ、表情天才すぎでロイドフォージャーをこじらせた。(ロイドフォージャー、かなりキャラデが好き)

アーニャのサイズ感が原作・アニメそのままで、あまりに可愛すぎるとともに、あんなに幼いのに帝国劇場の舞台で堂々としていて子役の末恐ろしさを感じた。子役すごすぎる。

楽曲も素晴らしく、テンポもよく満足度の高い公演だった。

 

3/11 LUMOS@下北沢251

対バンイベント。どのグループも楽曲が優れていて下北沢だなーという感じ。

  • ユレルランドスケープ
    かっこいいお姉さんしかいない。曲も大人の魅力たっぷりで、横乗りの曲がまだ眠たい午前中にぴったりだった。めちゃめちゃ曲がいいので、折に触れて見たいアイドル。
  • 一瞬しかない
    MCは面白く曲は昭和歌謡を思わせるようなものが多い。いい湯だなで締めるの面白すぎたけど、なんとなく寂しくなってこの曲いい曲だな〜と思った。
  • ピューパ!!
    天音たるとがかわいい
  • 開歌
    堂々とトリ、お疲れさま。

3/11 ハレスタ無銭イベント@ハレスタ

  • セカイシティ
    f:id:mn37s:20230412083403j:image
    愉快なトークがここでも炸裂。いつでも楽しそうにしている二人が好きだ。
  • 開歌
    明るいスタジオで歌われる99色のブーケ、とても良い。開始前、ランチェキ撮るためにキャッキャしてるメンバーを遠目にオタクたちと見守ったが、とてもよかった。

3/12 開歌-かいか-定期公演『四季彩』@恵比寿CreAto

南雲咲楽最後の定期公演。とにかく聴かせる曲が多く、改めて開歌は歌のグループだな、と実感したし、ハーモニーがあまりに美しくイノセンスに満ちていて涙をボロボロこぼしてしまった。泣かないって決めたのに。

また、青い花の名の凄みがさらに増強されていたように思う。山村・青木ペア、渡邉・南雲に分かれて別のメロディーを歌うパートがある。そこで、山村・青木がスポットで照らされ、渡邉・南雲はその周りを回遊する。光を避けるように。美しい演出だった。

イノセンスさあふれる歌声や、強い世界観を表現する演出、すべてにおいて素晴らしい公演だったので、終演後特典会待ちをするオタクたちは興奮気味に感想を語り合っていた。良い空間だった。

 

3/18 開歌-かいか-1st TOUR「栞」(横浜公演) @みなとみらいブロンテ

シウマイの乱。

計5箇所を回ったツアーラスト、一回り大きくなった開歌を見られたと思う。春は絆創膏で締めるのも、ツアーが終わってしまう少しの切なさと次に向かう前向きな気持ちとシンクロして良かった。

nuanceと交換した「sekisho」は南雲咲楽たっての希望とのことだったが、「もう少し一緒にいたいよダーリン」なんて、切なくてどうにかなりそうだった。

nuanceは「かいかのmusic」をカバー。難しい、と言っていたがきっちりこなすのは流石。

最後には全員で「ミライサーカス」を披露した。これまでのツアーでコラボレーションは初。南雲咲楽は「ミーアキャット」、渡邉陽は「ヒヨコ」、青木眞歩は「カメレオン」、山村伶那は「カワウソ」として団員に加わった。ツアーのラストにふさわしい大団円感を味わうとともに、nuance×開歌の仲の良さが際立った。

 

3/19 ミュージックパーク~Girls & Music Theater~@ harevutai

開歌の南雲咲楽卒業前最後の対バン。やはり外に出たときのシリウスにマフラーは強い。

青い花の名を躊躇なく放り込んでくる攻めの姿勢にも驚くし、それをしっかりやってみせる力には拍手。開歌いいな、と小さく聞こえる声にガッツポーズ。

体力的にしんどかったので、開歌をみてその場を離れたが、今月2回目のユレルランドスケープをかなり近くで見られてよかった。「こんな見た目ですけど怖くないで〜す。」「そんなポップでキュートな私達の〜」とか言うあたり、面白いお姉さんたちだという印象。次くらいからユレルランドスケープ、始まる気がする。

 

3/21 甘橙@恵比寿creato

新曲のリリースを控えたPANADMIC、南雲咲楽卒業を控えた開歌、直前にメンバー3名の卒業が発表されたイートイン、ワンマンライブを翌月に控えるセカイシティの、ちょっと特別なライブ。

オレンジターキー所属のアイドルたちはみんな真剣にアイドルをしていて、ほんとに偉いなあ、といつも甘橙に来ると思う。

今回はとくにイートインから溢れる想いを感じた。メンバー4名中3人が翌月に卒業を控える中、パワーあふれるステージだった。ステージを踏み鳴らす音が、オケにかき消されずに耳に届いたのが印象に残っている。

 

3/25 開歌-かいか-南雲咲楽卒業公演@みなとみらいブロンテ

取り急ぎ、南雲咲楽のアイドル哲学が詰まった素晴らしい公演だった、ということだけをここには記しておく。

ここで感じたこと、思ったことは丁寧に書き起こして、南雲咲楽というアイドルがいたことをこの広いインターネットの中に刻んでおきたい。

 

3/30 クマリデパートのおいでよ!日本武道館!@日本武道館

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アイドルにとって日本武道館というのは大切な場所だ。夏の発表から、なんとかしていきたいなあという思いを強く抱いていたので、クソみたいな繁忙期になんとか折り合いをつけた。

大きなステージにも負けない彼女たちのパフォーマンスを見て、更にアイドルが好きな気持ちが高まった。よい曲とよいパフォーマンスにきちんと気持ちを乗せられるアイドル、そうそうたくさんいるものではない。

最上階からでも楽しめる工夫をこらした演出が、武道館公演たらしめていたと思う。

いろいろ言いたいことがありすぎるのだけど、とにかく「宇宙の果てで恋をした」がよかった。武道館がまるで宇宙のようにキラキラ輝いて、遠くに見えるメンバーたちがほんとうに「宇宙の果て」にいるように感じた。一番スケールが大きかったかもしれない。

ライブの本筋ではないが、終了後たくさんのアイドルたちが「クマリの武道館に行った」と報告していた。その多くが、クマリデパートとと同じ「ライブアイドル」として活動している。きっと同じイベントに出たり、プライベートで交流がある子もいたのだろう。そんな彼女らにとって、クマリデパートが武道館で堂々とした公演をやりきったことはきっと希望になったんじゃないか、とおもっている。

アイドルブームは去った、と言われ続けて久しいが、まだまだ魅力的なアイドルは星の数ほどいる。その中で、必死で武道館に向けて努力を続けたクマリデパートを見て、まだまだアイドルの煌めきは衰えていないことを確信した。たくさんのアイドルたちが、宇宙の果てで見つかるのを待っている。

2月の現場覚書


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2月はとにかく駆け抜けた、という印象が強い。色んなところへ行けて楽しかった!

【目次】

2/5 EVOLUTION POP! Vol.65@Spotify O-west

タイトル未定/fishbowl/ukka

楽曲派大喜びのラインナップであり、かねてから応援しているukkaを見るタイミングを逃し続けていることもあって迷わずチケットを取った。

整番が50番くらいで、なんとか3列目に。推しの立ち位置の問題もあれど、なんかいつもだいたい端にいるな。後述するが、この日はこの選択がベストだった。

さて、色んな人が文字で綴っているのでことさら詳細に書くつもりはないが、この日は「声出し可」のアナウンスが直前にあった。珍しくなくなったオールスタンディングで、どこに位置取ろうかな、やっぱり下手、とウロウロしたいたらスタッフが多くのお客様がいらっしゃるのでお詰めください!と何度も叫んでいた。そうだ、ライブハウスってパーソナルスペースない場所だ、というのを思い出す。

ライブは全組よかった。タイトル未定はメッセージが強い楽曲を説得力をもたせながら歌うことができる、実力のあるグループだと思う。「薄明光線」がよかった。阿部葉菜さんの「どうせ…どうせ!」のギアの上げ方が良すぎて、衝撃的だった。

「鼓動」は、やはりシンガロンが気持ちいい。声を合わせて歌うのって、楽しいんだ、って思い出させてくれた気がした。拳を上げて歌っていたら、阿部葉菜さんがオッケーサインをくれた。好きかも。

fishbowlは一ヶ月ぶり。先月見たときに不在だった木村春音さん、こんなに歌に遊びをもたせられる人だっただろうか。こぶしを利かせた歌い方がかなり好みだったし、リズム感がよいからか歌が心地良い。

セトリの組み方は3組の中で一番凝っていた。「平均」・「熱波」を混ぜて繋ぐのがこんなに楽しいなんて。しかも、ショートで終わったか、と思った熱波はその後フルサイズでちゃんと披露する。楽曲の制作陣がPとして直ぐ側にいることの強さと良さを思い知った。

ukkaとは久々に対峙する。やっぱりukkaって基礎スキルがすごい。川瀬あやめ&村星りじゅが声量と技術で引っ張り、芹澤もあの少年じみた歌声・茜空のエモーショナルさ、結城りなの表現力、葵るりの自信に満ち溢れた歌声、これが重なって一つになる。

最近ダンスのトレーニングに励んでいることは知っていたが、どんどんレベルが上がっているように思う。

歌にしろダンスにしろ、「技術のukka」と評したくなる。それだけにとどまらず、観客を本当によく見ていて、アイドルとして重要なスキルにも長けている。村星りじゅとは沢山目が合った(というかさすがに合わせてくれたのだと思う、相変わらず女神だ。)し、芹澤もあはいたずらっぽい顔で手を伸ばしてくる。そう、ukkaの出番では最前のバミリの目の前を譲ってもらったのだ。怖かった、目線が来すぎて。

個人的な幸福経験はさておき、ほんとうに素晴らしいパフォーマンスだった。

全体を通して、非常に満足度の高いイベントだったと思う。パフォーマンスのよさに加えて、いっせいに声を揃えた「お前が一番!」や、名前を連呼するコール、シンガロング。どれもこれまでずっと遠くにあった景色だったし、コロナ禍でデビューしたアイドルたちにとっては欲しくても貰えなかったものだ。よかった。ほんとうに。

 

2/10 瀬戸口俊介「37歳の瀬戸リスト」@阿佐ヶ谷ロフトA

最近、怒りで仕事を回している。怒りのエネルギーってすごくて、ガンガン仕事してしまうのだがいかんせん怒っている姿を見た先輩や上司もおり、怒りの対象の人間がおり、あまり怒りを表に出さずに仕事をしたい。そんな丸の内キラキラOLなので、仕事を怒りで押し込めて丸ノ内線に乗った。いつものルート、だが新宿あたりから異様に車内が混んできて、全員瀬戸リスト行くのか?売れたな、と思ったら中央線が止まったらしい。

そんな影響もあり、5分押しでイベントがはじまった。瀬戸口俊介が昨年サブスクで聴いた楽曲をランキング形式で振り返りながら、オープンチャットを使ってやいのやいの言うイベント。本当に楽しい夜になった。まあ、いつもの瀬戸口俊介と阿佐ヶ谷ロフトA。イベントレギュレーションにより、イベント中の記憶はすべて失った。

中央線は止まったが、最終にはきちっと乗った。久しぶりに午前様。たまにはいいよね、とすぐそこに迫る生活との曖昧な境界の中で、不在の間に届いていたアイドルの可愛いチェキを眺めてニヤニヤして寝た。

 

2/11 開歌「日々」リリースイベント@ マリーグラン赤坂

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マリーグラン赤坂。結婚式場にして、なぜかアイドルの運営に会場を貸して、イベントをしている。おしなべてオタクもメンバーもはしゃぐ特別感のあるイベントになることが多い。

開歌は結婚式場を意識したセットリスト、ということだった。予想をしてみたが、「99色のブーケ」以外は全部外れた。

レポートに代えて、「なぜこの曲だったのか」を考えてみる

  • 青い花の名
  • 出だしがこれだったので驚いた。会場の名前が「シーブルー」だったからだろうか。たしかに、アルバムの中は会場にふさわしいかもしれない。
  • 歌の咲く島
  • 繊細なコーラスが教会を思わせる会場によく似合った。いつも特別感を感じているが、より神々しく見えた。そういう意味で、選ばれた曲なのだろう。
  • 春は絆創膏
  • 可愛らしい系統で選ばれた、と思っている。やっぱりこの曲は楽しさが段違いだ。メンバー全員ニコニコ楽しそうに踊っている。
  • 99色のブーケ
  • まあこれは、予想が当たるほどなのでさほど難しくもない。ラブソングであり「ブーケ」という言葉も出てくるうえ、ブーケトスをおもわせる振り付けがある。それにしても、ラスサビ前でいつも泣きたくなるのをどうにかしたい。

 

2/11 BUMP OF CHICKEN TOUR 2023 be there@有明アリーナ

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たぶん、今月で一番大きい会場。何回かBUMPのライブに参加しているが、これまでで一番近かった。肉眼でメンバーが見える。もっとも、バンドのライブで「メンバーが見えるか否か」はあまり重視していない。

この公演では、声出しが可能だった。BUMPのライブは、コロナ禍前は数回くらいしか参加経験がなく、どこ歌うんだっけ……天体観測とsupernovaしかわからん……という気持ちがなくもない。

結果、声出し・ひいては現在の緩和傾向に対して思うことはあれど、たんなるエンタメ好きとしてはやはり感動ひとしお、やっとここまで来た、という実感があった。前半、涙腺がぶっ壊れまくってダバダバ涙が流れていた。泣くとこじゃないのに泣いたりしてすごく困った。そしてやはりsupernovaのシンガロンが忘れられない。

BUMPのライブに来るたび、藤原基央のリスナーに対する真摯さみたいなものをものすごく受け取って帰ってきている気がする。なんというか、歌詞や話すことばがリスナーひとりひとりに向けている、という実感があるのだ。

こんなに大きい会場で、彼の思いと歌、メンバーの演奏に包まれて、これ以上の幸せがあるだろうか。

胸いっぱいの気持ちになって、有明アリーナをあとにした。

 

2/18 ŹOOĻ LIVE LEGACY “APOŹ”@武蔵森スポーツプラザ

アイドル育成(?)ゲーム「アイドリッシュセブン」に登場する「ŹOOĻ」という4人組グループのキャストライブ。

アイドリッシュセブンは、凡そ一年と少しかけて、ゲーム内に登場するグループの単独ライブを行ってきた。わたしは全てに参加しており、ŹOOĻは一連の単独ライブの最後を締めくくりとなる。

所謂声優さんがキャラクターに扮して歌う「キャストライブ」だが、毎度のことながらアイドリッシュセブンというコンテンツは観客を二次元に引きずり込むのがうまい。

作中のシーンの再現、MV映像とのシンクロ。キャスト全員にキャラクターが乗り移り、歌い踊る。素晴らしいパフォーマンスだった。

ŹOOĻは全員歌唱力が高い、と思っているが、狗丸トウマ役の木村昴、御堂虎於役の近藤隆が群を抜いていると思う。この二人が作る重厚さに、棗巳波役の西山宏太朗の柔らかさと色気、亥清悠役の広瀬裕也のカリスマ性が合わさりŹOOĻを形作っていること、これがすばらしかった。

そりゃ、作中の観客たちも掌クルーしてŹOOĻにわーきゃーしてしまうよね、と、全グループ合同ライブの初登場シーンが過る。

当時、ŹOOĻはヒールであり、物語として憎まれても仕方ない立ち位置にいながら圧倒的なパフォーマンスで一気にマネージャーたちの彼らに向かう気持ちを変えたのだ。

現在、ŹOOĻの立ち位置も変わり、今回の単独ライブは初登場時よりも柔らかい歓迎のムードがあった。その変化に、ゲーム内の物語を感じるのだ。

特に「ササゲロ」で思わず漏れた黄色いマネージャーたちの声は、昔のŹOOĻでは起こり得なかっただろう。

そして、アイドリッシュセブンにおける単独ライブすべてにおいて言えることだが、それぞれのグループのカラーを反映した演出が素晴らしかった。

ŹOOĻで特に象徴的だったのはドローンを使用した撮影とDJを迎えたパフォーマンス、生バンド。野性味の強いイメージのŹOOĻは、美しく整った映像より、ライブ感のあるドローン撮影が合っていたし、「Insomnia」のパフォーマンスにはDJ☆Taku Takahashiを迎えてなんとミラーボールが回った。ミラーボールが回ればだいたい神現場判定している私だが、間違いなくこれは神現場だ。

フードを目深に被った、ヘビー・そしてメタルなサウンドを奏でるバンドを迎えた「BLACK TIGER」も素晴らしかった。低音が信じられないくらいに唸る。音の治安が悪いの、好きすぎる。もっと低音ガンガンに効かせてくれてもいいんだぞ、とおもったくらいだ。

会場をあとにしても、かっこよかった………のため息が止まらず、友人と帰った東京駅までの道のりで何度言ったかわからない。

やはり、たくさんたくさんお金をかけて、極限までかっこよく仕上げたライブでしか得られない栄養がある、そう確信したライブだった。

 

2/19 「ミテイノテイキ Vol.2」昼の部×開歌-かいか- 1st TOUR『栞』札幌公演 @札幌SPiCE

とにかく楽しい公演だった。

タイトル未定も開歌もとにかく「歌える」アイドルだ。だからだろうか、この日はとくに青木眞歩の気合が段違いだったように感じる。

いつもパワフルな歌声で開歌を引っ張ってくれる彼女だが、更にギアをひとつあげ誰よりも張りのある声で堂々と歌い上げる姿は、どうだこれが開歌だ、と誇っているようにすら見える。

あまりにその気迫に押され、特典会で気合入ってたね、と伝えたところ、うん、気合い入れた!と胸を張って言っていたのも印象的だ。彼女の中にあるパフォーマンスへのプライドとみなぎる自信が、歌にあふれていたな、と改めて思う。

タイトル未定は歌唱力もさることながら表現力のグループだ、と見るたびに思う。「薄明光線」の「どうせ どうせ」と歌い上げる阿部葉菜さんが、やっぱり好きだ、と思った。

タイトル未定がカバーした「星雲少女」も素晴らしかった。とにかくハーモニーが美しい。阿部葉菜さん曰く、開歌の定番曲だから緊張した、とのことだが、きっちり歌声にはタイトル未定らしさが乗っていた。

そして、どうしても語らざるを得ないのが開歌の「夏のオレンジ」のカバーだ。

この公演では声出しが許可されている。どうやら、「夏のオレンジ」には名前コールなどが入るらしい、と知ったのは曲がかかってからだった。当然、1Aの「俺の咲楽ちゃん」についていけるわけもなく、ああ、こういうコールね、とただただ納得していただけなのだが、2Aの「咲楽ちゃん」連続コールでは耐えられなかった。咲楽ちゃん、と何度も名前を呼んだ。それそこ狂ったように。いや、頭の中で変なスイッチが入った音がしたから、狂っていたのかもしれない。

恥ずかしそうにはにかむ南雲咲楽の顔を、忘れられない。きっともう、彼女の名前を叫ぶのは最後かもしれない、そう思うと目頭が熱くなったが、思い出づくりのために真冬の北海道に来てよかった、と思った。

 

2/22 開歌-かいか-定期公演「四季彩」@恵比寿CreAto

北海道での熱気を引きずるような、楽しくて熱いパフォーマンスだったことを覚えている。どんどん現体制としての調和がとれていく一方で、これまでなかった要素をプラスして更に高いところへ上っていこうとしている姿が美しいな、と思う。

とくに青木眞歩の歌声に強くパフォーマンスに向かう気持ちを感じた。

また、南雲咲楽の煽りが素晴らしかった。「クラップー!」「一緒にー!」と、後ろも含めて観客と一体となったライブを作ろうとしているように感じることが多い。声の通りのよい南雲咲楽がそれを言うことで、よりパフォーマンスが締まるそんな気がした。

現体制としての定期公演はあと1回しかない。一回一回を大切にしなければ、という気持ちが日に日に高まっていく。

 

2/25 TEAM SHACHI SHACHI CARNIVAL~仮面を外してワックワク!?はちゃめちゃ祭典〜@LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂

久々の「大箱」の空気を感じるよいライブだった。ステージセットは2Fまで作られており、巨大なモニターも完備。何台ものカメラもスタンバイしている。衣装も新しいものが用意された。「めちゃくちゃにアイドルのライブだ」、と思った。

今回はバックのホーン隊「ブラス民」は従えず、ときにダンサーとともに、ときに4人だけでのパフォーマンス。それでも十分に見ごたえのあるパフォーマンスができるのだから、ステージの上でのTEAM SHACHIの力は相当なものだ。

言いたいことが色々ありすぎるが、今回は「レースのカーテンを揺らした」から「光」へつながるセットリストの美しさを語りたい。

「レースのカーテンを揺らした」は、TEAM SHACHIの持ち曲の中でかなりレアな部類にはいる。音源もボーナストラックとしてのみ存在しており、サブスクにもない。

なぜこの曲が好きなのかといえば、2018年に行われた「タイムトレインかなた」ツアーでの演出の良さ、これに尽きる。マジックミラーを使って、客席に背を向けながら鏡に映る自分や、透けて映るメンバーに向き合いながら歌う。これがなんとも美しく、強烈に記憶に残っている。

今回の「レースのカーテン」にはマジックミラーの演出はない。曲と曲をつなぐSEが流れ、天井から巨大なレースのカーテンが降りてきたのだ。そのレースのカーテンは、風に揺れていた。「冷たい風が吹いた」と歌い出しが始まる。メンバーの衣装が、風に揺れている。

カーテンに隠れながら、カーテンの向こうから姿を表しながら、歌うメンバー。世界観を強く強く表していた。

そして、ラストは咲良菜緒の渾身の「生きたい」。これは映像が残っているので、語るよりも見たほうが早い。良いパフォーマンスだった。

わたしはそこで、ああ、レースのカーテン、こんなに大きくなって、と過去と今を結びつけていた。その次に披露されたのは「光」だった。

どうしょうもなく体の内側に溢れる「生きたい」を歌ったあとにこのイントロがかかる衝撃。膝から崩れ落ちそうになった。

「レースのカーテン」は、主人公が部屋の中で内省するような描写が印象的だ。それに続くのが「停車の鼻息で開く扉 次はどこに行こう」なのだ。風に押されるように、光あふれる世界に足を踏み出し、歩みを止めない歌。なんて美しい物語なんだろう、そう思った。

そして、「レースのカーテンを揺らした」で引き起こされた「懐古」の気持ちを、一番新しい楽曲群のひとつである「光」で上塗りされ、はっと目が覚めるような思いだった。アイドルはどんどん姿を変えていく。彼女たちは過去にはいない、今、目の前にここにいる。「かなたツアー」の亡霊だった自分を恥じた。

「完璧なエピローグ そんなのつまらないさ ぐちゃぐちゃな想いを持って最後まで」、この日も大黒柚姫の落ちサビは、美しかった。

 

2/26 開歌-かいか-1st TOUR「栞」(静岡公演) supported by エクストロメ‼︎@SOUND SHOWER ark 清水

ツアー「栞」の追加公演である本公演。地元静岡の開催、行かない理由が見当たらなかった。 

「supported by エクストロメ‼︎」かつ、静岡といえば絶対に外れないだろうfishbowlと、楽曲派にはおなじみのtipToe.とのスリーマン。

この日は声出し可ということで、tipToe.・fishbowlともに大いに盛り上がった。fishbowlは声出し可で大いに沸くフロアの熱を受けてパフォーマンスのギアがどんどん上がっていったような印象だ。やっぱり、「熱波」がほんとによかった、熱波大好き芸人。

tipToe.もフロアの熱を推進力にした熱いパフォーマンス。以前見たときは静かな曲が多かっただけにギャップに驚く。代わる代わる、推しの大切なパートで同じ色のペンライトを持った人が押し寄せてくるさまに、最初は面食らったがこれはこれで、アオハルなのかも、と振り返って思う。

なんの曲だったか、宮園ゆうかさんが私のいる下手方向でおそらく見せ場であるパートを歌った。そのとき、明らかに私の方をぐっと見ながら歌ってくれて、その姿があまりに美しくて心を掴まれてしまった。これ、ナンパじゃない?友人の推しでもあり、こんなに爆レスもらっては、と特典会に行ったら、レスした〜!!かわちいから〜〜!!みたいなことをいわれてウヒェヒャヒャ、みたいなことを言ってしまった気がする。これ、ナンパじゃない?

ハート作るときも、指くっつけよー?みたいなことを言われてアッハィみたいなことをいった。ナンパだよね?

開歌は安定のパフォの良さと楽しさ。何度も何度も書いているが、現体制として残された時間は少ないのに、どんどん輝きが増していくようだ。超新星爆発でも起こすのか、というほど。

卒業を控えた南雲咲楽は、いつも笑顔だ。楽曲の表現の幅もぐっと良くなっているように思う。Secret Summerの「君と見ていたい未来のcolor」のぐっと語尾が上がる可愛さ、「ビューティフルデイズ」の目線の遣り方。「灯り」のラストサビの力強さ。すべてが、見るたびに良くなっていく。残りの時間が少ないことが惜しいほどに。

ツアーはのこり1公演となった。このツアーを経てどんどんパワーアップしていく開歌が、どんなツアーファイナルをするのか楽しみで仕方がない。