女限エリアからこんにちは

なりたい自分になれない人はいない――TEAM SHACHI「OVER THE HORIZON~はちゃめちゃ!パシフィコ~」ライブレポート

TEAM SHACHIの「OVER THE HORIZON~はちゃめちゃ!パシフィコ~」(以下はちゃパシ)が10月24日、パシフィコ横浜にて行われ大成功に終わった。
そう、大成功だった。これまで、TEAM SHACHIとタフ民がこのライブを照準に様々な思いを巡らせ、成功させるために駆けずり回ってきた。このライブが、無事に幕を開け、惜しまれながらも幕を下ろした。

各種SNSでも絶賛を浴びるこのライブについて、私も感じたこと、思ったことを記録していこうと思う。

【目次】

 

ライブうますぎるもん!

はちゃパシは華やかな金管楽器の音色と重厚なバンドサウンドが調和する新曲「番狂わせてGODDESS」から幕を開けた。イントロのファンファーレを思わせるトランペットのメロディはこの大舞台の始まりにふさわしく、バックダンサー「はちゃめちゃダンサーズ」を従えるようにステージに立つTEAM SHACHIの姿は圧巻で、このライブが確実にすごいものになるという確信をもたらした。

この楽曲が象徴するように、はちゃパシはバンド民・ブラス民とともに奏でる生音とメンバーの個性あふれるボーカルが調和し、これをダンサー民と照明演出が彩る、パシフィコ横浜という場にふさわしいスケールのライブショーだった。

ライブは約3時間の長丁場となったが、ほぼMCなしのノンストップ、畳み掛けるようなスピード感のあるセットリストにより体感時間はあっという間。様々な感情が渦巻き、まるでジェットコースターのようだった。合計27曲が披露されたとは到底思えない体感時間だったが、この身に抱えている満足感がこのボリュームを証明していた。

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特に本編後半、バンド民のブリッジを皮切りにした「We are...」以降の追い上げはまさに怒涛で、「ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL」、「AWEAKE」とバンド民の容赦ないプレイが吐き出す轟音が鼓膜どころか脳を直接シェイクしにくる。

そして「start」と「DREAMER」が届けるメッセージを受け取り、振りコピができなくなるほど泣かされ、体中の水分を涙腺から出させようとしているのかと疑った。もう何もかもだめになってTEAM SHACHIに骨抜きにされてしまった。

そこで終了するかと思いきや、新アニメ「ドールズフロントライン」のED曲に決定した「HORIZON」を披露。アニメの世界観に合わせたシリアスな空気と咲良菜緒の力強いハイトーンがマッチングし、これまで培ってきた技術を土台にした新しいTEAM SHACHIの姿を見せてくれた。

この怒涛の構成に、TEAM SHACHIのライブは、「絶頂」を作り上げるのが上手い、と何度目かわからない再認識をするのだった。

そして、セットリストを俯瞰すると、新旧定番レア曲をバランス良く取り入れつつ全体感を失わない構成力に思わず唸る。特にどんなライブに入れても浮いてしまいかねない「ラリラリホー」をバンド民の演奏でねじ伏せてセットリストに組み込んでしまう手腕が見事でニヤニヤしてしまった。

幅広い持ち曲を活かせるようになりたいとメンバーは語っていたが、様々なジャンルに跨るTEAM SHACHIの楽曲を、流れるようなセットリストに落とし込んでいくのは非常に困難なことだと想像できる。これが、ラッシュ状態のように流れ去っていったものだから驚きだ。

そして、このスペクタクル的なライブショーの満足度を底上げしたのは間違いなくバンド民の存在だろう。公演前にアップした記事では、ブラス民・バンド民が奏でる音について次のように書いた。

今まで体感しえなかったこの音圧を、はちゃパシではまさに「浴びる」ことになるのだろう。

#シャチはちゃパシ はこう楽しめ!――勝手に!Road to #シャチはちゃパシ final - 女限エリアからこんにちは

体感してどうだったか。毎回生音を聞くとこう書いているが、音で心臓が震えた。「ふるえるぞハート、燃え尽きるほどヒート、刻むぞ魂のビート」状態だ。
この鼓膜と脳みそを揺らす轟音が身体中に響く感覚は何度味わってもおかわり!と思ってしまう。

さらに、ブラス民・バンド民がすごければすごいほど、この重厚感あるバックを従えてなおどうしようもなく存在感を放ち続けるメンバーのすごさが引き立つ。どんなにバンド民・ブラス民の演奏が、バックダンサー民のパフォーマンスが素晴らしくても、あくまでTEAM SHACHIのライブだ。肝心のメンバーのパフォーマンスが負けるようでは全くはちゃめちゃにはなれない。
私は、メンバーが決して負けることはないと確信を持っていた。特に改名後のTEAM SHACHIは以前に増してダンス・歌唱のクオリティに磨きがかかっている。そしてそれを公演の時にひとつの作品として昇華させる力があることを知っていた。
しかし、もうこれがすごかった。小柄なメンバー4人がステージの上では巨人のように見えた。いやはや、チームシャチさんライブがうますぎる。

これを見た、すべての人類に胸を張って言おう。

どーーーーーーーーーだTEAM SHACHIすごいだろ!!!

 

積み上げた過去ガソリンに変えたら

はちゃパシには、要所要所でこれまでチームしゃちほこ・TEAM SAHCHIが歩んできた道のりを暗示するような演出があった。
長丁場のライブが一瞬に感じるスピード感と相まって、走馬灯のようだと表現するのはいささか不吉だろうか。でも私が死ぬときは、こんな光景を見たいと思ってしまった。

「抱きしめてアンセム」のオチサビでは安藤ゆずを思い出し、「BASYAUMA ROCK」で羽織っていたジャージはMVで着用しているものと同じだと気付いた。

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HONEY」の次に「colors」を持ってくるところも私のような深読みをしたがるオタクを喜ばせる。
両曲ともに小出祐介の作曲であり、「僕たちの色色」という言葉が共通して出てくる等、繋がりを持つ楽曲であることは折に触れて語られてきた。
これに加えて、「HONEY」は別れた恋人に燻る気持ちを歌う歌だ。そして「colors」といえば2014年の武道館公演や、2017年の横浜アリーナ公演を思い出す人も多いだろう。まるで、あの日の熱狂を一緒に取り戻そうと語りかけられているようだった。
こうした過去と現在を繋いで時間を自在に行き来する姿は、改名後初のツアー「タイムトレインかなた」のコンセプトを思い出す。

そして、このライブには今まで完全な形で披露できなかったものへのリベンジと感じられる箇所がいくつもあった。

まず、ブラス民・バンド民有のフルセットを生で、ホールで実施することが明らかに「異空間ツアー」千秋楽のリベンジだ。同ツアーは新型コロナウィルス感染拡大の前にあえなく中止となった。それでも、バンド民+ブラス民の音をホールで響かせるべく無観客生配信「TEAM SHACHI TOUR 2020〜異空間〜:Spectacle Streaming Show “ZERO”」(以下シャチZERO)を実施したが、はちゃパシでやっとこの豪華な生音を浴びることができたという寸法だ。
「異空間ツアー」のリベンジはこれだけではない。「異空間ツアー」では、公演10公演中7公演を全編ヘッドセットでのパフォーマンスとしていた。このツアーが半ばで中止になったことは、前述のとおりだ。
はちゃパシにおいては、公演中13曲をヘッドセットでパフォーマンスし、両手での振り付けを見せてくれた。ツアーが中断されたことによりほとんどお目見えすることのなかったパフォーマンスを昇華する演出だろう。

さらに、「Rocket Queen feat. MCU」ではラップをするハル推しのMCU(KICK THE CAN CREW)が客席から登場し観客を驚かせたが、ステージ左右に設置されたスクリーンには中越高校吹奏楽部の面々が演奏する姿が大きく映し出され、パシフィコ横浜にその音を響かせた。これもまた、新型コロナウィルスに振り回されたコラボレーションだったことが印象に残っており、スクリーンを見た瞬間に気持ちを新潟に馳せた。

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最後に「Today」である。この経緯については事前に詳細に記載したので、詳細はここでは語らないが、フィナーレにふさわしい壮大なパフォーマンスとなった。

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パシフィコ横浜の広い会場に響き渡るたくさんの「Hey,Hey,Say Yeah!」を聴いていると、このままTEAM SACHIと一緒にどこまでもいけるような気がした。今日この日を、こんなに広い会場で迎えられる幸福を噛みしめ、このシンガロンが終わらなければいいと願った。
このリベンジは終わりではなく、本当にリベンジが果たせるのは人類が新型コロナウィルスに打ち勝った時だ。その時は、この歌が本当に記念碑的な作品になるのだろう。そんな夜明けのような日を待っている。

私はこれまで、TEAM SHACHIは積み上げてきた過去を明確に示し続け、この歩みが血と肉となっている、チームしゃちほことTEAM SHACHIは地続きだと語ってきた。
はちゃパシは、TEAM SHACHIのこの哲学が背骨のように通っていたライブだったと思う。「colors」で輝いたピンクと黄色のライトがこれを証明している。

 

何度でも夢を見よう

ライブを終えて振り返ってみると、このライブに関わった全員がTEAM SHACHIはすごいと胸を張れるような公演だったと断言したい。

「start」では、「あの日の別れあの日の悔しさ 乗り越えてここにいる」と咲良菜緒が堂々と歌った。「シャチZERO」においては、会場にはいないけれど心は寄り添うタフ民を客席に散りばめた電飾で表し、そしてたどり着いたパシフィコ横浜には、過去最大規模の観客が「ここにいた」。
「シャチZERO」で、秋本帆華がもどかしそうな顔をしながら「何回だって声を枯らして歌うよ 何回だって一緒に戦おう」と歌っていたことを覚えている。あのときは、誰もここにいない悔しさ、そして思うようにパフォーマンスを届けられないもどかしさがあったのだろうと想像している。

そして改めて堂々たるはちゃパシでの「start」を思い返し、「乗り越えてここにいる」と、胸を張って言えるTEAM SHACHIの姿を私は求めていたと気づいたのだ。

実際に、ラストのMCでは、メンバー全員がはちゃパシへの努力、苦難を乗り越えて強くなれたこと、そしてはちゃパシの充実感を胸を張って語っていた。

坂本遥奈は、「これからもタフ民と戦っていきたいと思うし、このみんなだったら戦っていけると思う」と言った。
咲良菜緒は、「パシフィコを終えて、これから何があっても乗り越えられると思う。この仲間とタフ民に自信がついた。」と言った。
大黒柚姫は、「今まで危機一髪の状況だったけれど、胸を張って大成功だといえる。これから先もシャチのことが大好きだし、かっこいいと言っていく。」と言った。
秋本帆華は、「今でも十分幸せだけど、みんなが私たちを欲張りにさせている。笑顔でいつも応援してくれるから、このチームでもっとすごい景色を観れるんじゃないかなって思っちゃう。」と言った。

これまでのMCでは、もっともっといろんな人に見てもらいたいというハングリー精神が前面に出ることが多かったが、はちゃパシではこれから先の展望に期待しつつも、ひとつの集大成を無事に終え、心に満ちる暖かな満足感が伝わってくるようなMCだった。
さらに、坂本遥奈「私たち4人はいろんなことを乗り越えてきた強さがあるけど、どこかで強がっている部分があると思う」と語った。これが、本編終盤で披露された「DRAMER」を聴く中で私が感じたことと通ずるのだ。

「DREAMER」は、TEAM SHACHIが生まれた2018年11月23日に初披露された曲だ。その時からこれまで、困難に立たされてなお夢を見続ける彼女ら自身を鼓舞する歌だった。「僕ら強いっしょ」「選ばれしものでもいいでしょ」と自ら歌うことで、そうあらんとするための歌だった、と私は思っている。
これまで私は、「DREAMER」を聴き、今ここにあるライブパフォーマンスより、もっとその先のキラキラピカピカした未来を見ていた。TEAM SHACHIが目指そうとする姿を夢想していた。「DREAMER」は、少し先の未来を歌う強がりの歌だと思っていたのだ

しかし、パシフィコ横浜の大きな舞台で、 TEAM  SHACHIが「今初めて出会う景色の中 まぶしい奇跡感じたなら 何度でも夢を見よう どんな時もこの瞬間は二度とない」と歌い上げる姿をみて、ああ今この瞬間の奇跡を歌っているのだ、と、夢見ていた未来に自分が追いついたことを感じたのだ。
間違いなく、大勢の観客を前にしてパシフィコ横浜に立つ TEAM SHACHIの姿は強かった。選ばれしものでいいでしょ、と問いかけられて、自信を持ってそうだと言えるそんなパフォーマンスだと心から思った。

「DREAMER」を歌い始めて3年、はちゃパシを通して「DREAMER」はパフォーマンスの面でも、曲が持つ意味の面でも、大きく姿を変えた。

秋本帆華は「私たちがみなさんを武道館に連れていきます」と断言した。よし、言ったぞと小声で漏らしながら。
 TEAM SHACHIは、活動10年目にしてまだまだこれからも夢を見続けていく。
そして、「何度でも 夢を見よう」は、本来であればメンバーが歌った歌詞ををタフ民がリフレインで返すのがお決まりだった。
タフ民も、一緒に夢をみる仲間なのだ。

私は、改名後からずっとこんなライブを待っていたのだと思う。「僕ら強いっしょ 選ばれしものでもいいでしょ?」と、チームの一員として、胸を張ってそう言えるライブを、大勢の人と目撃する日を。

断言しよう。握られたこの手を、離してはいけない。この手を握っている限り、彼女たちはからなず大きな夢を叶えてくれるのだ。

 

まだ、夢の途中

私は、ライブ前に掲載したブログではちゃパシについてこう評した。

パシフィコ横浜に来る、配信で見るあなたは、「はちゃめちゃ」な波に巻き込まれてTEAM SHACHIが起こさんととするムーブメントの当事者になるに違いない。 わたしは、はちゃパシが、そのスタート地点だと確信している。

#シャチはちゃパシ はこう楽しめ!――勝手に!Road to #シャチはちゃパシ final - 女限エリアからこんにちは

今がまさにこのスタート地点だ。
パシフィコ横浜はあくまで通過点である。この先には、秋本帆華が「絶対に連れていく」と断言した武道館公演、そしてさらにその先にバンテリンドーム名古屋が待っている。

10週年を目前に控え、まだまだ私たちは夢を見るのだと豪語する彼女たち。

それは、決して平坦な道でないことを私もわかっている。しかし、あえてその茨道を、まるで花道だと言わんばかりに歩み続ける姿を見、追いかけていくことが私の夢でもある。

そして、この夢を見続ける「僕ら」が、もっともっと大きくなってほしいと切に思う。
TEAM SHACHIが叶えようとする大きな夢の一歩を一緒に踏み出し、そしてそれぞれの速度で、一緒に走っていってほしい。

絶対にTEAM SHACHIは誰も置いていかないし、その先に最高の未来を示してくれるだろう。

 

【ライブ予定】

11/13(土)愛知 Zepp Nagoya 鯱の大感謝祭~ありがとう2021~
12/3(金)東京 TSUTAYA O-EAST 鯱の大感謝祭~ありがとう2021~

TEAM SHACHIのチケット、ライブ・コンサート、配信情報 - イープラス

2022年ツアー「猪突!猛進!猛進!猛進!猛進!」
※詳細別途

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