女限エリアからこんにちは

アイドル楽曲大賞2022に投票してみた。


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師が走るほど忙しいから師走。

必要もないのに箔をつけるためだけに資格を取ることになり勉強していたり、なかなかに忙しい、なんて言っているうちに年が明けた。

2022年は突然地下に走ってみて、息切れをしながら現場を反復横とびしていたような気がする。

そんな1年だったので、去年は投票しそびれたアイドル楽曲大賞に投票をした。

せっかくなので、備忘録がてら何に投票したかを記録しようと思う。

 

 

メジャーアイドル楽曲部門

5位 ハッピーエンドとそれから / 私立恵比寿中学

メジャーが一番票を入れるのが大変だった。

1位から5位まで、別のアイドルに投票しなくてはならず、今年はインディーズアイドルを中心に追いかけていたからだ。

よく聴いていた曲を思い出そうとしたとき、パッと思い浮かんだのがこの曲だった。

昔を懐かしむちょっと切ないワンシーンを、いい意味で何の変哲もないサウンドで届けるこの曲はよく耳に馴染んで何度も聴いた。

 

4位 ウォータープルーフ・ナイト / フィロソフィーのダンス

十束おとはが卒業し、新メンバー2名が加入したフィロソフィーのダンス

楽曲のクオリティが高くてよく聴くアイドルの一つ。

「メッカでプリ帳」「前略プロフィール」「歌詞画」「walkman」「新着問い合わせ」などの単語が踊り、ゼロ年代の青春を駆け抜けた私に耳馴染みのいい歌詞とチルなサウンドが心地よかったため票を入れた。

この歌詞のとおり、私は厚底を履く女ではなくどちらかといえば紺ハイソ、ただプリクラのメッカでプリクラを撮っていたし、プリ帳も作っていた。

ところで、この歌詞を聞いたときに初めて「プリクラのメッカ」は渋谷にあって、地元のそれは渋谷からやってきたものだと初めて知った。

地元のメッカはもうなくなってしまったけれど、渋谷のメッカは現役バリバリだということも知った。加工アプリでいつでもどこでも、いくらでも可愛い顔にできる時代にあって、まだまだプリクラの勢いが衰えていないことも嬉しかった。

そんなノスタルジーを感じる曲だ。

 

3位 夜を抜け出して / B.O.L.T

イントロに力強いサビを置いた、B.O.L.Tらしい爽やかなパンクロック。

BPMが早く、シンプルなギターとドラムの音が一番際立つところが、私のイメージする青春パンクロックど真ん中だ。

サビで大暴れするシンバルが最強。

「飛ばされる」と揶揄されるギターソロもごくコンパクトながらキッチリ入っているのもポイントが高い。

個人的に、B.O.L.Tの魅力の一つにコーラスワークがあると思っている。「夜を抜け出して」においても、効果的にコーラスが入っていて、これが美しい。

歌詞も、思春期ど真ん中の「あやなの」コンビ・お姉さんである「るんちぃ」コンビどちらが歌ってもそれぞれの良さを感じられる青い小さな悩み・鬱屈を歌っていて、どんな人にも共感を呼び起こすものではないだろうか。

「自分ってなんなんだろう」と思い悩んでしまうような暗い夜、駆け出してみたら朝日が見えた、そんな情景が浮かぶ一曲だ。

 

2位 ラブパレード / ukka

ukkaのメジャデビューミニアルバム「青春小節」の一曲であり、ukkaの前身である桜エビ〜ずの名曲「リンドバーグ」を提供した浅見北斗の提供曲。 

80〜90年代ポップスを思わせる都会的なサウンド

生きることの尊さを「バチバチに弾け飛ぶ」「ギラギラに輝く流れ星」など擬音を使いながらの表現がユニークでありながらこれが不思議と良い。

どこか懐かしさを感じるサウンドに乗せてこの歌詞が放たれると、人生讃歌になるのだから驚きだ。

また、2サビで早々に転調する驚きも楽しい。しかも、最早落ちサビとして機能するオケの静かさと壮大さ。ラスサビはタイトルの「ラブパレード」をリフレインして終わる。

サブスク全盛時代、コンパクトな曲作りを求められるなか、3分36秒の中にドラマチックさが詰め込まれたジュエリーボックスのような曲だと思う。

ところで、80〜90年代チックなシティポップがレトロでかわいい、と表現されるとその世代ど真ん中の自分としては、あー大人になってしまったのだな、と感じる、というのは余談だがここに記しておく。

 

1位 光 / TEAM SHACHI

トリッキーな楽曲が多いTEAM SHACHIの中で異彩を放つ、限りなくストレートでわかりやすい「キラキラなアイドルソング」。

10年在籍したワーナーミュージック・アンボルデから離れ、自主レーベル「ワクワクレコーズ」立ち上げ一発目のEP「舞いの頂点を極めし時、私達は如何なる困難をも打ち破る」に収録。

賛美歌を思わせる壮大なコーラスから始まり、ギター、ピアノ、鐘の音とだんだん音が増えて、歌いだしにはストレートなアイドルポップスになっている。

展開もごくストレートで、特段のひねりがないが故に歌詞がすっと入ってくる。

ピアノの伴奏だけで作られる落ちサビに、大黒柚姫の繊細な歌唱が乗るとエモーショナルが溢れ出して止まらない。

「推しメンが作詞を担当した」というごく個人的な感情で一位にした感は否めないが、それでも、何度聞いても魂が揺さぶられる思いがする。不思議と少し前を向こう、と前向きになれるのだから、作詞を担当した秋本帆華の意図どおりで、それがこの楽曲の評価に繋がった。

 

インディーズ/地方アイドル楽曲部門

5位 熱波 / fishbowl

ねっ?ぱっぱらっぱっぱ……とイントロからキャッチーな、サウナをテーマにした楽曲。サウナブームも相まって2022年のトレンド感がバシバシにあふれている。

fishbowlにラップのイメージはなかったが、2022年度の前半で澤口あおい、福田安優子が卒業し高音域が得意なメンバーが不在となったタイミングでのリリースであり、新体制の良さを表した曲とも言える。

イントロの可愛さとラップのグルーヴ感が混ざり合う不思議な曲にして、ああこれは、と何度も聴いてしまいたくなる楽曲だった。

 

4位 幽体whisper / 美味しい曖昧

結構な変態曲だ、と思っているが、間奏前のけだるげな叫びと大暴れするピアノにしてやられた。コンテンポラリーな魅力に満ちていて、不思議と何度も聴き込んでいる。

美味しい曖昧といえば、心地の良いギターサウンドだと思っていたがいい意味で裏切られたのもポイントが高い。

 

3位 パルス / Ringwanderung

リンワンらしいピアノロック。往年のボカロ曲のような音数の多さとトリッキーな歌詞に、2010年代をニコニコ動画とともに過ごした私は案の定撃沈した。

古今東西の呪文を唱えるパートが小気味よく癖になるし、跳ねるようなピアノのリズムもワクワクする。

この曲、楽曲がいいのもさることながらパート割が秀逸で、リンワン随一のアニメ声の辺見花琳、多彩な声色を見せる増田陽凪の使い所が素晴らしい。

ちなみに、調べていたら初音ミクバージョンが存在した。良い。

 

2位 灯り / 開歌-かいか-

6月をもって開歌を卒業した佐々木亜実プロデュース曲。

想い重ねて、と力強い歌声に開歌らしいコーラスが合流し、ストリングス・ピアノ・ドラム・ギターがドラマチックな勢いを作っていく出だしからエモな一曲。

佐々木が変拍子を含め好きな要素を詰めた、と語るように、アイドルが好きな彼女らしく、アイドルオタクに刺さる一曲。

特にコーラスを多用し、開歌らしさ全開ながらも力強さを表現していてるところから、佐々木亜実の開歌への熱い愛情を感じ取ることができる。

楽曲もさることながら、開歌はこの曲を歌いこなせる実力がある。ぜひ、魂が震えるような歌声を聴いてほしい。

 

1位 さがしもの / ばってん少女隊

アイリッシュパンク!と思ってびっくりしていると、和楽器の音がしたり、サビは完全にクラブミュージックだったりとめちゃめちゃに凝っている。

それでいて、耳に馴染みのいいまとまりがあって何度も聞きたくなり、何度聞いたかわからない。

7月の山中湖SPARKで初披露されたが、誰ひとりこの楽曲を知らない現場であるにも関わらず凄まじい盛り上がりを見せるほど、楽曲のパワーがあった。

それでいて音作りに非常に凝っていて、何度聞いても発見があるのが面白い。

何度もいうが、アイリッシュパンク×和楽器×クラブミュージックなんて聞いたことのない取り合わせを、こんなにストレートに楽しめる楽曲に落とし込んだというのがえげつないことだと思っている。

 

アルバム部門

3位 『synchrotron』 / Ringwanderung

インディーズ部門で投票した「パルス」が収録されている2番目のアルバム。

ピアノロックを突き詰めた前アルバムとは変わって、「waving」を始めとしたポップスめいた楽曲も増えていて新しいRingwanderungの魅力を味わえる。

特に「waving」は夏フェスの開放感の中で聴くととても良かった思い出がある。

かと思えば「undead」のようなV系バンドが歌っていそうな楽曲もあり、Ringwanderungらしく楽曲のクオリティを保ちながらバラエティに富む良作だと思っている。

 

2位 『折々』 / 開歌-かいか-

佐々木亜実の卒業証書、とどこかで評されていて納得したアルバム。

これまでの開歌のイメージを覆す「燦然」、「灯り」を収録しながらも、リード曲「だれかに会えるなら」は牧歌的でコーラスが美しい開歌らしい楽曲であったりと、開歌の魅力が花開いた一枚だと思っている。

自己紹介曲「secret summer」や、メンバー4名のプロデュース曲を収録するなど、当時の開歌の名刺となるような一枚。

このアルバムについては、開歌に多く楽曲提供をしているタカハシヒョウリの解説ブログ、佐々木亜実のライナーノーツが存在するのでそちらも合わせて参照されたい。

実は、私はこのアルバムのリリイベから開歌に少しずつ通うようになった。一昨年の@JAMで開歌を見ているはずだがその時点では歌がうまいなあ、と思ったくらいで特段の思い入れはなかったのだ。このアルバムにはフックになる部分が多かったように思う。清純、そのイメージだけでなく、表現力の高さを見せつけられる、良い楽曲たちに恵まれた。

 

1位 『九祭』 / ばってん少女隊

和×クラブミュージックを軸にしたまとまりの良いアルバム。とはいえ似通った曲ばかりでもなく、統一感がありつつもそれぞれ尖った点がある良作。作家陣にも恵まれ、2022年の一位はと聞かれこのアルバムしか思い浮かばなかった。

和×クラブミュージックを軸にして、九州全7県をフィーチャーした楽曲を入れ込むなど、コンセプトがよく練られている。

本作に収録されている「Oisa」「わたし、恋はじめたってよ!」「YOIMIYA」「虹ノ湊」は、それぞれエムカードでのリリースも含めてシングルカットされてるものだが、これらを含めての統一感なのだから恐れ入る。また、シングルカットされた楽曲群はそれぞれに繋がりが見える部分もあり、非常に楽しい。

久しぶりに、一枚のアルバムとしてよく完成された作品を見たなあ、という気持ちでいっぱいだ。

余談だが、全形態に複数絵柄からランダムで1枚、トレーディングカードが封入されており、積むときにも楽しさがあった。少しでも楽しさを、という運営の配慮だと勝手に受け取った。

 

推し箱部門

TEAM SHACHI

今年の4月7日に、晴れて推し始めて10年になる。さすがにこれはTEAM SHACHIに投票しする以外の選択肢がなかった。

2022年は、アルバム「TEAM」に3年越しに収録される楽曲があったりなど、なんとなくタイムリーさがないというか、なんとなくそういう感じはあったが、粒で見るとどの楽曲も素晴らしい。

「HORIZON」はタイアップアニメ「ドールズフロントライン」の世界観に沿った楽曲となり、メンバー個々の魅力が光った。

プライベートレーベル「ワクワクレコーズ」に変わって初めてのEP「舞いの頂点を極めし時、私達は如何なる困難をも打ち破る」はこれでもかととっちらかった楽曲たちを無理くり一枚にまとめた、TEAM SHACHIらしい一枚だった。

私は、TEAM SHACHIの楽曲群は彼女らの「ライブ」という作品の劇伴である、と評価している。彼女たちは楽曲一曲一曲の「点」はなく「ライブ」という「面」で表現をする表現者だ。

だから、点での良さが光る、良い意味で統一感のない楽曲を持っているのだ。

所謂「楽曲派」のグループではない。でも、それぞれ違った光り方をする一曲一曲たちが、ライブという形になったときに放つ異様な輝きを知っているから、私は楽曲大賞の「推し箱部門」としてTEAM SHACHIを推すのだ。