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五十嵐隆「また来てね」-Syrup16gツアー「Kranke」千秋楽@NHKホールレポート

yrup16gのツアー「Kranke」が先日のNHKホール公演を以って終わってしまいました。
「再発」ツアーが終わった時は、次はいつなんだろうと先行きの見えない不安感がありましたが今回はそんな心配は必要ないなと思えるライブ内容だったように思えます。満足度は大変高く、平たく言ってサイコーです。
ツアー初日名古屋のレポートは別途で掲載してあります。

mn37s.hatenablog.com

 

普段はアイドルの現場ばかり行って騒いで踊ってるタイプの人間なので、いろいろ演奏についても書いてますが素人目線での率直な感想と受け取っていただけると助かります。

「songline」を入場曲として使用も今回のツアーではもはや恒例。
クソ席なのももはや恒例。今回は3階席でした。
ただ距離はあるもののとても急な傾斜になっているのでステージを見下ろす形で観やすい位置ではあったとおもいます。

緞帳があがりメンバーが姿を現した時、五十嵐は腕をあげての登場。のっけからテンションが高い。
名古屋公演時にはほぼ一曲ごとにギターの持ち替えがあり、一曲終わる事ボソッと「ありがとうございます」と発する以外は静かでギター替えのゴソゴソ音がホール中に響き渡るくらいの緊張感がありましたが、今回は一曲ごとに発される「ありがとう」も曲や雰囲気に合わせて言い方を変えていて、終始五十嵐隆氏は楽しそうな印象がありました。
喋りはしないものの、中畑大樹氏もなんとなくテンション高そうだな楽しそうだなと感じました。
また曲と曲の繋ぎにもいろいろと工夫が凝らされていたりと演出の面でもこの短いツアーのあいだでかなり良くなったなという部分も大いにあったように感じます。

「冷たい掌」〜「stopbrain」までは再結成以降の新しい楽曲を中心にバランスよく進行。
序盤のMCでは
五十嵐「ツアーとか嫌だったけど、終わっちゃった」
中畑「まだ終わってないよ」
五十嵐「まあ最後なんで雑巾の最後絞るみたいに頑張ります」
という内容のやりとりも。

「My song」「明日を落としても」はアコースティックギターのターン。
「正常」では平坦なメロディでありながらも後半に行くに連れ暴れだすドラムと「正常はもうおしまい」の歌詞がマッチングして、そこはかとない狂気をはらんだ曲だなと改めて思いました。ラストでじゃんじゃん鳴らされまくるドラム(というかシンバル)の音が際立っていて、ここらへんから中畑氏のスイッチが徐々に入っていったような気がします。

前半、比較的穏やかor爽やかな曲を並べてアップをとりつつ、「Share the light」から怒涛の盛り上げへ。中畑がまさに「渾身」と呼ぶにふさわしい演奏。ドラムのみ、しかもそのドラムの演奏もシンプルな作りのイントロだからこそ、ひとつひとつの音に対する重みが違うような気がしました。
シェアザライトはやはり生で聴いてこそです。あのリズム隊の音の響きを身体で感じてなんぼです。あれは耳で聴くんじゃない、身体で感じてほしい。
NHKホールの音響は名古屋公会堂に比べてお上品で名古屋程のドコドコ感はなかったもののやっぱり音響の良いホールでやると違いますね。

そこからスイッチが入ったのか、中畑、咆える咆える。
「真空」では曲のイントロの前にアドリブっぽく各々楽器をかき鳴らす煽りを入れて、そこからイントロでブチ上げ!の鉄板の流れ。
お馴染み?らしい中畑氏の「ロックンロォオオオオオオオオオオオオオオオオル!」がキレキレで炸裂。会場のボルテージはこの辺が最高潮。三階席でも拳が上がっていたり、歓声が上がっていたり、あとちょっと温度も上がってたと思います。
シェアザライト〜真空の流れはめっちゃ高まりますね。

盛り上がったあとは少しトーンを落としつつも骨太(と私は思っている)な曲でつないでそしてラストは「thankyou」。
後半にふさわしい、爽やかなナンバーで一旦は締め。

1度目のアンコールでは「Vampire's store」「落堕」とキレのある曲。
ツアーグッズの患者Tシャツを纏いながら「病名は無いが患者」と歌うのはちょっとギャグっぽくて面白かったです。
尚アンコール中は五十嵐、中畑氏が患者T、キタダ氏は患者Tを拒否したためか特注の「医者」Tを着てました。名古屋ではジャケ写Tだったのに。そんな小技が効いているところはツアーファイナルらしく。
五十嵐曰くスーパードクターにインタビューが入り、
五十嵐「一言おねがいします」
キタダ「きょうはありがとうございました。………お大事に」
中畑「今日イチ盛り上がってる笑」
五十嵐「…………ちょっとスベったね笑」
なんてやりとりで観客を笑わせる場面も。

Wアンコールも今回のツアーでは恒例、「coup d'Etat」からの「空をなくす」、「Reborn」。
空をなくすを入れてきたあたり、今回のツアータイトルKranke(患者)にひっかけた感じはあるのかなと。それなら東京一日目でデイパスやればよかったのにーとか思いましたけど1日目は行ってないのでまあまあ。

全体的にたいへん楽しいライブだったのですが、どこが一番良かったかと書くなら間違いなく、終わりののMCから最後の一曲の流れだと思います。
MCの内容に引っ掛けた選曲とラストで「reborn」を流すずるさ、丁寧な演奏と感情のこもった歌、そして最高の舞台演出。
なにをとっても最高でした。

「ちょっとどうでもいい話していいですか、友達いないので」という前置きから、五十嵐がすこし長く話しはじめる五十嵐隆
「昨日疲れて寝付けなくてゴロゴロしてたら、なんか明晰夢?ってやつを見たんです。そこにはかわいい動物とか、優しそうなお姉さんとかがいて。これは楽園だな起きたくないなと思ってたんですけど、浦島太郎的なあれで怖くなってきて、起きなきゃなと思って。たぶんあのまま寝てたら死んでたと思う。でも今ここに立ってるのがその何十倍も楽しい。また来てね」
最初にツアー嫌だったと言ってた人間が夢より何十倍も楽しいとか、また来てねとか。ぐっときました。
愛してるぜぇ!って曲が入る前に叫んだり。千秋楽には魔法がかかってます。

また、先ほど書いたとおりにラストの「reborn」は演出もたいへん素晴らしかったです。
基本的に舞台全体が暗い他の演出との明らかな差別化として、舞台全体を明るく照らし、更にメンバー全員にもスポットライトを当ててメンバーがよく見えるような照明設定に。
加えて、曲の初めは暗かった客席が、曲がすすむにつれて明るくなっていき、曲の最後にあわせて客電が完全に入るという演出でした。
だんだん明るくなっていく客席に、このライブがもう終わってしまうという確信をつきつけられ、いやだ、終わってほしくないと思う一方「昨日より今日が素晴らしい日なんてわかってる 遠回りしていこう」と歌が聞こえて、「またきてね」ってなんとなーく嬉しそうに言ってた五十嵐の言葉を思い出してああこれで終わりじゃないんだな、となんでかものすごくほっとさせてもらいました。

syrup16gがほんとうに再生したんだなあ生まれ変わったんだなとこの「reborn」で確信しました。
最高のパフォーマンスでした。
とてもたかまりました。
終始中畑大樹氏を見てましためちゃめちゃかっこよかったです。最高のライブでした。

五十嵐が、「また来てね」と言ったからには、また行けるなにかがあるはず。
待ってます。

【セットリスト】
※記憶とネットに上がってる情報をあわせただけなので正確性に欠けるかもしれません。

(songline(Interlude))
冷たい掌
生きているよりマシさ
To be honor
HELPLESS
Stopbrain
My song
明日を落としても
正常
負け犬
吐く血
Share the light
天才
真空
パープルムカデ
神のカルマ
Thank you

En
Vampire's store
落堕

En2
coup d'Etat
空をなくす
Reborn